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2023年12月 読書メモ

毎年年末にその年読んだ本から10冊選ぶ遊びをしているので、12月はちょっと間隔が詰まって忙しくなってしまう。来年からこの記事をどうするか考えないと。

『蒸気駆動の男 朝鮮王朝スチームパンク年代記』(早川書房)
韓国の時代劇を見ている人はぜったいに面白いはずなのでぜひ読んで下さい。知ってる!!と思うはず。見ていなくてもタイトルなら知ってるような人物や事柄が出てくる時代小説。時代が時代なのでしんどい話も多いが読む価値はある。一人(人?)の男をずっと追いかけているところもいい。

ハリー・ムリシュ『襲撃』(河出書房新社)
真実という単語の用法が信用ならねえなと思っているのですがこの本における真実はまさに真実だった。いくつでも増えるので。主人公が特に求めていなくても真実のほうから勝手にやってきて勝手に増えていく。

カミュ『ペスト』(岩波文庫)
この翻訳が2021年に出ることになったのは偶然というのは納得できるけどペストとの戦いがファシズムとの戦いであるというのは納得できない。今読むと疫病との戦いにしか見えない。そして思想が疫病というのは今となっては賛同できない。

エドワード・D・ホック『フランケンシュタインの工場』(国書刊行会)
すごいメジャー作家の珍品!みたいな気持ちになるタイトルだがよく考えたら自称2000歳の名探偵が出てくるシリーズを書いてる人に珍品も何もなくない? 二十世紀初頭が舞台のSFミステリで、どうやらソ連が存在せずリガがロシアにあったりする世界なのですが、そういうのは関係なくちゃんと孤島ものミステリだった。

カミュ『転落』(光文社古典新訳文庫)
カミュ先生の作品は最近読み始めたばかりなのですが、もしかしてこの人サルトルに論破されたのが悔しすぎてこの小説を書いたんじゃないですか? 主人公がこちらに向かって話しかけてくるタイプの小説なので、そういうコンテンツが好きな人におすすめです。主人公が話しかけてくる相手はたぶん実在すると思う。(しない可能性のある本を読み慣れているとこういうことを言い出す)


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