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「ファースト・マン」彼が抱くのは、希望か希死か

最愛の娘、苦楽を共にした仲間
多くの死と向き合った彼の選択とは

映画「ファースト・マン」を鑑賞しました。

人類で初めて月面に降り立った、ルイ・アームストロングの1961〜1969年の8年間を描いた作品です。

監督は「ラ・ラ・ランド」「セッション」「バビロン」のデイミアン・チャゼル。

私が大好きな監督の一人です。

チャゼル監督は、「ラ・ラ・ランド」で2016年のアカデミー賞監督賞を史上最年少32歳で獲得しています。

今回紹介する「ファースト・マン」は「ラ・ラ・ランド」の次作にあたる作品で、ライアン・ゴズリングと再びタッグを組んでいます。

しかしながら、興行的にも、批評的にもあまりふるいませんでした。(アカデミー賞視覚効果賞は受賞していますが)

しかも製作総指揮はあのスティーブン・スピルバーグにも関わらずです。

今回の記事では、そんな映画「ファースト・マン」が「ラ・ラ・ランド」を上回らなかった理由と、ここに注目すると作品がグッと面白くなるという解説をお伝えします!

「ラ・ラ・ランド」を上回らなかった理由

まずは「ファースト・マン」が「ラ・ラ・ランド」を上回中った理由について解説します。

結論からいうと、「ファースト・マン」は暗い物語だからでしょう。

前作「ラ・ラ・ランド」は「シェルブールの雨傘」や「雨に唄えば」を意識した、色彩豊かで、音楽も華やかな作品でした。

また、男女の恋愛を中心としたストーリーであったため、万人受けしやすかったというのもポイントです。

加えて、マーゴット・ロビー級のドル箱俳優がライアン・ゴズリング以外には出演していなかったのも、マイナスだったのかもしれません。

宇宙を舞台にすると、どうしてもセットや撮影に費用がかかり、キャスティングが弱くなっちゃいますね。

また、「セッション」のように、人と人との衝突や、関わりもあまりあまりなく、ニール・アームストロングの行動や心情にのみフォーカスしていました。

「セッション」のような人間ドラマを期待していた人にとっても、物足りなかったのでしょうね。

しかし私は、ニール・アームストロング一人にフォーカスしたからこそ生まれた面白さもあったのではないかと思います。

アームストロングの目線

デイミアン・チャゼル監督の映画といえば、カメラワークが印象的です。

「ファースト・マン」では、ほとんどがアームストロングの目線で撮影されます。

そのため、臨場感がもの凄い。

アームストロングの焦燥感や、その時の息遣いまで感じることができます。

息の詰まるような場面が盛りだくさんです。

特に、ジェミニ8号に乗りこむシーン。

狭い船内に搭乗し、徐々にハッチが閉まっていき、様々な不安を抱えたまま宇宙へと打ち上げられる。

もう、心臓バクバクです。

閉所恐怖症の人とか、キツイんじゃないかなと思うほどです。

また、仲間の犠牲や、月面着陸機の訓練で怪我した時にはブレブレのカメラワークでもって強烈に不安定な気持ちを表しています。

キューバ危機や、ベトナム戦争で、世間的な不安定さも相まってカメラが揺れる揺れる。

こちらまで不安になってしまうあの演出は本当にお見事です。

月が表すもの

今作は言わずもがな、アームストロングが月を目指すお話です。

アームストロングは、娘の死を機に、月を目指すことを決意するのですが、ここで意識したいのが、月は何を象徴しているかということです。

こちらに関してはブログで詳しく解説します。


ライアン・ゴズリングの演技力

「ファースト・マン」では主演のライアン・ゴズリングの演技にも注目です。

「ラ・ラ・ランド」でもクールな男を演じていましたが、今回はもっとすごい。

アームストロングはあまり感情を表に出さない人物だったそうです。

「ファースト・マン」でも、ほとんど笑顔がありません。

そんなアームストロングの人柄を実によく演じ切っています。

クールさを前面に押し切っているからこそ、劇中2度だけ見せる泣きの演技がとても心に響いてきます。

この俳優にも注目

もう一名紹介したい俳優は、オリヴィア・ハミルトンです。

アームストロングの同僚の妻を演じています。

オリヴィア・ハミルトンは、チャゼル監督のパートナーです。

「BABYLON」でも素晴らしい演技を披露しています。


今日の映学

最後までお読みいただきありがとうございます!

映画「ファースト・マン」の見どころと、今一つ評価されない理由を解説しました!

「ラ・ラ・ランド」や「セッション」とは大きく印象が異なる作品ですが、素晴らしい作品ですのでぜひ一度ご鑑賞ください👍

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