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マンガ認知症 【読書感想文】 認知症介護者に読みやすくわかりやすい

★★★★★
Amazonでレビューしたものです

専門家が、認知症の祖母をもつ漫画家にわかりやすく解説
認知症の人ともっと幸せに生きる方法

【目次】
序章 認知症ってなんですか?
認知症を心理学的に研究するということ/認知症とはなにか/ 予備軍も含めれば日本に一〇〇〇万人/認知・認知機能とはなにか/原因疾患と認知機能障害の関係/ 老化による物忘れと認知症の違い/ 「おかしいな」と思ったら
第1章 「お金を盗られた」「強盗にあった」と言うのはなぜ?
中核症状と周辺症状/物盗られ妄想の原因/自己防衛としての物盗られ妄想/ 身近な人を疑う理由/認知症と薬/薬をやめてみる
第2章 同じことを何度も聞いてくるのはなぜ?
さまざまな記憶の種類/短期記憶と長期記憶――陳述記憶のプロセス/
エピソード記憶障害の原因/符号化、貯蔵、検索――記憶のモデル/未来の予定がわからないことの不安/ 何度でも同じことを聞く理由/なんのための介護か
第3章 何度注意してもお米を大量に炊いてしまうのはなぜ?
陳述記憶と非陳述記憶/手続き的記憶が残る理由/ 繰り返される行動には、その人のアイデンティティが現われる/同じものを大量に買ってしまうときは
第4章 突然怒りだすのはどうして?
前頭葉障害で、行動のコントロールが難しく/注意機能が低下し、気が散りやすくなる/ 前頭側頭型認知症の場合/夕暮れ症候群/偶然見つけたヒント/会話が重要/ときには放っておくことも有効
第5章 高齢者の車の事故はなぜ起きるの?
シニアカーがぶつかってきた/有効視野の低下/自分が今まで何をしていたのかわからない/ 注意機能の衰え/選択的注意機能と有効視野/一度に二つ以上のことができなくなる/ 認知症に限らず失敗しやすい「注意の切り替え」/家族の同乗がかえってよくないこともある/ 運転が苦手になるのは、認知症の人に限らない
第6章 介護者につきまとうのはどうして?
遂行(実行)機能障害/目標・計画・実行のどこができないのか/できない自分に傷ついている/ 押し売りに引っかかってしまうのは?/見当識障害という問題/過去と現在と未来をつなげる/ 実行機能と遂行機能
第7章 家にいるのに「帰りたい」と言うのはなぜ?
見当識とはなにか/記憶の低下との関係/幼児期の記憶のあり方と似ている/
婆ルさんはどこに帰りたいのか
第8章 これってもしかして「徘徊」ですか?
目的もなくうろついているわけではない/ 「徘徊」はなぜ起きるのか/頭の中の地図がつくれなくなる/ 建物と自分の位置関係がわからなくなる/鏡の不思議/徘徊が出てきたら、どうしたらいいのか/ 徘徊がおさまるのはいいことか
第9章 排泄を失敗してしまうのはなぜ?
排泄の失敗が増える理由/失敗を認めることは、プライドが許さない/弄便で自宅介護が限界に/ なぜ食べられないものを口に入れてしまうのか/本人のプライドを傷つけないために
第10章 介護に疲れ果てました。どうしたらいいですか?
人間関係はギブ&テイク/ 「思いどおりにならない」はコントロールのはじまり/
「なぜこんなことをするのか」?と考える/心がすれ違うことで、ケアがコントロールに陥る/ 社会的認知機能の低下と「心の理論」/まずは話を聞くことから/介護を生きがいにしない
番外編 なんでお尻を触るんですかコラー‼
衝動を抑制できない/性欲以外が原因のことも/優しさが逆効果になることも/高齢者の性欲を認める/ 家族で認知症について話し合える関係に
あとがきニコ・ニコルソン 佐藤眞一
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1.可愛らしいイラストとわかりやすい説明


祖母が認知症になった漫画家・ニコさんが、家族の介護の悩みについて、専門家のアドバイスをもらうという形式の本です。

認知症、特にアルツハイマー型認知症でよく起きる周辺症状(BPSD)を中心に、介護者が困りやすいことを章ごとに解説されています。
章の前半は、その章のテーマに関しての漫画があり、ニコさんと、お母さんの母ルさん、認知症になったお祖母さんの婆ルさんのところへ、佐藤先生がやってくると言う内容です。後半で佐藤先生がそのテーマについて解説をされています。

内容が絞ってあってまとまっており、読みやすく手に取りやすく、お勧めです。

特に漫画部分は、全体的に可愛らしい描き方で、とっつきやすいと思います。

しかし、認知症の方の介護者のつらさと、認知症本人の不安がわかりやすく描かれています。

”私たちはそんなふうに時間と空間の中に自分を位置づけ
それを記憶しつつ生きています
ところが認知症の方は「今」がわからなくなる
過去と今がごっちゃになって昔の自分を生きていたり
今の自分が見ている世界と周りの人たちが今見ている世界が一致していない
すると現実を生きることがうまくできなくなってしまう”

(ここどこ?今はいつ?
みんなのためにご飯の支度をしなきゃいけないのはわかっているの
でも何をどうすればいいの?
できてたはずなのに 私どうしちゃったの?)

「自分がどこにいて何をしようとしているのかわからない」
「何かをしようとしてもどうしたらよいかわからない」

”このような時人は非常に不安になる
誰かにしがみついて安心しようとします”

(Q6 介護者につきまとうのはどうして? p.141-142 )

婆ルさんとても可愛らしいです。
しかし、現実は過酷だっただろうなと思います。本当に。。

2.わたしのお婆ちゃん

この本を読むと、私は自分の父方の祖母を思い出します。

祖母は10年前に他界しましたが、血管性の影響のあるアルツハイマー型認知症の診断を受けていて、この本で扱われている内容の言動をしていました。
17年前に祖父と父が相次いて他界し、その後祖母の認知症で、我が家はとんでもない状態が何年も続きました。
祖母は、父の葬儀の日に家の鍵を忘れてしまい、家の門(大して高くはない)を乗り越えるという奇行があり、「ばあちゃんも息子に先立たれてショックだったのかね」とみんな思いました。うつかと思って受診させたら、実は認知症でした。みんな気づかなかったというか、そこまで余裕がなかったんですよねえ。

元々気が強い祖母は嫁の母の言うことなど聞かず怒りまくり、近所に住んでいる伯母とは微妙な関係になり、同居の弟は文句は言うものの手は出さず・・・。別居の私は、実家が壊れていくのをぼんやりと見ていました。

祖母は施設に入所し、病院で亡くなりました。

3.高齢者は早めの施設入居を

国は認知症になっても住みなれた地域で暮らす方がいいといっています。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/nop1-2_3.pdf

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000079008.pdf

私は、高齢者は早めに高齢者住宅や施設に入った方が良いと考えています。

もちろん家族がたくさんいてみんなで協力して介護できて、最後まで自分の家で過ごすことができればとても良いでしょう。
しかし、今の家族状況でそういう家は少数です。
独居の場合、認知症になったり足腰が弱ればいずれ施設に入らざるを得なくなりますし、認知機能低下が進んでから生活環境を変えるよりも、自分で選んで決断して入居した方が望ましいと思います。
家で転んで倒れて何時間もそのままと言う事態も結構あります。家族が同居でも、日中は仕事をしていない場合も多いです。
同居の場合、昼間デイサービスに行ったとしても、夜と休日は一緒になると、介護する家族は気が休まりません。衣食住の負担は重くのしかかります。疲れて仕事に集中できず、能率が落ちたり体調を崩したり、介護離職になったりします。

3交代のヘルパーを雇えるお金持ちは別ですが、そうでなければ、お互いのために早めの施設入所を進めた方が良いと思います。
1人が1人を介護するよりも10人で10人を面倒見る方が楽だと思いますし、家族だからこそ辛くなる場面も多いです。
自分も家族もボロボロになる前にサポートを使うことをお勧めします。

将来的には、家事介護ロボットが面倒を見てくれるようになったらいいなと思いますし、認知症が治るようになればそれに越したことはないです。
レカネマブ(レケンビ)がさらに効果ある薬になっていくといいですねえ。


著者:ニコ・ニコルソン (著), 佐藤眞一 (著)
出版社 ‏ : ‎ 筑摩書房 (2020/6/9)
発売日 ‏ : ‎ 2020/6/9
言語 ‏ : ‎ 日本語
新書 ‏ : ‎ 288ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 4480073221
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4480073228
寸法 ‏ : ‎ 11 x 1.6 x 17.4 cm


作者ニコ・ニコルソン氏と、母ルさん婆ルさん達については、下記の本が詳しいです


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