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【福井微住日記】(日本語版)

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2020年5月の記事一覧

微住生活は不自由。 だからハマる!/大野微住:後編

文:伊藤 ゆか 微住に来ていた台中の大学生メンバーに、微住中の生活について聞いてみた。 「大野は田舎だけれど、生活に必要なものはだいたい市内に売っていて、思ったよりも便利だった」という声が聞かれた。 しかし同時に「東京に旅行に行った時と比べて、たいへん」という声も。 その感想はもっともだろう。大野の人は、海外の観光客に慣れていない。 商店の方も、英語や中国語で接客できる人は多くない。荒島社メンバーや微住のサポートをしてくれる方々も、精一杯の英語や中国語でコミュニケーショ

商店街でアレを”採集”しよう/大野微住:中編

文:伊藤 ゆか 2019年11月、編集者であるAJさんが微住に来てホステルの構想を考えた。そして年をまたぎ2020年2月、今度は建築家であり大学講師であるBibiさんと、彼が教える学生さんたち四人が大野へ。いよいよホステル作りが本格始動となった。 AJさんの構想をもとに、微住者たちは商店街を回って看板を探し始めた。 ただ貰い受けるのではなく、その看板にまつわること、お店のこと、店員さんのことなど、たくさんの話を聞いていく。 中にはお仕事の様子を見せてくださる方もいた。写

遠回りに見える近道を探して/大野微住:前編

文:伊藤 ゆか 冬の大野にやって来たのは、AJさんと、息子のハーハ君。 二人がやってきたことで、大野の熱い一角が、それまで以上に熱を帯び始た。 現在大野で微住に参加している「荒島社」メンバーは、大野市の中心の商店街にツイタチビルという拠点をもっている。(荒島社について詳しく知りたい方は、下のリンクを参照してほしい。) 400年以上前に大野城が築かれ碁盤目状の城下町が形成された市街地は今もその風情を残しており、北陸の小京都とも呼ばれている。しかしその市街地にある商店街も、

私たちは"タメ"をつくり合う/東郷微住:後編

文:伊藤 ゆか 東郷や、ちょっと足をのばして大野などへも行って微住を楽しんだリンちゃんたち。帰国が近づいてくると、リンちゃんたちは「東郷の皆さんに、台湾スイーツをご馳走したい!」と伝えてくれた。それを東郷の人々がサポートする形で、希望はイベントとして実現することになった。 福井市のスーパーや直売所で食材を買ってきた四人。台湾の野菜とはちょっと違うので、みんなで考えながら調理をしていく。「実は(買って食べるけれど)自分では作ったことがないスイーツで、作り方を調べたの」とマル

再見物語/東郷微住:前編

文:伊藤 ゆか 2019年10月6日、台湾から4人の微住者が東郷へとやってきた。彼女たちが東郷を知ったきっかけは、2018年11月に台北の誠品書店で開かれた「青花魚」出版記念イベントだ。 台湾のカルチャーの最先端である誠品書店南西店で開かれた「青花魚展」には多くの人が訪れていた。(イベントについて詳しくは微住メンバー伊藤の下の記事を読んでみてほしい。) 写真は青花魚展の愉快な仕掛け人たち。日本からは、東郷と大野のメンバーも参加した。「青花魚の編集チームが日本に来てくれ

“持ち帰らない”ことで拡張するものづくり体験/河和田微住

文:田中 福井県鯖江市、河和田地区は、1500年の歴史を持つ越前漆器や、 眼鏡づくりの産地として知られる「ものづくりのまち」。 微住のグッズづくりをこの土地ならではの漆を使って作ることにした。 “これからは「コト体験」が大事だ!”と、農泊や伝統工芸など様々なジャンルで体験型のツアーなども良く目にするようになった。僕自身もこれまで全国様々な場所でガラスのコップや陶器のお皿などなど作ったことがある。作ったところまでは楽しいのだが、実のところ自分で作ったその“世界で1つだけの”

地域間サブスク化の可能性、点から面への絆コスト/大野微住(後記)

文:田中    出鼻を挫かれた。 本来今月4月にwebサイト『微住.com』をオープンし本格的に微住者受け入れの窓口として動くはずだった。コロナの影響で2年前からやっている「アジア微住」のライフワークも、そして微住者の受け入れも一旦ストップしてしまった。 大打撃...!!と思いきや、「移動」というものが奪われたこの状況下だからこそ、微住でやるべきことや意義がこれまで以上に浮かび上がってくる。「微住」は一見すると自由な移動にともなうものと思われるかもしれないが、その逆でコ