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微住生活は不自由。 だからハマる!/大野微住:後編

文:伊藤 ゆか

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微住に来ていた台中の大学生メンバーに、微住中の生活について聞いてみた。

「大野は田舎だけれど、生活に必要なものはだいたい市内に売っていて、思ったよりも便利だった」という声が聞かれた。
しかし同時に「東京に旅行に行った時と比べて、たいへん」という声も。

その感想はもっともだろう。大野の人は、海外の観光客に慣れていない。
商店の方も、英語や中国語で接客できる人は多くない。荒島社メンバーや微住のサポートをしてくれる方々も、精一杯の英語や中国語でコミュニケーションをとる人がほとんどだ。
もちろん、中国語や英語が得意な人がサポートに入っている時間もあるが、つきっきりではない。それは東郷や河和田でも同様だ。

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写真の地元の方に愛されるローカルなお店は微住メンバーもお気に入りだったのだが、外国語メニューなんて存在しない。

東京や京都などの観光地ならば、日本語を覚えていなくてもそれほど不自由はない。けれど、福井の微住地は違う。
翻訳機を駆使して日本語を話し、時には身振り手振りのコミュニケーションで何とか伝えようと試みる。とても不自由だ。

けれど、その不自由さこそが微住の醍醐味!
そしてその不自由さを面白がるからこそ、地元の人と同じような生活体験ができる。それは観光ではできない、微住ならではの体験だ。

言葉以外にもたくさんの「不自由」がある。
たとえば、微住では宿の人や近所の人との距離感が近いので、皆んな自然な流れで「それ、手伝いましょうか?」と言っていた。

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今回の大野微住では雪かきを手伝った。雪かきはなかなかの重労働。普通は観光に来た人が雪かきなんて、まずしない。
けれど微住では、「やってくれるの?じゃあお願い」と任されてしまう。普通の旅行ならば家事や生活にまつわる仕事から解放されてゆっくり過ごすというのに、微住ではその土地の生活をそのまま体験してしまう。家事や雑務もそのまま体験するということだ。

普通の観光だったら「とんでもない!」と言われることが、微住には溢れている。

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微住メンバーは、大野の方に教わりながら自分たちで食事を作ることも何度かあった。みんなで食器の片付けをしていると台所はぎゅうぎゅう詰め。誰かサボってもいいのに進んでやっていた。パッと見たら誰が地元民なのか分からない。

自分の身になって考えてみると、(少なくとも私は)外国の普通の家庭のキッチンに興味がある。あれこれ見て触れられるのは楽しいだろう。

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今回はホステル作りを始めるということで、微住メンバーは地鎮祭から参加していた。
普通ならば観光客を呼ばないところにも参加して、地元の人と同じ体験をする。地鎮祭なんて日本人でもあまり経験できないので、かなりのプレミア体験だ。

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時には地元の人が、友達とのバーベキューで食べるような豪快な料理を食べる場面も。ご近所さんやその友達など、人が集まって雑然とした空気は、とってもエキサイティング!

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微住も後半になると、大学生メンバーもたくさんの日本語を覚えていた。犬の散歩をされているご近所の方にも、日本語で挨拶ができるように。

彼女たちに感想を聞いてみると「また来ます」と全員が再訪を望んでいた。その理由は、ホステルに今後も関わりたいというだけではなく、「また会いたい人がいる」からだそうだ。
次に来るまでにもっと日本語を勉強しておきたい、日本語という言葉に興味をもった、という感想もあった。

大野がこんなに面白いのは「微住」だからだろう。ただ観光名所を見るだけ、用意された体験をするだけでは、この面白さは生まれない。
いきあたりばったりで不自由。だからこそ、一度体験したら「ハマってしまう」のが微住なのだ。


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