(H19) 日本経済が世界で勝てない根本的な理由は「女性・ダイバーシティ・高学歴」において逆の方向だから-2 (2020.2.10) by 出口治明 より抜粋加筆しました。
⑷ 「高学歴」は、日本社会では進んでいるようなイメージがありますが、まだまだ追いついていないということか
今、世界経済で起きていることは、アイデア勝負。
アイデアを生むために必要なのが、勉強です。
しっかり勉強をしていない限り、
アイデアが生まれることはありません。
日本経済がこれから成長するために必要なのは以下です。
「アイデア」
今、日本の大学進学率は53%です。
OECD平均よりも7ポイント低い水準です。
企業が大学での成績を採用基準にしないため、大学に入っても勉強しない学生が多くいます。
大学院で勉強をしてきた学生は、
学部卒よりも使いづらいと、敬遠する企業があるのが現状です。
―有名大学に入ったからといって、仕事につながる学びができているかというとそうではないのです。社会に出てから学ぶことも必要なのか?
社会に出てから学ぶことも大切です。
ただ、仕事を始めてからは、年間2000時間という労働時間で会社に拘束されます。
仕事を終えた後も上司と飲みに行くという習慣もあり、
仕事以外は「メシ・風呂・寝る」の最低限の生活で、勉強する時間がありません。
つまり、以下です。
・大学に行かない
・大学でも勉強しない
・企業が大学院生を大事にしない
・長時間労働で勉強する時間がない
日本は構造的に「低学歴社会」にならざるを得ないんです。
一方、GAFAやユニコーンの幹部は、
ほとんどが複数の博士号や修士を取得した「ダブルドクター」や「ダブルマスター」です。
このように、日本の社会は、
「女性・ダイバーシティ・高学歴」のすべてにおいて逆の方向を向いていますから、新しい産業が生まれるはずがありません。
これが、日本経済が世界で勝てない根本的な理由です。
⑸ 製造業依存を抜け出さなければ未来はない。
―なぜ、日本の働き方が、世界で戦うために欠かせない3要素と逆行する形になってしまったのか
その最大の理由は、
日本が製造業の工場モデルに過剰適応したためです。
工場の機械が今ほど開発されていなかった戦後、
製造業を発展させるためには、力が強い男性の長時間労働が必要でした。
女性は家庭で家事や子育てをするべきという性別分業が、
製造業の働き方には合っていたのです。
さらに、工場で働く均一的な労働力の量産が、
低学歴社会を生み、「女性・ダイバーシティ・高学歴」と逆行する社会構造が固定してしまったのです。
製造業は日本の宝です。
生産性も高く品質も素晴らしいですが、以下です。
①GDPに占めるウェイトは、20%
②製造業の雇用は、16%
以下から抜け出して新しい産業を生み出す以外に、
日本が成長する道はありません。
❶「世界に誇る日本のモノづくり」という価値観
❷「製造業依存」の構造