AIに絵を生成してもらったら美麗でした|受け取り手、つくり手として思うこと
note で時おり「AIにお絵かきしてもらいました」の記事を見かけることがあります。縁遠い世界のおはなしかと思っていたのですが、ネット検索してみたら、スマートフォンのアプリで気軽に試せることが判明。
以下、Picsart アプリを使ってみた様子をメモしておきます。
🌷 AI アート事始
私の目的は「自作の小説の挿絵に使えないかしら」ですので、ある程度文学的なテキストを解析してくれたらいいのになあ、という希望はあります。たとえば、長編小説を丸ごと投入したらどんな画像が生成されるのか、いつかぜひ見てみたいのです。(動画ならなおうれしい。)
だって、挿絵を他者に描いてもらうとその方の感性が入りますが(それこそが醍醐味なわけですが♪)、コンピュータは無色。たとえるなら「統計処理」みたいに言葉の数量をカウントして絵にしてくれるわけです。(というのが、現在の私の理解。)
自分が綴っていることばを対象化してもらい、それを見る。なんともスリリングな体験ではないですか(^^)
ただそれは、現行では、(無料アプリだからではなくて(笑))AIの能力的に荷が重いはず。
データ(言葉)の"量"をこなすのは、コンピューターの演算処理だと
得意中の得意ですが、"詩的なニュアンス"を解するのが難しいでしょうし、奥底に横たわる「感情」がありません。人間が「これいいね」とフィードバックを返し、「評価」する積み重ねで、人間の好みをマスデータ的に習得していく、という「成長」を遂げるわけ。まだ充分な経験値を得ていないのではないかと感じています。
さらに、日本語は英語などと違って、"係り結び"が複雑なため、AIが理解するにあたって、文法構造をきちんと解析するというよりは、大意を掴む方法に近い、ということらしいのです。
🌷 はじめの一歩↓↓ここから《麗しの》実物サンプル↓↓
ということで、詩のことばではなく演劇のト書きみたいに、具体的に入力してみました。
Picsart は一度に4点生成してくれます。文面を少しずつ変えて数度トライ。絵のテイストも選べるので、リアリズム、とか、モネ風、シネマ、ダークファンタジー、アニメ、など、設定も変えてみました。
20点ほど"演算処理"を返してくれた中で、好みのものをあげておきます。
「これが好み」など、みなさまとお話しできるかも...と、通し番号をふりました(^^)/
🌷 やっぱり「恋」を可視化したい♡
とてもわくわくしたので、次はやっぱり「恋よね♡」「ハグよね🎵」「世の中それに尽きるでしょう(^▽^)」と、
という簡潔なワード(名詞)を入力。
🌷 NEXT STAGE 「女神」
「乙女」→「男女」にすると、耽美さがかなり薄れて、(写真をアレンジした日常テイストの)健康的なハグシーンだとか、肩を組んで大笑している男女とか雪だるま親子のハグとか、路線が変わってしまいます。「乙女」自体にアニメっぽさ(適当な言葉が思い付きません。二次元?)が紐づけられているのかな?
そこで、「乙女」→「女神」にしてみました。
「女神」も「乙女」に近しい路線ですね。英語の "maiden" や "goddess" と、日本語の「乙女」「女神」では、出てくる絵(文化・世界観)がちがうのかなあ...いつか見比べてみましょうね(^^)
🌷 J・W・ウォーターハウス
最後に、「J.W.ウォーターハウス風」で生成してもらった絵を載せます。
よし、次は究極のイケメンを生成していただきましょう(^^)/ ...とは思ったものの、(どんなお姿なのか、我が事ながら見当がつきませんが)理想の美丈夫さまが生成されるかもと思っただけで気恥ずかしいので、やめておきます(笑)
かくして、有能なる助手がいてもピュグマリオンにはなれないことを悟る、わたくしなのでした......
🌷 受け取り手として、またつくり手として思う
今回、Picsartを利用してみて、AIに絵を描いてもらうというのは、「検索」だと思いました。Googleの検索結果が画像で返ってくるイメージ。
別の見方をすると、言語芸術を視覚芸術で置き換えようという、本質的に不可能なはずの切ない努力でもあるのかもしれません。
絵とことばをどうにかしてつなぎ合わせたい、相互に説明し合いたい願望がひとの心の中にあるように思います。絵とことばはまったく異なるからこそ、相思相愛の関係にあるのかも。
...というように、技術の進歩によって新しい切り口が見えてくると、人間は何を望んでいるのか、という問いの答えが少しだけ見え隠れします。
(開発者が中立・無色なら、ですが)趣味嗜好のないAIが提示してくる作品は、これまでの美術作品のマスデータを母胎にしているであろうこと、また私のようなエンドユーザーの取捨選択(=好み)を世界規模で集約していくであろうこと。それらを考えると、AIが感情のないプログラムであることに変わりはなくても、AIアートの向こうに、《人類》が透けて見えてくるように思われて、愛おしいような気持ちになってきます。
―などと、SF的な長いスパンで語るのもよいけれど、おそらく足元にはもっと現実的な諸問題があるはず。
たとえば、絵の生成のための雛形となる既存の作品があるわけですから、その制作者の権利保護の問題。また何より、彼らへの敬意を忘れるわけにはいきません。
著作権保護の考え方の根っこにあるのは2点。1点目は制作者たちの保護。これは当然守られるべきものですが、もう1点も大切です。
制作者たちはゼロから独力でアートを生み出したわけではなく、先行作品を糧としインスパイアされてきたからこそ、自分らしい&普遍性のある表現にたどり着くことができるのです。つまりは、(ラスコー壁画ではないけれど)人類最初の絵画がおおもとにあるわけです。
それを受け継いでいることを意識し、ゆえに充分な保護期間を過ぎた後は、自分の作品も《絵画》という大河の一滴になり、次の時代の制作者たちを醸成していく一部になる。それを自覚した上で、制作すべきなのだろうと思います。(それはもちろん、文芸や音楽なども同じですので自戒をこめて。)
ですので、利用する立場からすると、制限なしに使うわけにはもちろんいきませんが、過度に制限されるのも本筋ではありません。受け継ぐべきものを受け継ぎそびれると、後の世代に手渡すこともできなくなりますから。
🌷 AI画伯は"人類代表"アーティスト【デジタルアート部門】になり得るのか...?
通常の著作権とはちがい、まだまだ法整備の途上にあるAIアート。
いったい、AIアートというものをどう位置づけ、どの程度「著作物」とみなし保護していくことになるのか...。
もし生身の人間並みに著作権が認められるのであれば、開発者個人ないしはグループの「創造性」「感性」が介在すると見做されたことになります。であれば、AIは私が想定している「無色」「汎人類的」「地球人代表」のアーティストではなくなる、ということを意味します。(それならnoterさんとコラボするほうが楽しいかも♪)
でも、逆に、人間の指向や好みを集約した"AI画伯"がいつの日か誕生するとしたら。依頼されれば如何様にでも描くことができ、さらには「あなた方人類の生き様を凝縮したら、こんな絵になりました」と、壮大な(もしくは卑小な💦)絵巻物を見せてくれるのかもしれません。
知恵の女神アテナとアラクネーの織物対決に、第三の"人物"が割って入るというわけ。それはまるで、《人々の理想》と《生身の一個人としての私》と《現代という刹那の泡》の対比にも見えてきます。
そのあたりも含め、芸術家や法律家、技術者らプロフェッショナルに判断をお任せすることにして。注意深く見守りながらも、問題のない範囲で文化を享受したいと思っています。
そして、目立たないながら自分の《一滴》を目指してコラボレートしたいと思うわけです。
Picsart アプリには、InstagramやFacebookへの転載用ボタンが設置されていますので、SNSに載せること自体は問題がないようです。
でも、AIアートが普及すると生身のアーティスト(プロアマ問わず)の作品公表の機会が減りますから、そこを考えずに飛びつくのもためらわれます。
私も《みんなのフォトギラリー》に写真を登録している身ですから、それがAIアートに取って代わられたら悲しいですし...。(まあ、私の本分は写真じゃないから、そうなったら諦めますが。)
もう少し状況を把握してから、どの程度積極的にAIアートを活用するかを追々に決めようと思っています。("挿絵"という観点では本当に便利でありがたいので、ついつい使ってしまいそう(^^ゞ)
ますます複雑になっていく現代社会でエシカルに生きるって、ほんとうに難しいものですね・・・。
🌷 おわりに
さて。タイトル画像ですが、もちろんこれもAI画伯によるもの。「答え合わせ」をしておきましょうか(^^)
ウォーターハウスは画集を持っているほど好みの画家なのです。タイムリープして絵を依頼したみたいでうれしい💕 ...ですが、喜んでよいのか悩ましい...。
でも、ウォーターハウスの場合は、著作権保護期間満了、かつ、彼への敬意のうちにあるので、問題ないかな...と。
私が当人なら、後世にこういう使われ方をするのはうれしい気もしますが、さてどうでしょう...?
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