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SS

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書いたSSをまとめます。自分用です。 背景はフリー素材お借りしました。
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#ss

Fishbowl with mirror surface【SS】

Fishbowl with mirror surface【SS】

 青いばかりの中、ぼくらは存在していた。
 複数のぼくら。色んなぼくら。
 そこは、ぼくらがいっぱいで少しだけ息苦しかった。
 そんなある日、ぼくは、『ぼくら』の中からすくわれた。
 『ぼくら』から、『ぼく』になった。
 青い場所よりも狭く、だけど広い。息苦しさもない。
 ぼくは、

 ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる。

 どこまで廻っても追ってくる、『ぼく』を見つめながら進む。
 『ぼく』とは

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飛行機に気をつけろ。【SS】

飛行機に気をつけろ。【SS】

「朝ご飯できてるわよ~」

 カーテンの隙間から覗く光を感じた瞼が、開くのを拒む。
 お母さんの声が幾度となく名前を呼ぶので、頭からかぶった布団を仕方なく引っぺがして起き上がる。
 目は殆ど閉じたまま、昨夜用意しておいた制服に袖を通し、鞄を持ってリビングに向かう。
「おはよう」
 あくび交じりに声をかけた背中からは同じ挨拶が帰ってくる。
 制服の上着と鞄を隣の椅子に置いて、洗面所に向かう。
 顔を

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アネモネの約束 【SS】

アネモネの約束 【SS】

 その出会いは、鮮烈に私の脳裏に焼き付いている。

 休学明けの初登校日。
 久方ぶりの学校に、緊張から早く目覚めた私は人気のない通学路を一人歩く。
 春の日差しが心地よく、春の香りの漂う朝。
 そんなうららかな日差しを浴びながら、少し離れた視界の隅で人影がすくっと立ち上がった。
 突然の人の気配に驚いて、目をやる。
 その人は、手にした紫色の花弁にそっと口付けを落とした。
 ただそれだけの動きが

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恋枯らし 【SS】

恋枯らし 【SS】

【 こがらし 】

 
 景色が流れていく。
 がたん、ごとん、時折大きく縦に揺られながら、窓の外を眺める。
 遠くに見える、紅く色づいた山の木々。
「いつか、一緒に」
 薄明りの中、指と指を絡ませて約束した場所。
 彼方まで続く線路を見つめながら、目を閉じる。心地いい揺れに身を任せた。
 そう。ちょうど、——あの人と出逢った頃と同じように。

「牡丹、本当に店辞めるの?」
 最後の客がママを伴っ

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二心同体【SS?】

「いらないのなら、頂戴!」

 その人は私の手を取り、言った。
 頭2つ分、低いところから見上げられた真っ直ぐな視線が、私に突き刺さる。
 真っ直ぐな眼差しを避けるように泳いだ私の目線は、自分があえて揃えて脱ぎ捨てたパンプスを映した。

 ああ、そうだ。わたしは——死のうとしていたんだ。

 その後のことはよく覚えていない。
 わかることは、わたしは「生きた」まま意識を手放すことを許されたこと、「

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あおい鳥のゆくえ【SS】

あおい鳥のゆくえ【SS】

 その人はいつも路地裏で膝を抱えていた。
 普段は夕方、いつもすぐ傍の大通りで賑やかに芸を披露している。そんな人。僕はそれを、いつもスクールの行きに少しだけ目にしては、時間に追い立てられ名残惜しく通り過ぎる。
手品やジャグリング、あるいはその両方で自在なパフォーマンスを披露していて。
 繰り広げられた珍しい見世物に人はよく足を止めたが、活気を失ったように人の集まらない日もあった。殊に、彼が初めて

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From the cradle to the grave【SS】

From the cradle to the grave【SS】

 ひんやりとした空気を肌に感じた気がして、クオーレは服の前をかき抱くように合わせようとした。
 そうして、自分が薄布一枚しか身に纏っていないのだということに気が付く。
 部屋に――というよりは住居内に、一つしかない窓。くもりガラスのような板が嵌められたそれは隙間なくぴったりと閉まっている。
 空間の温度の管理は一定で、暑いも寒いもない。
 半袖の薄いワンピース一枚で、十分に過ごせるのだ。
 だから

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まさか先を越されるなんてね

 いつか別れが来ると知っていた。
 求婚し、されて番になり、子を無し血を繋いでいくことを良しとするだけの生き物。
 同じ「生」を持ち、違う「種」に産まれただけ。

「やあ、元気かい」
 朝になるとそう言って窓を開けて、彼は私を迎えてくれる。
 夕刻なんとなく帰りそびれた私を見つけると部屋に入れてくれた。一緒に寝たこともある。
 私が小さかった頃、怪我をした私を手当てしてくれた彼はまだ少年の色を残し

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君と僕の興味

君と僕の興味

「あーあ、つまんない」
 賑やかな校舎内の中、洩らされた小さな声を聞き逃さなかったのは他でもない。
 帰らないのか? と疑問を向ける級友達に手を振って、教室から出て行く姿を確認。窓際で頬杖をつく女子生徒の元へと足を運ぶ。
「この天気、やだよねぇ。帰らないの?」
 問いかけの最後には、彼女の名字をさん付けで。
 僕と彼女は対して仲良くない。滅多に話すこともなかった。
 この年頃としてはこんなものなの

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温めてくれない

温めてくれない

 大学卒業と共に一人暮らしを始めた。何もかも真新しい家具や生活用品で囲まれた小さな自分だけの城。
 なんの不満もない――はずだった。
 と言うのも、実家を出てからどうにも眠りが浅い。

 新生活に慣れない。
 買ったばかりの寝具の寝心地に慣れない。
 始まったばかりの社会人生活に慣れない。

 心当たりは山ほどあった。

「眠そうな顔してるな」
 今日も先輩上司に肩を叩かれる。
「早く布団に帰りた

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手折ってしまえたらどんなにか

手折ってしまえたらどんなにか

 窓の外を小さな花弁が無数に舞っている。
 そんな様をぼんやりと見つめていた。

「あなたの好きな花はなんですか」

 不意に隣で足を止めた人が言う。
 私はその人をちらりと横目で見て、また、外に戻した。
「花は嫌いです」
「どうしてですか」
「いくら希っても、その姿を留めておけないから」
 隣に立った人が少しだけ空気を揺らす。
 笑ったのだと、思った。
「それでもまた、来年咲きますよ」
 触れる

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その願いで咲く花は

その願いで咲く花は

 目深に被った帽子の下で、大きく息を繰り返す。
 傍にいる人には気付かれないように、浅く、浅く、深く。
 檻の中に居た私に手を伸ばしてくれた人。
 この人の傍でなら、呼吸ができる気がしていた。
 空も飛べるような心地がしたのに。
 思い切って飛び出して、知ってしまった。気付いてしまったの。
 私がいたのは水槽だった。
 私は魚で、水がないと生きていけないことに。

 それでも、
「私、人でいたいの

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心が望んだものは

心が望んだものは

「あ、」

 一緒に帰っていた友達二人の、どちらの声かはわからない。吐息のような声。
 その声に、地面を見ていた顔を上げた。
 マフラーに埋もれていた口元が外気に晒され、大きく吐き出した息が白く昇る。
 アスファルトを照らし始めた目がくらむほどの橙の日差しが、視界に飛び込んできた。
 その陽光に照らされて輝きながら、透明な球体がゆらゆらとまだ青みを帯びた空を映し込んで浮遊する。

「しゃぼん玉……

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満たされなかったものは

満たされなかったものは

「お腹が空いてるの」
 彼女が呟いたので、僕はポケットから飴玉を取り出す。
 人形のような表情で、暗い瞳が差し出したそれに一瞥をくれる。
 つまらなさげに顔を背けて、要らない。と吐き捨てた。
 彼女が受け取らなかった飴玉を僕は口に放り込む。
「食べたいと思っていたものを目の前で食べられる気持ちって、今の君にわかるかしら」
 ちらりと視線を送られて、僕は口の中の飴玉をうまく舐められない。
 静まり返

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