棚の本:こども倫理学
新しい棚のテーマは、「よいとわるいと、AI」です。
ChatGPTなどのAIの登場で、世の中が激変しているというではありませんか。
世界が変わる時、良いと悪いの境界線も問い直されます。
今回は、倫理に関する入門書やエッセイ、ChatGPTやAIの関連書籍を棚に並べてみました。
「こども倫理学」は、倫理学の体系を大掴みするのに、最適な本です。
くまとら便り
倫理学という学問体系を、正直よく知らないという意味では、棚主はこどもと同じです(頭が硬くなった分、飲み込みが悪いかもしれません。)。
まずは、易しい本を読んでみるのが良さそうです。
カンゼンのこどもシリーズは、以前「こどもバイアス事典」を紹介しましたが、こども向けの本と、侮るなかれ。こちらの「こども倫理学」も大変良くまとまっていました。
倫理学を知りたいと思った方の最初の一冊に、おすすめです。
冒頭は「迷うかも?あなたならどうする?」という章で、「トロッコ問題」、「安楽死」などの重要問題が提示され、自分で考えることの大事さや面白さを感じられる本の作りとなっています。
昔、小学校の道徳の時間に感じたような、うす気味の悪さは、個人的には感じませんでした。
読み進める過程で、倫理理論(「規範倫理学」)としては、「徳倫理学」「義務論」「功利主義」といった主要理論から、20世紀後半に現れたジョン・ロールズの「無知のヴェール」、キャロル・ギリガンの「ケアの倫理」まで、幅広くそのポイントを学べるようになっています。こども向けなのに、正義の倫理とケアの倫理の関係性にまで触れられていたり、色々な点で秀逸です※。
加えて、倫理とは何か、法律やマナーとはどう違うかや(「メタ倫理学」)、SNS時代の「情報倫理」、「環境倫理」や「経済倫理」、医師・国家公務員・弁護士の「職業倫理」(「応用倫理学」)まで網羅しています。
しかも、圧倒的に分かりやすく、読みやすいのです。
大人とこどもが一緒に読んで、環境問題と世代間倫理について対話してみる、というような使い方もできそうです。
※選書時、アリストテレスの「ニコマコス倫理学」という本も気になっていたのですが、「ニコマコス」って何のこと?と思っていました。
「こども倫理学」には、息子の二コマコスがまとめたと書いてあり、棚主の謎は解けました。
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