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Amazonでレビューしたものです
1.可愛らしいイラストとわかりやすい説明
祖母が認知症になった漫画家・ニコさんが、家族の介護の悩みについて、専門家のアドバイスをもらうという形式の本です。
認知症、特にアルツハイマー型認知症でよく起きる周辺症状(BPSD)を中心に、介護者が困りやすいことを章ごとに解説されています。
章の前半は、その章のテーマに関しての漫画があり、ニコさんと、お母さんの母ルさん、認知症になったお祖母さんの婆ルさんのところへ、佐藤先生がやってくると言う内容です。後半で佐藤先生がそのテーマについて解説をされています。
内容が絞ってあってまとまっており、読みやすく手に取りやすく、お勧めです。
特に漫画部分は、全体的に可愛らしい描き方で、とっつきやすいと思います。
しかし、認知症の方の介護者のつらさと、認知症本人の不安がわかりやすく描かれています。
婆ルさんとても可愛らしいです。
しかし、現実は過酷だっただろうなと思います。本当に。。
2.わたしのお婆ちゃん
この本を読むと、私は自分の父方の祖母を思い出します。
祖母は10年前に他界しましたが、血管性の影響のあるアルツハイマー型認知症の診断を受けていて、この本で扱われている内容の言動をしていました。
17年前に祖父と父が相次いて他界し、その後祖母の認知症で、我が家はとんでもない状態が何年も続きました。
祖母は、父の葬儀の日に家の鍵を忘れてしまい、家の門(大して高くはない)を乗り越えるという奇行があり、「ばあちゃんも息子に先立たれてショックだったのかね」とみんな思いました。うつかと思って受診させたら、実は認知症でした。みんな気づかなかったというか、そこまで余裕がなかったんですよねえ。
元々気が強い祖母は嫁の母の言うことなど聞かず怒りまくり、近所に住んでいる伯母とは微妙な関係になり、同居の弟は文句は言うものの手は出さず・・・。別居の私は、実家が壊れていくのをぼんやりと見ていました。
祖母は施設に入所し、病院で亡くなりました。
3.高齢者は早めの施設入居を
国は認知症になっても住みなれた地域で暮らす方がいいといっています。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/nop1-2_3.pdf
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000079008.pdf
私は、高齢者は早めに高齢者住宅や施設に入った方が良いと考えています。
もちろん家族がたくさんいてみんなで協力して介護できて、最後まで自分の家で過ごすことができればとても良いでしょう。
しかし、今の家族状況でそういう家は少数です。
独居の場合、認知症になったり足腰が弱ればいずれ施設に入らざるを得なくなりますし、認知機能低下が進んでから生活環境を変えるよりも、自分で選んで決断して入居した方が望ましいと思います。
家で転んで倒れて何時間もそのままと言う事態も結構あります。家族が同居でも、日中は仕事をしていない場合も多いです。
同居の場合、昼間デイサービスに行ったとしても、夜と休日は一緒になると、介護する家族は気が休まりません。衣食住の負担は重くのしかかります。疲れて仕事に集中できず、能率が落ちたり体調を崩したり、介護離職になったりします。
3交代のヘルパーを雇えるお金持ちは別ですが、そうでなければ、お互いのために早めの施設入所を進めた方が良いと思います。
1人が1人を介護するよりも10人で10人を面倒見る方が楽だと思いますし、家族だからこそ辛くなる場面も多いです。
自分も家族もボロボロになる前にサポートを使うことをお勧めします。
将来的には、家事介護ロボットが面倒を見てくれるようになったらいいなと思いますし、認知症が治るようになればそれに越したことはないです。
レカネマブ(レケンビ)がさらに効果ある薬になっていくといいですねえ。
作者ニコ・ニコルソン氏と、母ルさん婆ルさん達については、下記の本が詳しいです