発酵であそぼ!−13.産膜酵母との邂逅
私は日本で一番ミツカン酢が好きで、初代中埜又左衛門の大ファンです。
いろんな「かんたん酢」系の調理料には向かわず、もっぱらミツカンの米酢を使っています。
日本ほど良質な米酢が安く買える国はないそうです。
発酵に立ち会うのは、パンを焼くとき、コンブチャを育てているとき、そして醤油麹・米麹・糠漬けを作っているときです。
ちなみに愛読書は「もやしもん」です。
さて、今朝のこと。
塩麹を仕込んで1週間経ちました。
もちろん毎朝、消毒したスプーンで撹拌しています。
でも今日は・・
おろ?
ここに純白にぽつぽつと浮かぶのはなんであろうか。
まさかと思いますがこの暑さ。
塩麹もカビることがあるのだろうか。
しかし、ここには大量の塩が含まれている。
そんなにいきなりカビが発生できるのか。
それで調べたところ、これはうっかりかき混ぜるのを怠った糠床に生えるのと同じ、産膜酵母ではないかということになりました。
自分の糠床では気をつけているので産膜酵母は発生しなくなりましたので、
ネットの画像から。
糠床に生えるとこうです。
このぐらいの程度で、アンモニア臭がなければ混ぜてしまえばいいですし、
もしアンモニア臭があり、塩が強くなっていたら、
表面は掬って捨てましょうということになっています。
あまりたくさん混ぜ込むと、糠床の味が変わってしまうからだそうです。
塩麹作りの容器では、これまでに水が出てきていますので、
こう綺麗に産膜酵母が広がることはなく、写真のように、
酵母同士ですがりあって米粒状になり、浮かんでいたものと思われます。
幸いに、匂いもありません。
昨日の朝はなかったものですから、発生してすぐなのでしょう。
米麹の液体を味見すると、強いながらもマイルドな心地よい塩味。
米粒も指ですぐ潰れますので、もう完成ということで良いでしょう。
この後は、大きい瓶に移してハンドミキサーでガーッとします。
もう今晩から使えるでしょう。
鳥の唐揚げにしようかな。
さて、せっかくなので、産膜酵母(?)スプーンで掬って外に退去していただく前に、目を寄り目にしながらじっと見つめてみました。
するとこんな感じです。
綺麗、そして可愛いですね!
これは、「もやしもん」をよく読んで、産膜酵母も出てくるでしょうから、作者の石川雅之さんが、どんなふうに擬人化しているか見てみなければなりませんね。
私だったらそうだなぁ・・・
こんな感じに描きました。
今ひとつ可愛くないですね。
産膜酵母は無害ですが、ワイン樽に大量発生すると、ワインを台無しにすることもあるそうです。
なにか役割が見つかるようだったら、利用して、何か かもしてみたいような気もしますが、ヨーグルトもコンブチャも、繰り返し手作りをしているうちに雑菌が混入して、よろしくないことになるとも読みます。
私も、夫にコンブチャのスコビー(マザー、発生源ですが)を見せると、
「僕にはくれないでいいから」
と激しく遠慮しますし、このスコビーが発酵してブツブツ音を立てているのが可愛いので、音を聞かせようとすると、
「聞かなくても大丈夫です」
とこれまた、断られます。
今回の産膜酵母(?)も、純白で綺麗だったので夫に見せましたが、秒で
「僕にはくれなくていいです」
と言われました。
「あなたはあの、紅麹の事件で、
発酵そのもの、菌そのものに偏見を抱くようになってのではありませんか?」
と訊いたところ、果たしてそうでした。
夫よ、それは見識違いというものです。
あれは例外的な不幸な事件であって、発酵界全体を揺るがすことになってしまいましたが、私はこれからも、きちんと容器を消毒しつつ、管理をちゃんとやって、腸内フローラを育てていきたいと思います。
流しに捨ててしまった産膜酵母、ごめんね!