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観光不毛の地 名古屋の本音

 突然の名古屋ディス!ところがコレ、名古屋を貶めることを目的とした漫画ではありません。それどころかこの作品自体は名古屋市から「観光文化交流特命大使」に指定されています。その漫画においてすら、こんなセリフが出てくるほどの観光不毛っぷりが名古屋という土地です。
 コミックを読んでもらえればわかりますが、この後にこの言葉が完全に否定される展開になるわけでもないんですよ。
 このポストから始まるtogetterまとめもあります。

 いや、実は名古屋に見る所が全くないわけではないんですよ。この漫画でも「グルメ特化で」という言葉が出てくるので、食も観光のうちならそこまで捨てた物でもないと思いますし。
 ただ、名古屋でしか見られないもの、というものは、あんまりないんですよね。日本最大級の動物園、日本最大級の水族館、世界最大級のプラネタリウムを擁しながら、それを他地方の人に自慢しようと思うと「動物園とか、日本中にあるし」「海遊館の方が・・・」と言われるのではないかと、「大いなる田舎」の卑屈な魂が悲鳴を上げるのです《個人の感想です》。そもそも「最大」ばかりで「最大」と言い切れないのが潔くなくって「まさに名古屋」って感じなんですが《個人の感想です》、言い切ってしまうと嘘になりかねないので仕方ないんですよね。

 でも、でもですよ。よその地方の人がこんな記事を書いているのを見ると「なんだとこの野郎!」という気になるのも確かなんですよ《完全に個人の感想です》。

 でもまあこの記事は分析としては正しいのだと思います。観光スポットと観光スポットが遠い、観光エリアと日常空間が接近しすぎている、名古屋らしさとは何か、というものが見えてこない。
 いやいやいちいちごもっとなんですが、ひとつ言わせていただきましょう。「それ観光スポットじゃないんですよ」《個人の感想です》。市や県の観光客誘致を担当している方には申し訳の無い言いぐさになるんですが、動物園も水族館も科学館も、レゴランドも栄のデパート街も、第一義的には名古屋市民や周辺自治体の住民を含めた名古屋圏の住民のためのものなんですわ。
 だから内容の充実には気をつかっても、ここだけでしか見られない、というウリの必要性はそこまで高くないですし、一日で全部回る必要が無いからスポットを集中させる必要もないですし、観光エリアと日常空間が近すぎると言われても「便利ですよね?」としか。
 そもそも論として中京地区は製造業で稼いでいる地域で、名古屋はその物流中心としての名古屋港を擁する都市という性格が強くて、観光はちょっとプラスアルファの経済効果があればいいな、程度の認識なんですよね《しつこいようですが個人の感想です》。博物館でも名古屋城でも観光客が多すぎて地元民が楽しめなくなっては、本末転倒です。一部業界の人以外は観光で食っている感覚がないので、名古屋らしさを体験できないと言われても「何の問題が?」となるわけです。
 ここで最初の言葉に戻ります。名古屋に観光地はありません

 で、ここで、一気に話を逆転させるのですが、名古屋は確かに「名古屋ってどんなところか、見せてもらおうじゃないか」という感じの観光客には向きません。「何もないです」としか言えません。人口200万人オーバーまで肥大化した地方都市です。「大いなる田舎」です。
 でも何かテーマを持って旅している方には、ぜひお越しいただきたいスポットがたくさんあります。全国の動物園を見て回っているという方には「東山は凄いでしょう!一日では回り切れませんよ」と、水族館が好きな人には「水槽容積では美ら海や、海遊館より大きいんですよ。展示はどうですか?」と言いたいです。是非是非お越しいただきたいと思います。刀剣甲冑の好きな名古屋人は市立博物館や徳川美術館に、神道に興味のある人は熱田神宮に、南極に興味のある人は南極観測船「ふじ」に同じような思いを持っているでしょう。
 名古屋にお越しの際は是非、漠然と「名古屋を観光しよう」ではなく、名古屋に○○を見にいこうという心構えでいらっしゃることを強くお勧めします。

 あとやや蛇足になるんですが、一般的な密度の高い観光をしたいのなら犬山に行くという手もあります。国宝・犬山城を中心とした歴史的町並みに、明治村とリトルワールドという2大野外博物館はもっと評価されていいと思います。愛知県民でも小学校や中学校の遠足で行って、それきりの人が多くてもったいないなぁ、と。まあ明治村もリトルワールドも真面目に見たら、1日以上かかるんですけどね。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございます。本業のサイトもご覧いただければ幸いです。


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びぶ
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