棚の本:賢い人がなぜ決断を誤るのか?
認知バイアスと、組織の意思決定の本です。
CEOが最終意思決定者であることを前提に、組織の意思決定を改善するにはどんな方法があるかが書かれています。前半に代表的な認知バイアスが事例とともに紹介されています。
くまとら便り
棚主は『こどもバイアス事典』で基本を、『考えすぎてしまうあなたへ』で個人のメンタルヘルスに影響するネガティブ認知バイアスを知りました。
認知バイアスの存在を知ったうえで、最後にこの堅めの本を読めば、無意識の認知バイアスの影響も、ひらりとかわせるのでは、と思っていました。
否。
本書によれば、「自分自身のバイアスは克服できない」のだそうです。以上です。
ただ、他者のバイアスには気が付くことができるので、組織の意思決定では、協働・プロセスが重要で、方法・仕組みによって改善できる、ということでした。
では、個人が認知バイアスを知ることに何の意味があるかですが、「他人の意思決定や選択について議論する時に用いる語彙を豊かにする」(ダニエル・カーネマン)、認知バイアスに関する「共通言語を持つ」(著者)ことも重要だという文章が、少しずつ頭に浸透してきます。
共通言語を持とうとしない人もいますが、言葉が広がって、組織の対策がついてくることは多いですからね(パワハラとか)。
付録で5つのバイアスグループと、組織のより良い意思決定のための40のテクニックが紹介されています。
個人的には、集団思考、集団極性化の概念を知れてよかったなと思います。また、下の者の革新的な意見はトップに届かず、トップの直観(思いつき)が通ってしまうメカニズムというものがあるのね、とも。
そのほかのこと
原題は、『YOU’RE ABOUT TO MAKE A TERRIBLE MISTAKE!』 で損失回避の認知バイアスを利用したタイトルになっています。
邦題は、合理的でない判断を引き起こす認知バイアスを利用しなかったようです。
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