痴愚神礼讃が面白い。神学者エラスムスによって500年以上前のヨーロッパで書かれたもの。痴愚の女神様が人間界は私のおかげで成り立っているのだと一人語りをずっとしている。偉そうにしている学者・聖職者・教皇などがいかに痴愚に浸っているか鋭く風刺する。
ユーモアもさることながら、500年前もヨーロッパで書かれたとは思えない、現代日本でも通用しそうだなと思うところも多数。なかでもちょっと印象的だった人間社会を風刺した箇所を参考までに。
この風刺がピンときてしまうということは、人間社会はこの500年間で技術は進歩したかもしれないけれど「痴愚女神のたわむれ」の世界から遠ざかっていないのだなと思う。
(100分de名著でも取り上げられないかなー。解説は「あつい」後書きを書かれた訳者の沓掛良彦さんにお願いできればさらに良いよなー。)