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「バビロン」について、もっと語りたい【二回目鑑賞で気づいた事】
ネリーの涙 ジャックの表情 目を覆いたくなるシーン
爬虫類 気になるあの場面
それぞれに込められた 映画への愛情
映画「バビロン」を再び鑑賞しました。
一回目もとても面白かったのですが、如何せん、自分の知識不足で、感動しきれなかったような気がします。
今回の記事では、「バビロン」を二回目に観て気づくことができたポイントや、さらに気になったことについてご紹介します!
※ネタバレを含む記事ですので、未鑑賞の方はご注意ください。
映画の礎となった人々への鎮魂歌
「バビロン」は、映画業界において、夢破れた人々のドラマを描いています。
しかし、犠牲となった彼ら、去っていった人々の人生は、今の映画に引き継がれている。
一回目の鑑賞では、ラストシーンでそれが発覚し、面食らってしまい、泣く暇がありませんでした。
しかし、二回目に観ると、もう泣けて泣けてしょうがなかったです。
エレノアとジャックが話すシーンで、もうすでにグッときます。
こちらに関しては、前回の記事で詳しく解説していますので、映画の本質を掴んで泣きたい方はぜひこちらをどうぞ👇
汚いシーンの理由
そんな、映画や映画に関わった人々への愛がたくさん詰まった映画なのに、「バビロン」には汚いシーンやグロテスクなシーンが結構あります。
その理由は、「雨に唄えば」で描かれていない、当時のハリウッドの裏側や汚い部分を描きたかったからなのです。
デイミアン・チャゼル監督の挑戦ともとれますね。
特に、冒頭の象のシーンと、中盤の嘔吐のシーンが印象に残るかと思います。
象の脱糞を浴びる
象の脱糞を、マニーが浴びるシーンは、排泄物のように、雑に、使い捨てのごとく扱われる人々がいたということを表現しているのです。
使い走り、雑用のような仕事しか与えられないメキシコ人のマニー。
彼が映画関係者としてのし上がっていく様を描くために、必要だったわけですね。
嘔吐のシーン
ネリーが嘔吐するシーン。
私は始め、キック・アスのオマージュかと思いましたが、どうも違いますね笑
あれは、映画の出資者や、パトロン的な人々、上流階級の人々への吐き気を表しています。
映画に関心のある金持ちの、知識のひけらかしや、教養自慢、そして上流社会ならではの鼻につく態度の数々をネリーの嘔吐によって、吐き気を催すものだと表現している訳です。
爬虫類が登場する理由
二回目の鑑賞で気づいたのですが、バビロンには、ヘビ、トカゲ、ワニなどの爬虫類が登場しました。
こちらの内容はブログにてお伝えします👇
ネリーの涙
ネリーは、いつでも泣けるという特技をきっかけに、ハリウッドでブレイクしていきます。
ここが、先述の、”父親から性的虐待を受けていた”という点に絡んできます。
マーゴット・ロビー演じるネリーは、クララ・ボウという女優をモデルにしています。
クララ・ボウは、かつて父親から性的虐待を受けていた上に、母親に殺されそうになったという悲しい過去を持ちます。
そのため、ネリーがあの時言った「故郷を思えば泣ける」というセリフは、郷愁の念ではなく、過去の苦しみからくる涙であるという意味なのです。
あのシーン、めっちゃ泣けます。
ジャックの表情
「バビロン」では、ブラッド・ピット演じるジャックがアップになるシーンが何度かございます。
ジャックのアップと、スローモーションが何度か切り替わる映像ですね。
一つは、先ほど紹介したヘビのシーンです。
ネリーがヘビに噛まれたことで、そこにいたギャラリーが、右往左往するシーンを切なげな表情で見つめるジャック。
あれは、映画の前半で、かつてジャックが主演した、戦争映画の撮影を思い出しているのです。
また、中盤の、駄作の撮影に臨むシーンでは、カメラマンや監督などのスタッフをゆっくりと眺めるシーンがございます。
どちらのシーンにおいても、あの頃のバタバタと必死で動き回る映画の撮影の終わりを物悲しく思い、自分が中心となってその中に存在することはもうできないのだという憂いを表しているのです。
名作オマージュ
「バビロン」は、これまでのあらゆる映画が、今日の映画の礎になっていることを表す、愛のある映画です。
そのため、これまでの映画への感謝を込めたオマージュもいくつか観られました。
第三の男
ジャックが映画館へ自分の映画を観にいくシーンは、「第三の男」のオマージュです。
シャイニング
ジャックがホテルの部屋で自殺するシーンですね。
「シャイニング」では、237号室や、犬男など、部屋の外でドアの隙間から室内を除くカットが何度か登場します。
市民ケーン
何度か、新聞記事のアップがみられます。
あれは「市民ケーン」で繰り返し用いられるシーンです。
エスター
トビー・マグワイア演じるマッケイが、映画のアイデアを語るシーン。
このストーリーが、「エスター」そっくりです。
フリークス エレファント・マン
マッケイに率いられ、入った地下施設。
こちらの地下2階は、小人症や奇形の人々がたくさんいる、見世物小屋のような場所でした。
また、冒頭のパーティでも、小人症の男性がショーをしていましたね。
これらは「フリークス(怪物園)」をオマージュしています。
クイックパン
映画監督には、それぞれお家芸的な表現技法がございます。
キューブリック監督なら”シンメトリー”
タランティーノ監督なら”香港ズーム”
そして、デイミアン・チャゼル監督といえば”クイック・パン”なのです。
クイック・パンとは、高速でカメラをふる撮影技法です。
「ラ・ラ・ランド」でも「セッション」でも観られました。
一回目の鑑賞では、あまり気づきことができませんでしたが、「バビロン」では、かなり何度もクイック・パンが披露されています。
クイック・パンは、高速でカメラを振るため、ピントを合わせるのが非常に難しい技法だそうです。
ぜひ、その見事さを味わってみてください!
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
「バビロン」を映画館で観ることができる自分は、本当に幸せだと思います。
それほど、私にとっては特別な映画になりそうです。
2023年、これ以上の映画に出会えるのかな…。
この記事を面白いと思っていただけた方は、ぜひ当ブログへお越しください👇