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【中編小説】十三月の祈り

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100枚ちょっとの小説を置いています。某賞の落選作です。
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記事一覧

【連載小説】十三月の祈り 目次

連載していた「十三月の祈り」を終えたので、目次一覧を作りました。クリックして飛べると思い…

ふじこ
3年前
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【連載小説】十三月の祈り 最終話

「わー、申し訳ありません。不注意でした」   店員が屈み込んで、ノートを拾い上げる。彼が…

ふじこ
3年前
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【連載小説】十三月の祈り ep.13

 窓の外で風が唸る音がした。食事を終えるとあなたは立ち上がり、カーテンを少しだけ引いてそ…

ふじこ
3年前
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【連載小説】十三月の祈り ep.12

 あなたと最後に会った夜のことを、何度も思い出した。もし、あのときわたしがあなたを救えた…

ふじこ
3年前
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【連載小説】十三月の祈り ep.11

 バスがトンネルに入り、膝元に置いたあなたの日記に暗いオレンジ色の陰が滑っていく。顔を上…

ふじこ
3年前
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【連載小説】十三月の祈り ep.10

 バス停に辿り着くと、ベンチにはひとりも姿がなかった。時刻表を確認すると、やはりバスが発…

ふじこ
3年前
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【連載小説】十三月の祈り ep.9

 夜のホームで女の子が倒れていた。どうしたのかと彼女の顔を見ると、口元が赤い血で染まっていた。――あなたがそう書き記したのは、遡ること四年前の真冬。真冬にしては、薄いトレンチコートを羽織って震えた手で口元を押さえていた女の子は、彼女、由紀さんだった。あなたはすぐに理由を問わず、自分の羽織っているダウンを脱いで彼女の身体に被せた。そのとき、あなたは由紀さんのショートパンツから出ている脚が素足で、倒れた拍子のせいなのか、膝に青紫色の痣と傷ができているのを見つけた。きっと、その瞬間

【連載小説】十三月の祈り ep.8

 チェーンを掛けたまま、彼女は玄関ドアを開けた。ドアの隙間から見える目は、アイラインでし…

ふじこ
3年前
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【連載小説】十三月の祈り ep.7

 間もなく、わたしの洗濯物が終わって、軽く挨拶をして逃げるようにその場から立ち去った。コ…

ふじこ
3年前
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【連載小説】十三月の祈り ep.6

 目覚めた先から忘れてしまう悪夢を見て、アラームではなく息苦しさで起きた日。身体を覆う布…

ふじこ
3年前
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【連載小説】十三月の祈り ep.5

 あなたの顔を真近で見たとき、視線に耐えられずわたしは目を一瞬逸らして、サンダルから出た…

ふじこ
3年前
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【連載小説】十三月の祈り ep.4

 十二年前の真夏。わたしは白いTシャツにデニム生地のハーフパンツを履いて、日傘も差さずに…

ふじこ
3年前
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【連載小説】十三月の祈り ep.3

――頭痛がする。3日も続けて雨が降るなんて最悪だ。薬を飲んでも痛みは引かない。頓服も飲ん…

ふじこ
3年前
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【連載小説】十三月の祈り ep.2

 吸い込まれるようにして落ちていく。現実の騒々しい景色の中に。  束の間の想像が終わると、目の前にマスクをしてコートを羽織った人間たちが並んでいるのが見えた。電車が遅延していることを告げるアナウンスの声が響き渡ると、ホームに残された人々は一様に眉間をしかめながら、苛立ちと落胆を露わにする。周囲の嫌悪から背けるように、わたしは構内の屋根と屋根の間に挟まれた空を仰ぐ。眩しいほど、十二月の空は白く反射していた。試しに息を吐いてみても、それはまるで存在していないかのように、外気に色も