旅するビスケット。ビスケットの定義とこれからやりたいこと
今日はそもそもビスケットとはなんぞやというお話を。
まずよく問われるのがビスケットとクッキーの違い。日本では全国ビスケット協会による定義づけがされているので、そちらを最初にご紹介します。
全国ビスケット協会による定義
下記が1971年(昭和46年)より一般社団法人全国ビスケット協会による「ビスケット類の表示に関する公正競争規約」で定義づけされたものとなります。
▼ビスケット:小麦粉、糖類、植物油脂、食塩を主な材料とし、オーブンで焼いたもの。
▼クッキー:
ー糖分と脂肪分の合計が全体の40%以上を占めるもの
ー「手作り風」の外観を有するもの
ー乳製品やはちみつなどを使い、製品に特徴をつけて風味よく焼き上げたもの
ー全国ビスケット公正取引協議会の承認を得たもの
本定義は、1971年当時クッキーがビスケットよりも高級品だと思われていたため、消費者が分かるよう何らかの定義づけをしてほしいとの要請があったことから設けられたそう。
2つの焼き菓子を区別する際、見た目が手作り風かどうかが見分けの大きなポイントとなります。クッキーは今や工場生産の安価なものも市場に出回り気軽に購入できるものになりましたが、確かにそうした工場生産のものも一つ一つ形が違っています。スーパーやコンビニで手軽に手に入る商品一つとっても違いをはっきり区別していることがわかりますね。
海外での定義
続いて、海外ではどのような定義づけがされているかイギリスとアメリカを例にみてみましょう。
▼イギリス
イギリスでは焼き菓子全般のことをビスケットと呼び、クッキーという単語は使われません。また、パンのような焼き菓子はスコーンと呼ばれています。
▼アメリカ
焼き菓子全般をクッキーと呼ぶため、クッキーもビスケットも全てクッキーと呼ばれています。ちなみにスコーンに似たパンのような焼き菓子(日本だとケンタッキーなどで販売されています。)のことを「ビスケット」と呼ぶため、アメリカでのビスケットは異なる意味合いとなります。
ビスケットとクッキーの発祥
ビスケットは、イギリス発祥の焼き菓子。「2度焼かれたもの」を意味するラテン語の「bis coctus(ビス・コウトゥス)」が語源だと言われています。元は航海や遠征のための保存食として日持ちを良くするために2度焼いたパンを持参する習慣があり、これがビスケットの起源とされています。
一方クッキーはアメリカ発祥の焼き菓子。小麦粉を使用した焼き菓子はすべてクッキーと呼ばれています。「小さな焼き菓子」を意味するオランダ語「koekje(クーキェ)」が語源だと言われています。
サブレとクラッカーの存在
クッキー同様にビスケットとの違いを聞かれる存在としてサブレがあります。サブレはフランス発祥の焼き菓子でフランス語で「砂」を意味する「sable(サブル)」が語源となります。サブレは、数あるクッキーのなかの、ひとつの種類。バターの風味が強く、サクサクとした軽い食感をもつことが特徴。サブレは、フランスのサブレという町に住んでいた侯爵夫人のレシピが元となり、フランス社交界で評判となって、そこから世界中に広まったと言われています。
イーストや酵母を使って生地を発酵させて作られているクラッカーは成分こそ違えどビスケットの1種。上に何かのせたり食事の前菜として食べたりするのが一般的で味付けは塩味となっています。
私の定義づけ
社会人留学をしていたフランスではビスケットに加え、サブレもたくさんいただいてきましたが、どれも表記は「Sable Biscuits」と明記されており、フランスではサブレはビスケットの一種としてとらえられていました。また、日本でもハトサブレやスーパーなどでよく目にするココナッツサブレなどにみられるように一つ一つの形は均等で「手作り風」ではないことがわかります。そのため、「ビスケット」と表記があるものに加えてサブレやクラッカーも入れてご紹介をしていこうと思っています。
これからやっていきたいこと
自分の中の最大のポイントはクッキーが「手作り風」の外観を有するという定義だという点。ということは言葉を変えると「ビスケット」は工場生産など機械で均等に作ったものが多いということ。
一つ一つ手作りで作るクッキーは各家庭に作っているところを見に行かせていただくのは難しいが、「ビスケット」であれば自分が希望し製造側に了承を得ることができた場合には作っている工程を見に行くということも可能だと考えています。そのため、今後国内や海外のビスケット工場にアプローチをして見学をさせてもらおうと企画中。承諾を得るのはなかなか難しいかもしれないけれど、宣伝や商品のPRといえば許可をもらえる機会も多いかもしれない。
なかなか見ることのないビスケット製造現場を読者の皆さんにお伝えしていきたいので、どうか「旅するビスケット」企画を応援していただけたら幸いです。