黒執事 34巻 【ネタバレあり読書感想文】 優しくない世界のグロい展開
★★★★★
Amazonでレビューしたのものです。
0.これまでのお話
19世紀末イギリス・ヴィクトリア朝。
13歳の伯爵シエル・ファントムハイヴと、彼に使える完璧な執事のセバスチャン・ミカエリス。
ファントムハイヴ家は、「女王の番犬」という裏の役割を持っていて、裏社会の問題を扱い処理してきた一族だった。そのため、命を狙われることも多く、3年前にファントムハイヴ家は何者かに襲われ先代伯爵夫婦は殺害され、シエルも1ヶ月誘拐監禁されていた。
セバスチャンの正体は実は悪魔であり、シエルに従いその望みを叶える代わりにその魂を得るという契約を結んでいた。地獄から彼を救いだして以来、執事として仕え、行動を共にしていた。
女王から下される様々な事件を解決する中で彼らは、裏の仕事仲間だった葬儀屋が、実は離脱した元死神であり、死者をビザール・ドールとして蘇生していたことを知る。
ロンドン市内で人々を集めている施設スフィア・ミュージックホールの調査をしたところ、裏で人を集めて血を抜いていたことが判明した。施設を閉鎖に追い込んだが、シエルのロンドン宅が襲撃される。急いでマナーハウスに戻ったシエルとセバスチャンを、シエルそっくりの男の子が出迎える。実はシエルはシエルではなく、双子の次男が長男を名乗っていたのだ。長男のシエルは誘拐され悪魔召喚の儀式で殺害されたが、葬儀屋が彼を蘇生させており、蘇生の存続のために血液を施設で集めていたのだった。
本物のシエルによって施設の裏の犯罪の罪を着せられた弟の「坊ちゃん」は、警察に追われて逃亡することになってしまった。
裏の仕事仲間・劉と藍猫の協力を得て、シエルの存続に必要な血液の供給組織と思われる4つの施設を分かれて調査を開始し、ついてきた使用人たちと手分けして東西南北に飛んだ。
1つ目の男爵邸では集められたメイドたちから血液が抜かれており、メイドのメイリンと藍猫が破壊した。2つ目の退役軍人療養所にはシェフのバルドと劉が潜入すると、ビザール・ドールのレイラと交戦となりバルドが重傷をおった。
そして、3つ目の新設児童養護院には、庭師のフィニと従者のスネークが侵入したが、スネークの元いたサーカス団のドールと再会した。
1.フィニと哀れな子供たち
①復活のドール
スネークは前のサーカス編で出てきたキャラで、サーカス団員の行方を追って坊ちゃんを狙ってきたところ捉えられ、騙される形で坊ちゃんの従者になりました。
サーカス編は、子供を攫う移動サーカスにセバスチャンたちが侵入する話で、最終的にサーカス団は伯爵家を襲撃して返り討ちに合い、スネーク以外は殺害されています。
なので、ドールも死んでいるはずですから、きっとビザール・ドールなのでしょう。
と思っていたら、シエルと同じように体調を崩して倒れました。やっぱりでした。
②集められ厳格に管理された子供たち
孤児を集めて教育するF .O.L.児童養護院。
ポメラニアン、コーギー、コリー、マスティフと、犬種名で、適正ごとに分けられた子供たちは、服装から時間割内容、食事まで分けられ決められていました。
そして最年長はシエルぐらいの年齢の子です。
「巣立ちの日」に巣立っていって、新しい家族に迎えられるとされています。
ドールのことを「坊ちゃん」に知らせようとして、院に不信をもつ年長組の4人に捕まったフィニ。
彼らによるとこの院には秘密があり、「巣立ちの日」で巣立った子供たちは実は巣立っていないといいます。
フィニは協力して院の裏に侵入することに。
そこで見たものは、、、
そして、ドールはスネークに”真実”を伝え、復讐を誘います。
スネークの選択は、家族か、それとも。。。
黒執事はダーク・ファンタジーではありますが、シエルに「坊ちゃん」といい、フィニにスネークにサーカス団といい、子供に対して残酷すぎやしませんかい?
かわいそう、ジニー。。。
2.星への捧げ物といくつかの疑問
①カノープスはだれ?
スフィア・ミュージックホールは、お星様と呼ばれる4人の上位の存在に、”きらめき”=血液を供給するための施設でした。
お星様は、シリウス、カノープス、ベガ、ポラリス、という名前で呼ばれており、シリウスは兄のシエルと判明しています。
またポラリスはシエルと葬儀屋と会話をするシーンがあります。顔は見えませんが、執事と名乗り、おそらく成人男性と思われます。またシエルとの会話で、シエルと同様にビザール・ドールと推測されます。
ベガは、口調から前の巻で出てきたビザール・ドールのレイラ(またはアル)だと思われます。(が、レイラはカノープスが自分のご飯と発言しているためそこが矛盾点となっています。)
この、F.O.L.児童養護院も、お星さまへきらめきを捧げるために作られたものでした。
しかしそのきらめきは、血液だけではなく、丸ごとでした。
グロいよお。。。
ポメラニアンはシリウスに、コーギーはカノープスに、コリーはベガに、マスティフはポラリスに捧げるために、適正にあった子供を選び育ている、ということのようです。
確かにポメラニアンのテオは、兄シエルとほぼ同じ服装をしており立ち振る舞い雰囲気も似ています。教育内容もチェスを含めて貴族のようです。ポメラニアンはみんな男の子のようです。
コリーの服装は色が違いますが、レイラとよく似ています。コリーはみんな男の子ということなので、アルの肉体がメインでレイラは二卵性双生児の片側の人格が入った(入れられた)のでしょうか。
マスティフは男の子で執事の格好に上級使用人の教育を受けています。
コーギーは、女の子のようですが、ズボンに着物のような上着と男の子のような、仕事をしないようなラフな格好であり、乗馬などの運動をメインにこなしています。
そしてその格好は、ドールの服に類似しています。
すると、カノープスはドールということになると思われます。
毎日自分に臓器を捧げられる女の子たちの面倒を見て、励ましているのでしょうか、ドールは。。。
怖いよう。。
そしてここまで揃えているのに、マスティフはポラリスと年齢が違いそうなのも疑問ですね。
②臓器移植の疑問点問題点
10歳で死んだシエルが、13歳の「坊ちゃん」と同じぐらいまで”成長”しました。
それには部品が必要だったということなのは理解できます。(したくないけど)
ただ、定期的に巣立つのは疑問があります。血液以外にも臓器を定期的に提供しないと存在できないということなのでしょうか。
さらに、血液型と性別を合わせて提供しても臓器が適応しないということのようです。
我々の世界では、血液型以外にも、免疫系などをクリアする必要があり、臓器を移植してもなかなか一致はしません。
この世界はどうなのでしょう?
③なぜドールは"真実"を知ったのか?
最後にドールは、サーカスのみんながどうやって殺されたかをスネークに語ります。
ドールは男爵家の外でセバスチャンに殺されたので、家の中で殺されたジョーカーや男爵の死に方、ファントムハイヴ邸で殺されたみんなの死に方は、知らないままだったはずです。
なぜドールがそれを知っているのかについては、可能性としては葬儀屋に聞いたという可能性と、他のみんなもビザール・ドールになって直接聞いたという可能性がありますが、
といっていることから、後者の可能性は低そうです。
炎をに撒かれる男爵邸をシエルを連れた葬儀屋は見にきており、セバスチャンたちがいなくなった後で、ドールは回収されたのでしょう。
当時は「坊ちゃん」の裏の仲間だったため、葬儀屋にサーカス団の死体の処理が頼まれ、そこから殺され方を推測したか、葬儀屋が確認したのでしょうか。
職員の「あの方達」という言い回しから、葬儀屋以外にも離脱組と呼ばれる元死神が、ビザール・ドールに関わっているのでしょうね。
葬儀屋と同じように、ここまでして生き延びさせたいお星さまに思い入れのある元死神なのでしょうか。
ポラリスの正体も不明ですし、まだまだ登場人物が増えそうです。
3.アニメ放送中!
アニメ『黒執事 -寄宿学校編-』
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すごい絵が綺麗ですよーー
これを機会に、サーカス編も見直したくなりましたね。
よろしければこちらもどうぞ〜