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雑多な街にこそドラマがある
中田永一『吉祥寺の朝比奈くん』
ゆる言語学ラジオのパーソナリティーの堀元見さんが、おすすめされていたので早速読んでみました。
(堀元さんのキャラから想像できない、ジャンルなので、そのギャップも含めて興味がありました。)
あまり恋愛小説は読まないのですが、一言で言えば、切なくて、ほのあたたかい内容でした。
叙述トリックという言葉を知りませんでしたが、「あぁ、なるほど、そっちね」となる書き方がそれだと知れてよかったです。
短編なのに、そういう技法が入っていて読み手を引きこむ力はさすがプロだなと夜中にひとりで感心させられました。
”おしゃれ”でとがった街よりも、雑多で誰にとっても居心地のよい街がドラマを生む
大学生の頃、吉祥寺は通学路であり、学校から一番近い繁華街ということでよく行ったことを思い出しました。
小説になるほどでなくても、わたしにとってもあんなことやこんなことの思い出のある街です。
吉祥寺とは、だれにとってもドラマがある街なのです。
吉祥寺はおしゃれな街だという世間的なイメージがあるようですが、個人的にはどこがおしゃれなのだろうとピンときていませんでした。
なぜならば、街並みとしては、さほど洗練されていない印象があるからです。どちらかというとごちゃごちゃしています。
吉祥寺は、昔ながらの商店街と住宅地が広がっており、井の頭公園も含めてどちらかというとのどかな印象です。
ジブリの街というイメージもあります。
飲食店もいわゆるおしゃれ系もありますが、地元の老舗も多く老若男女問わず居心地のよい街です。
おしゃれな街は苦手です。青山や代官山はなるべく近づかないようにしています。
おしゃれと聞くと物怖じしてしまいますが、色々な世代や時代がミックスされた街の方が、すそ野の広さがあるような気がして安心感があります。
明るいだけでなく、ダークな一面もある街。
そういう意味で吉祥寺は好きな街です。
そのすそ野の広さが物語をお膳立てするのだろう思います。
もちろん中田さんの作品はフィクションなのでしょうが、吉祥寺という街はだれにとっても十分なリアリティを与えてくれます。
物語の舞台は吉祥寺。
場所に思いをはせる読書もまた一興ですね。
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