地球儀と開いた本

誰が北朝鮮を支援しているのか。または破れた国際協調について。

うでパスタです。

ドナルド・トランプ米大統領と、金正恩北朝鮮労働党委員長との二回目の会談が終わりました。
会談がおこなわれたベトナム・ハノイは僕もよく訪れるところで、世界の注目する会談が、この国のこの街で行われたということについてはいろいろと尽きせぬ思いがありますが、今回はその話はしないでおきます。

もっとも近い国のひとつである日本に生まれ育ちながら、幼い頃から「なにかしらアブナイ国」という話しか聞かされてこなかった北朝鮮について、僕はいまも詳しいことをあまり知りません。
このため、閉鎖的な独裁国家で「うまくいってない」ため拉致や瀬戸際外交といった「テロ/テロ類似行為」を繰り返す「イケてない国」だと思っていたのが、あるときから日本の上空を飛び越すミサイルを射ってみたり、あるいは核開発を完了させてみたりと、急速にイケてる感じが出てきたことには正直驚いています。
軍事パレードの催された平壌の大通りに立ち並ぶ高層マンションがいまもペラペラの張りぼて建築にすぎないとか、テレビに映る平壌のひとびとの生活はすべて演出されたものだとかいろいろ云われてはおりますが、北朝鮮が実際にここまでの「結果」を出してきたことにもっとフォーカスしなければならないと思います。

「ダメなやつ」のレッテルを貼ってそいつの頑張りを認めない、成功を「まぐれ」と云って退けるというようなことを僕たちはやってしまいがちなのですが、これは上品でないばかりかさまざまな形で損失を生みますし、場合によっては危険ですらあります。
北朝鮮が国家主導で精巧な米ドル紙幣を印刷し、これを「外貨」として用いていることが明るみに出たのは2000年代の初めです。
NHKでワシントン支局長などを歴任したジャーナリストの手嶋龍一は、退局後の2007年、「ウルトラ・ダラー」を発表します。

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