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元・南極越冬隊の料理人、社食のシェフになる 「日々の食事にこそ喜びを」
※本記事は過去にビズリーチに掲載したもので、掲載当時の内容となります
東京都世田谷区のある会社に、「南極越冬隊」で料理人を務めたシェフが取り仕切る社員食堂があります。その会社は、アバターアプリの開発などをてがけるココネ。シェフの島田剛さんはココネの社員で、社員食堂はココネの一部門です。料理人として異色のキャリアを歩む島田さんの、仕事に対する思いとは。
島田 剛(しまだ つよし)
高校卒業後、東條會館入社。ホテルニューオータニなどを経て、2006~2008年、48次南極地域観測隊の越冬隊員として1年間極地で調理を担当。帰国後、ダイニングバーやイベントスペースでシェフを務める。2017年、社員食堂のシェフとしてココネに入社。リーダーとして、社員用カフェやバーの運営を取り仕切る。1966年生まれ。埼玉県出身。
「食事は楽しくなきゃ」
「第48次南極地域観測隊 ―行動実施計画―」
そう書かれた資料の中に、島田さんの名がある。名前の横にある担当分野の欄に記されているのは「調理」。南極圏で1年、35人いる「越冬隊」の食事に責任を持つのが任務だ。
「死んでも帰れない」という島田さんの表現は、比喩でもなんでもない。夏期だけ活動する「夏隊」が観測船の「しらせ」で引き揚げた後は、次の隊が再びしらせで訪れるまで物理的に外界から隔離される。文字通り何があっても帰れず、食料が足りなくなっても、補給はできない。