シェア
深山ゆみ
2023年7月17日 11:35
空虚な日々年が明けて…3月を迎えた。
2023年7月15日 11:30
ウェディングドレス一時入院していた彼女が、退院した。主治医は、このまま病院で緩和ケアを受けることを勧めたが…彼女はどうしても「退院する」と、言い張った。主治医が言うには…「『最期は自宅で』と思っているからだろう。」ということだった。そのため、それまでは2~3日に一回のペースで来ていた在宅専門の看護師さんたちが毎日来ることを条件に、彼女の退院が認められたのだ。彼女が、主治医から
2023年7月13日 21:06
もうひとつのけじめ俺たちは、晴れて名実ともに「家族」となった。8月の終わり…優吾の誕生日に、俺と彼女は入籍をした。婚姻届の保証人には、既に成人した優吾と…もうひとり。なんと、あの喫茶店「サンタマリア」のオーナーが引き受けてくれたのだ。俺が「ダメもとで」頼みに行くと、オーナーは嬉しそうに快諾してくれた。「ここで出会った2人が結婚するための証人になれるなんて、こんなに嬉しいことはないよ
2023年7月11日 16:18
できること彼女が、家へ帰ってきて2週間。俺たち3人は、特に大きな問題もなく暮らしていた。彼女は、訪問看護による「緩和ケア」を受けながら、マイペースに過ごしていた。体調も安定しており、俺は今まで通りに自宅で仕事を続けながら、彼女の看病をしていた。優吾は、週の半分を俺の家で過ごし、半分は元々暮らしていたマンションで過ごしていた。1週間前に会った彼女の主治医の話によると…彼女のがんは、
2023年7月10日 18:28
夏の魔法とやらの力で「へぇー…父さん、意外に男気あるじゃん。」優吾との夕食。俺のリクエストによって「季節外れのクリームシチュー」を作ってくれた優吾は、俺の昔話を聞きながらニヤニヤしている。俺は…息子相手とはいえ、心底恥ずかしくなり、黙ってシチューを食べた。
2023年7月8日 11:22
真実は時に残酷優吾が作ってくれたクリームシチューを食べた後、俺は自分の部屋にこもって、丁寧に『日記』を読み進めた。あの頃一緒に過ごした、彼女の言葉。そして…一緒に過ごせなかった20年間の、彼女の言葉。そこには、俺が知らなかった…知らされていなかった『真実』も記されていたのだ。その「真実」は、彼女がこの家で暮らしていた、あの秋の日にかかってきた1本の電話から始まる。********
2023年7月6日 17:44
あの日の僕へ俺が優吾と出会い、一緒に暮らすようになって…早いもので1ヶ月ほどが経った。最初に会った日は、散り際の桜吹雪が美しかったのに、その桜も既に青々とした葉を茂らせている。俺は今日も、彼女の病院へ行った。あれから毎日のように病院へ行っているが、彼女の容体は一進一退の状態だ。鎮痛剤の点滴でずっと眠っている日もあれば、調子良く話ができる日もある。『今日は、起きてるかな…』そう考
2023年7月6日 16:41
親子「ここまでの話って…もしかしなくても、ただのノロケ話?」せっかくの引っ越しだから「引っ越し蕎麦」が食べたい!…という優吾のリクエストに応えて、近所の蕎麦屋から出前を取った。その蕎麦を向かい合ってすすりながら、俺が話す昔話をひとしきり聞いた優吾は、何となくニヤニヤしながら俺を見ていた。俺も、そんな優吾の視線が痛くなってきて「い、いや。別にそんなわけじゃないけど…」と、どもりつ
2023年7月6日 16:28
憧れの女の子「おーい、準備できたか?」俺は、部屋の奥にいる…息子の優吾に向かって声を掛けた。「はーい!今、いきます。」と、優吾の声がすると、大きなバックを2つ肩にかけた姿で現れた。今日は、俺が待ちに待った「引っ越し」の日。…と、言っても何もかもが引っ越すわけではない。優吾と、彼の母である優祈…彼女たちが20年暮らしたこのマンションから、優吾は俺の家へ「身一つで」やって来るのだ
2023年7月6日 16:27
あらすじ人生とは「めぐり逢い=邂逅」を繰り返して織り成されるもの。その道がどのように交わり、どのように別れていくのか…それは神の采配のみに委ねられているのだ。*********************主人公・高岡慶吾は、ある女性との20年振りの再会を待ち望み、約束の場所を訪れた。しかし、その場所に現れたのは女性ではなく…若い青年。青年の名前は「藤沢優吾」。慶吾が再会を待ち望んだ