(H12) 「会社で通用する人材」ではなく、「市場で通用する人材」が求められる-2 (2019.8.26) by 日本経済新聞 より抜粋加筆しました。
⑸ 日本よりも労働時間が短いにもかかわらず、IMFが発表した2018年の1人あたり名目GDPは以下です。
①デンマークは世界10位
②日本は26位
一方で、同国は税金がとても高い福祉国家としても知られております。
・消費税は25%
・所得税は52%
・自動車税は150%
平等主義が強いため、米国にあるようなメガベンチャーもなかなか出現しません。
デンマークでは、以下のグランドデザインがしっかり定義されていることがポイントです。
「みんなが働きやすい環境を作り、生産性も上げる一方で、
税金は高く、メガベンチャーを起こして高収入を得ようとする人には向かない国でもある」
⑹ 日本は、“何もかもいいとこ取り”をしようとして中途半端になっているという印象を受ける
グランドデザインには常にトレードオフがあり、
何かを得るなら何かを捨てなければなりません。
例えば、労働時間を短縮して生産性を上げる手段の1つに、IT活用があります。
実際に欧米諸国では、
積極的にITを活用することで労働時間を減らしています。
すなわち、
業務時間を削減するには、巨額のIT投資が不可欠となります。
ところが、日本では、
積極的にIT投資ができる企業は限られており、特に中小企業はIT活用が遅れているところが多いようです。
働き方改革を進めるためには、
中小企業などにIT活用を促すインセンティブ作りが必要かもしれません。
⑺ 「会社で通用する人材」ではなく、「市場で通用する人材」が求められる
私がいまの日本企業において重要視しているのが、人事のあり方についてです。
日本では90年代初頭まで、「メンバーシップ型雇用」が一般的でした。
新卒一括採用かつ終身雇用を前提で、以下が中心となります。
①年功序列による平等主義
②会社のための人材育成
③採用するのも同質の人材
そのため、それぞれの知と知を組み合わせても、
なかなかイノベーションは生まれません。
⑻ このモデルは90年代のバブル崩壊後に通用しなくなったというのが私の認識
本来であれば、日本企業は、
そのときから人事制度を抜本的に変えていく必要がありました。
しかし、日本企業の人事の仕組みは、1980年代まではすべてがうまく噛み合っていました。
成功体験があると、それを変えるのは容易ではありません。
そのため、多くの日本企業はそこでつまずき、立ち直れないまま現在に至っているのです。
いま世界で常識になっているのが以下です。
「ジョブ・ディスクリプション型雇用」
このモデルでは以下が主流となります。
①中途採用
②ダイバーシティ
③平等主義ではなくエリート抜擢主義
④「会社で通用する人材」よりも「市場で通用する人材」
いよいよ日本も、世界の常識になる?