見出し画像

(H15) ドイツやフランスも50年前は日本並みの長時間労働だった-2 (2019.11.30) by 黒田祥子 より抜粋加筆しました。

⑸ 法改正をきっかけに職場の規範が少しずつ変化

職場の上司や周りの同僚の働き方が、
個人に影響を与える「ピア(仲間)効果」が存在することを示唆します。


今般の法改正も、以下が期待されています。
①時間外労働の上限規制により、いったん職場の働き方を強制的に変える
②それをきっかけに、働き方に関する職場の規範が少しずつ変化する


⑹ ドイツやフランスも50年前は日本並みの長時間労働だった

長時間労働は勤勉な日本人の国民性であり、意識を変えることは難しいという意見もあります。


しかし、労働時間が短い国という印象があるドイツやフランスも、実は60年代は米国よりも労働時間が長く、日本とほとんど変わらない状況でした。


それがオイルショックで失業率が上がり、
ワークシェアリングの発想が広く普及したことから、一人当たりの労働時間が少しずつ減少していきました。

それがきっかけで長期休暇を楽しむという文化が生まれ、
結果的に時間当たりの生産性が向上したという研究もあります。


⑺ 「カネがもらえるほどよく働く」は間違いだった

長時間労働を是正するために、
働いた時間と報酬を切り離し、成果(出来高)に応じて報酬を払うほうがいいという意見もあります。


米国の実験経済学の分野で、
成果報酬と生産性についてのユニークな研究があります。

被験者たちに難度の高いコンピュータ・ゲームをしてもらい、以下の3種類のグループを作ってプレーしてもらう実験です。
Ⓐ得点1点につき受け取る報酬が高額なグループ
Ⓑ報酬がわずかなグループ
Ⓒその中間のグループ


各グループの平均点を比較したところ、
高得点だったのは、意外にも報酬が最も少ないグループでした。

2番目は報酬が中間のグループ、そして最も平均点が低かったのは高額報酬グループでした。


高額報酬のグループは、
そのことを意識して失敗を恐れ、大胆な作戦が取れなくなり、対して報酬がわずかなグループは、ゲームそのものを楽しむことができた。

内発的動機付けが奏功し、「報酬と成果は比例する」という単純な発想とは逆の結果となったのです。


別の研究では、
エンジニアが申請する特許件数に金銭的インセンティブをつけた場合、申請件数自体は増えたものの、大きなクリーンヒットが出なくなるということも報告されています。

創造性や革新性が要求されるような仕事には、
単純な外発的な動機付けはむしろ、マイナスとなる怖れがあります。


働いた時間と生産量が一対一対応していない仕事が増えている現代だからこそ、
内発的な動機を促すような労働条件や職場環境の整備が不可欠になっているといえます。


❶個性(独創性)が求められる
❷アイデア(知恵)が求められる

そんな時代だからこそ、
「報酬と成果は比例する」単純な成果主義ではもう生産性が上がらない。

いいなと思ったら応援しよう!

bigluck
私は上海在住11年目。 2020年2月、在中国日系企業を対象とする、 「⺟国語で現場情報を引き出す、社内コミュニケーションツール」 を無料リリースしました。 コラボしたい方、ぜひお待ちしております。 bigluck777r7@yahoo.co.jp