(H11) 何のために「働き方改革」を行うのか! 経営者は早急にグランドデザインを-1 (2019.8.26) by 入山章栄 より抜粋加筆しました。
⑴ いまの「働き方改革」は中間管理職を疲弊させる
「働き方改革」は、なぜうまくいかないのか。
原因の一つは、
働き方改革を主導する政府のグランドデザインが弱いこと。
そのため、多くの経営者も「何のためにやるのか」という核心部分が腹落ちしないまま、周囲の掛け声に歩調を合わせているようにしか見えません。
⑵ 働き方改革は、単純に「定時で帰りなさい」「残業を止めなさい」と言っても、業務量が減らなければ現場にとってはむしろ苦痛になってしまう
会社の方針であれば従わざるをえないため、
もともと残業していた部下を定時で帰らせる代わりに、その業務を中間管理職が巻き取る企業も多いと聞きます。
忘れてならないのは、働き方改革そのものは、
「目的」ではなく「手段」であるということです。
その手段によって従業員により良い業務環境を提供し、
結果として企業の業績が向上するのが本来の姿のはずですが、実際には真逆のことが起きているのです。
「とりあえず残業時間を減らせばいいだろう」というぼんやりしたビジョンのまま進めようとするため、従業員、特に中間管理職を疲弊させている企業が多いのが現状です。
⑶ 「ダイバーシティ」で掲げられた「2020年女性管理職比率30%目標」にも違和感
実は、グランドデザインが弱かったために、
同様の問題が発生している例がほかにもあります。
それは「ダイバーシティ」です。
ポイントは、
「何のためにダイバーシティを進めるのか」を企業や国民が腹落ちしていることでしょう。
しかし、その「何のために」が日本では弱いのです。
経営学の視点からは、ダイバーシティとは、
性別、国籍、人種などの垣根を越えて組織が多様な人材を受け入れることで、これまでになかった新たな知と知の組み合わせが生まれ、結果としてイノベーションなどを生み出すことが目的です。
しかし、日本企業ではこのような明確な理由が薄く、
ただ政府が「2020年までに女性の管理職比率を30%に」という目標だけをうたうので、腹落ちがなく前に進まないのです。
私は、女性の管理職比率を30%に増やすことに対して反対ではありません。
しかし、ポイントは、
「何のためにやるのか」の腹落ちがなければ、結局は進まないということです。
⑷ 明確なグランドデザインを描くことで成功したデンマーク
このような働き方や企業の人事のあり方について、
明確なグランドデザインを描いている国の一例がデンマークです。
同国では労働時間が短く、週37時間と決められています。
私が訪問したデンマークの会社の社員は9時に出社し、15時に退社していました。
日本人は行動する時に他人のせいにする癖がある。
❶政府から言われたから
❷会社から言われたから
日本人は、主体性があまり無い国民性?