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2023年2月 読書メモ

河出書房新社の本が多いので画像は国立競技場です。作品社の本が多い月には旧竹書房ビルにするの?

マルカ・オールダー/フラン・ワイルド/ジャクリーン・コヤナギ/カーティス・C・チェン『九段下駅 或いはナインス・ステップ・ステーション』(竹書房文庫)
日本がこうなった事情が実にありそうで、われわれが気にしてることをよく調べていらっしゃるなという面白さがある。
シーズン1全10話のもくじが海外ドラマのようでわくわくしてしまう。最終話はちょっと延長している。


ヴィルヘルム・ゲナツィーノ『そんな日の雨傘に』(白水社エクス・リブリス)
タイトルと表紙が本当にいい。タイトルは(たぶん)原題を見てもそんな感じで、ほぼ最後までだいたいこんなテンションの心地良い小説だった。
今後はゲオルク・ビューヒナー賞にも注目しようと思った。

ジャン=クリストフ・グランジェ『ブラック・ハンター』(ハヤカワ・ミステリ)
お前生きてたのかよ!というのが第一声。元気そうで何よりとはとても言えないがあいつ生きてた。
フランスのミステリだがドイツで起きた事件なのでドイツにいる時間が長いし、シェンゲン協定とか現在のヨーロッパ(ブリテン島を入れない)らしさも感じられて面白く読んだ。「ロマだと聞いてたがイェニシェだった」とか。

ユーディット・シャランスキー『キリンの首』(河出書房新社)
ビルドゥングスロマーンと書いてある。それで現代が舞台で女性が主人公なんですよ。大きく動くようなことはそんなにないのだが、ビルドゥングスロマーンなんだから最後には何か変わったと信じたい。

オリガ・グレベンニク『戦争日記』(河出書房新社)
ウクライナのロシア語話者の日記。こういうものが読みたかった。
しんどいときにどうするか、どうしていたかという記録であり、しんどいことの内訳に戦争がなくてもわかる気持ちにはなれる。最後のページに考えることがとても多い。

島薗 進『新宗教を問う─近代日本人と救いの信仰』(ちくま新書)
2020年11月に出た本なのでその後いろいろありましたが、気になっているようなことは全部書いてあるし最近になってニュースやワイドショーで出てきたような話も全部ある。
日本の近現代における宗教とは何かという話でもあるし、どこまでが宗教なのかという話も含んでいて読みごたえがあった。新宗教だからやばいとかそういう雑な区切りはあかんよね。


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