九段下の図書室・ビブリオテーク・ド・キノコを主催するふたりが発行する書籍と読書・蔵書に関するマガジンです。購読後1ヶ月無料で読むことができます。
新しく入庫された本や、最近読んだ…
¥300 / 月
初月無料
- 運営しているクリエイター
2020年1月の記事一覧
悪魔の子/神の掟とオメルタ|weekly
今週は、うでパスタが書く。
そろそろ片付けなければならない話がある。
映画の話をすると「『ゴッドファーザー』が好き」とかいうのが必ずひとりやふたりは混ざってくるが、正直「大丈夫なのか?」という感じだ。
こういう手合いに映画のあらすじを尋ねると、彼らは「マイケルが初めて人殺しするところが好き」とかいうように、なぜかそろって自分の好きなシーンを答える。
こちらはあらすじを訊いているのに、だ。
ある
real | weekly
「平日の14時過ぎ。下町の定食屋さんは夜まで休みなくお店を開けてくれている。ずっとお客さんがいるわけでもなく、夕食の仕込みをしながらたまに訪れる人々を捌いていく。配膳係が賄いを隅の席で食べているような時間帯は、お客さんとお店の人との関係も少し緩くなる。神棚の近くに設置されたTVは厨房からも見えるように調整され、音量もやや大きく感じる。ちょうど午後のワイドショーの時間で、芸能人の結婚や離婚の話をコメ
もっとみる我らが背(そむ)きし者。|weekly
今週は、うでパスタが書く。年頭の挨拶は特にない。
「いいんじゃない」
と、彼女は言った。私はいいと思う、嫌味がなくてと。
小綺麗で機能的だが、ふたりで住めば遠からず手狭になると分かりきったデザイナーズマンションの1LDKをぐるりと歩いてまわったあとだった。
「いくらか贅沢な暮らしができるようになったからといって、家賃の高い家へ越すのだけはやめておけ。家は水準を引き上げてしまうと何かあったときに戻