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オリンピック開催で得られるものと、開催中止で失うもの

最近になって再び東京オリンピック開催可否が議論になりはじめています。緊急事態宣言の対象地域が拡大している不安感から否定的な意見が出やすくなっているのだと思います。様々な観点で議論が起こるので余程丁寧にまとめなければ議論は成立しません。短文しか投稿できないツイッターでは永遠に紛糾するだけかと思います。私は何度かnoteにこの件に関して書いているので繰り返しになってしまいますが、開催を2ヶ月後に控えた現時点での意見を改めて書いておこうと思います。

私は東京オリンピックは予定通り開催すべきだと考えています。意見としては高橋洋一氏と近いです。開催できない理由が無いから開催すれば良いという意見です。

中止を訴える人たちが心配するのは感染症の拡大です。それについては全く問題ないと考えています。

スポーツ興業という点では既にプロ野球やJリーグ、Bリーグ、トップリーグといった様々な競技の試合が日常的に開催されています。入場者数や飲食が制限されるといった措置が取られているものの、安全な運営が可能であるのは実証済みです。加えて、主催者であるIOCとしては放送さえできれば構わないそうです。無観客で開催するのも視野に入れているそうです。

海外からの選手受け入れについてはIOCやJOC、東京都が協力して隔離措置を行うだけです。例えばJリーグでは外国人選手の受け入れにJヴィレッジを利用して来日後2週間の隔離とコンディショニングの両立を実現させています。これと同じことをやるのみです。参加選手には隔離措置などの感染症対策に応じなければ失格にするか高額な罰金を徴収すると伝えれば従わざるを得ないはずです。

次に東京や日本にとってどのような利点があるのかを考えます。まず思いつくのが直接的な経済効果ですが、これは私はもう期待できないと思います。海外からの観客の受け入れができなくなった以上は何も得られないはずです。インフラ整備や箱物を作り終えただけで既に直接的な経済効果は概ね済んでいます。ただし、良くも悪くもこれ以上は失うものがありません。

一方で間接的な経済効果は期待できると思います。その源泉のひとつはスター選手の誕生です。あるいは流行語の誕生です。オリンピックなどの大規模な国際大会となると、メディアの話題はオリンピック一色になります。そうなればスター選手が登場し、あるいは流行語が誕生し、それに関連する商品が売れるようになります。昨年の鬼滅の刃ブームにおける鬼滅効果と同じです。緑と黒の市松模様をあしらっただけで消費が促される現象が起きました。東京オリンピックでどのようなスター選手が登場するのかは分かりませんが、それと同じような現象が今年の後半に起きるはずです。

何よりも、オリンピックなどスポーツの舞台は必ず明るい話題を提供してくれるはずです。不満に満ちている今の世の中には「明るい話題」こそ最大の薬になるのではないかと考えています。

逆に開催しなかった場合のデメリットの方が怖いです。例えば日本や東京都が土壇場になってオリンピック開催中止を決定したとしましょう。すると、日本は「客観的にみて開催できるはずだったオリンピック」を断った国ないし都市という評価を得ます。日本は国際的に見て感染症対策に成功している部類に入っているのを忘れてはなりません。これは今後の大規模な国際的イベントの開催を招致する上でマイナスの評価になります。スポンサーからはこの点を懸念する声が上がるでしょうし、招致レースでは必ずライバル国からこの点を突かれることでしょう。私ならこう言います。「日本は国民感情を優先して科学的根拠もなく土壇場で開催を撤回するリスクのある国です。」

2019年に行われたラグビーワールドカップの経済波及効果は6464億円だと言われています。残念ながら東京オリンピック開催で同程度の経済効果は期待できません。しかし、中止をすればこの機会を当面の間は得られなくなってしまいます。今後発生しうる多くのビジネスチャンスを失うことになります。

もし開催が中止ないし延期がされるとすれば、昨年の春に開催を延期したときと同じ理由でIOCが下すのだと思います。その理由は「世界中の国が参加できるかどうか」です。おそらくその一点だけになるでしょう。日本や東京都が目先の不安感だけで機会損失を選ぶのは考えにくいですし、私としてもその必要は無いと思います。

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