『罪と罰』の問いと答え5 エレーナ・ゴルフンケリ
概して休止(ポーズ)の手法は、この日本人演出家が好むもののひとつだ。それが彼流のアクセントである。小さな、そして同じくドラスティックな編集を経たマルメラードフ(ルスタム・ナスイロフ)も、休止の手法をベースに作られている。果てしない自分語りのセリフから切り取られて残された断片を道連れに、何度か酔った足取りで橋の下から這い出して来ると、マルメラードフは(ドストエフスキーの原作ではしっかり馴染みになったはずの)ラスコーリニコフを見ても知らんぷりのまま、演出家が「ストップ」の声を掛け