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旬のサブジで作るサブジの会

右手の小指と薬指でチャパティを抑えながら親指と人差し指、そして中指を支えで使えながら食べたい大きさにチャパティをちぎる。ちぎったチャパティでお皿の上に乗っている好きなサブジや豆料理を包んで食べる。ほんのりと薄くギーが塗られたチャパティ。サブジと豆料理が美味しいと気がついたらチャパティを5枚も10枚も食べていることがある。

温かいチャパティが次々に焼かれてくる。チャパティを片手でうまくちぎりながら次々にサブジを食べていく。お腹がいっぱいであることも忘れてしまう。チャパティを焼く方も食べる方も目の前の美味しい料理の虜になっている。

先日「サブジの会」というものを開催した。旬の野菜を使いながら西インド、東インド、南インドなどのスパイスの使い方や調理手法を用いながら次々といろいろなサブジを作っていった。作ったサブジは気がつけば14、5種類になっていた。出来上がったサブジを参加者が皿に盛り、焼きたてのチャパティと一緒に食べた。空腹も手伝ってかほとんど会話がなく、皆、目の前のサブジと向き合っていた。

シンプルなのだけど美味しいサブジ。食べたことがないけれどどこか懐かしいサブジ。そんなサブジを私は作ってみたい。そして私がインドの家庭や私の家で食べていたサブジもそんな存在であった。

「サブジ」とは不思議なものである。野菜料理全般を「サブジ」と呼ぶ。ポテトサブジ、オクラとトマトのサブジなどなど。そして調理される前の野菜も「サブジ」と呼ぶし、畑に生えている野菜も「サブジ」と呼ぶ。便利なようで曖昧な言葉である。名前の柔軟さのようにどこにでも馴染めるのもサブジの良さなのかもしれない。あるときはカレーの脇にちょこんといたと思ったらあるときは主菜になっていたりする。味付けもスパイスのパンチが効いたものからシンプルで優しいものまで様々である。そしてどれも「サブジ」である。

季節を通してたくさんの野菜が摂れる日本はサブジ天国である。移りゆく季節を感じながらその時々の野菜をスパイスで調理してサブジを作っていく。旬のサブジでサブジを作る。インドや周辺の地域のスパイス使いを勉強しながらサブジを作っていけば季節をより楽しめるのでないだろうか。

「サブジ」を通してインドの家庭のキッチンからインドの食文化や風土、風習などが見えてくるのでないだろうか。

「サブジの会」を定期的に開催しながら、日本ならではのはっきりとした季節と旬を感じながらインドと日本のキッチンが身近に感じたり、親しみが湧いてくるようなことになったらとても嬉しい。

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