【連載小説】十三月の祈り ep.9
夜のホームで女の子が倒れていた。どうしたのかと彼女の顔を見ると、口元が赤い血で染まっていた。――あなたがそう書き記したのは、遡ること四年前の真冬。真冬にしては、薄いトレンチコートを羽織って震えた手で口元を押さえていた女の子は、彼女、由紀さんだった。あなたはすぐに理由を問わず、自分の羽織っているダウンを脱いで彼女の身体に被せた。そのとき、あなたは由紀さんのショートパンツから出ている脚が素足で、倒れた拍子のせいなのか、膝に青紫色の痣と傷ができているのを見つけた。きっと、その瞬間