(H55) 現在の中国では「行き過ぎたオンライン化」は見直され、元の状態に戻りつつある-2 (2020.7.21) by 王青 より抜粋加筆しました。
⑷ 働き方の変化
①中国滞在歴6年の日系メーカーの日本人駐在員(男性・40代)は、「テレワークの普及」について下記に話します。
「テレワークが言うほど進んでいない。
今やコロナ前と同じく皆が普通に通勤しているし、それは周囲のオフィスの明かりで分かる。
ただ、公共交通機関の利用が減り、自家用車での通勤が以前より増えた。
商談や打ち合わせは、
今は普通に相手に会ってやっている。
出張もしている。
オンラインの打ち合わせはそれほどやっておらず、電話やメール、動画通話などで行っている。
要は、あまり変わっていない」
筆者は、ネットが進んでいる中国では意外に感じられました。
理由をたずねると、 以下に回答された。
Ⓐ会って話したほうが伝わりやすい
Ⓑすでに、人の移動制限がない
Ⓒネットスピードが遅く、コミュニケーションが煩雑に感じる
Ⓓ在宅でのビデオ通話よりも、オフィスで電話とメールのやりとりをしたほうが効率的
②在上海のコンペティション会社・企画(女性、30代)は、「オンライン会議」や「オンライン授業」についても、以下の問題点を指摘します。
「やっぱり、人間は人が恋しくなるね。
社会的動物だから。
会って話す、これが基本。
オンライン会議は一時使っていたが、
空気に向かってしゃべっているみたいだし、相手の顔が小さい四角の枠に収まっているなんて、異様な光景だ。
休校中はオンライン授業も実施されたが、
結局、子どもはずっとパソコンの前にいないし、教師も一方通行で教えていて、生徒の反応が分からない。
学習効果はイマイチだ。
勉強は学校で行うものだね」
⑸ 行き過ぎたオンライン化は元に戻る可能性が高い
現在の中国では仕事や学習などで、
「行き過ぎたオンライン化」は見直され、元の対面方針に戻りつつあるようです。
筆者が以下に話した。
「日本は現在でも、なんでもオンラインの世界。
オンライン会議やオンライン研修は当たり前。
オンラインヨガやオンライン飲み会も流行っている」
そしたら、ほとんどの相手から以下のような「?」な答えが返ってきました。
ⓐオンライン飲み会?
まったくやってない!そこまでして一緒に飲みたい?
ⓑスマホやパソコンの画面を見て、自分でお酒を注いで飲むのは、かえって寂しくない?
「オンラインセミナー」もほとんどなくなりつつあります。
現在の中国の様子を見る限り、
「行き過ぎたソーシャルディスタンスやオンライン化」は、元に戻る可能性が高いでしょう。
上海では、地下鉄など人が混雑している所では皆マスクをしているが、それ以外の場所では、
マスクを持ってはいるが、付けなくなっています。
相手の反応を察知しやすいリアルの方が、
生活しやすい。
合理的な行動をする中国社会。
行き過ぎた方向へは行かない。