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海外ツアー通信 その2 ロストバゲージ〜クラクフでの15時間
海外旅行のトラブルの王道といえば手荷物遅延(lost baggage)ですが、今回のツアーで集団ロストバゲージを経験しました。フランスからポーランドまでの旅の終着点、クラクフの空港で総勢16名、合計17個の受託荷物が一つも運ばれていないという事態に。個人では一度、サンクトペテルブルクで経験していたロストバゲージ、ツアーで経験するのはさすがに初めてで、深夜の空港でかなりの絶望感を味わいました。
とりあえず他のメンバーは先にホテルにチェックインしてもらうことにして、全員の荷物タグを握りしめバゲージクレームのポーランド航空カウンターへ。私たちのほかにも数名の被害者が列をつくっていましたが順番待ちの間に現地コーディネーターに連絡、担当者と電話を通じてポーランド語でやりとりをしてもらった後、電話を切って確認書類の作成手続き、翌日の第一便でおそらくは荷物が置き去りにされているであろうワルシャワからクラクフまで運んでもらい、さらには宿泊先のホテルまで運んでもらうことを確認しました。
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ワルシャワからクラクフまでは飛行機で1時間かからないくらい。一日に何便も飛んでいるということと、空港から徒歩圏のホテルだったため、明日起きたときにはホテルに荷物が届いているかもしれない……と淡い期待を胸に3:00頃就寝。
さて翌日。朝食を食べている間くらいははしゃいでいたのですが、徐々に募る不安…。ホテルのチェックアウト時間である正午まで1時間を切った頃、このままでは今日中に次の公演地ラドムまで移動できるかどうかもわからなくなってしまう! と奮起し、一人空港に向かいました。目指すは昨日のカウンター。ところで、バゲージクレームへは搭乗者のみが近づけるようになっているため、空港ロビーから入ろうとしても自動扉が開かないことが通常です。私が思い出していたのは、前夜の帰り道。一人で夜道を歩くのは危険だからとメンバーが二人、クレーム内のカウンターまで直接迎えに来てくれたのでした。深夜で数少なくなった旅行客の一団がロビーに出てくる間にやっと逆流できたんだとか。
同じカウンターで、できれば同じスタッフに対応してもらうのが一番話が通じる、と思いました。手元の書類にはリファレンスナンバーがあり、トラッキングできるようになっているのですが、情報はまったく更新されていなかったので(帰国した現時点でも更新されていません)、直談判して調べてもらうほかないと考えました。クラクフで荷物を受け取る以外に、本番までの限られた時間内に荷物を取り戻す手立てはないように思ったのです。荷物には、衣装と楽器が含まれていましたので、死活問題でした。
さて、数時間前と同じカウンターには同じように数人が順番を待っており、対応しているのは残念ながら別のスタッフでした。このお兄ちゃん、書類を受け取って開口一番「どうやってここまで入って来たの?」と迷惑顔。わかる。わかるけどこっちはもっと困ってる! ワルシャワから今日の朝届くはずだったんだけど出発の時間が近づいてもホテルに荷物が来ない、と説明すると、「今ワルシャワからの便が到着したばかりで、50個のロストバゲージが積まれているけど、調べるには時間がかかる。書類は預かるから外で待ってなさい」とのこと。
書類を預ける必要があるのかどうか謎でしたが、実は昨晩のうちに写メを撮っていた書類だったので大人しく渡して退散。「50個もあったらそのうち17個が私たちの荷物である可能性は大いにあり得る!」と明るい気持ちだったのです。ところが…。
1時間以上経ってもなんの音沙汰もなし。チェックアウトもすませてホテルのロビーで私からの連絡を待っていたツアーメンバーも痺れを切らして合流すると言います。まあ、今後のことを話し合わないといけない。とはいえ、ここはもう一度現状を確認をすべきではないかと思い、再び逆流してカウンターへ。スマホの画面で書類を示しながらお兄ちゃんに詰め寄ります。「次の便は14時過ぎだから、15時くらいには荷物があるかどうかわかる、また50個届く」と言うお兄ちゃん。その顔には「めんどくさい」とはっきり書いてある。私「次の便で届くというのは確かなの?」お兄ちゃん「確かではない」私「だったら、もう一晩ここにいてずっと待ってたら荷物は受け取れる?」お兄ちゃん「99%受け取れると思う」私(ほんまか!?)お兄ちゃん「あなたはここではなくロビー側のカウンターに来てもらわなきゃ困る」。
三度退散し、メンバーと合流しました。15:00までは待つしかないのではないかとの話し合い…。もし荷物が届かなかったら、クラクフでもう一日荷物を待つグループと先に劇場に行って準備を進めるグループに別れてはどうか、とも。待ちながら、荷物が届かなかった場合に必要なものをリストアップしようなどと終始健気な一行。到着ロビーの端にあるカフェに拠点をつくるべ、と移動する道すがら、ロビー側のカウンターを確認しようと、メンバーと二人、人気のない一角に。設置してあった内線電話でポーランド航空の貨物会社の番号を突き止めるも、通じず…。何度かトライしていると、先ほどのお兄ちゃんがたまたま通りかかったのか人気を察知したのか顔を覗かせました(どうやらロビー側のカウンターの奥はクレーム内のカウンターのよう)。私たちを一瞥し、引っ込む兄ちゃん…。
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それは、カフェのソファに腰をおろした途端、だったと思います。まだメニューも見ていないうちに、なんとあのお兄ちゃんが私たちのテーブルまで近寄り、「もしかしたら君たちの荷物はあるかもしれない」と言うではありませんか。なにこの急展開!「もしかして(Probably)」を連呼するお兄ちゃんについて私と先程のメンバー・田中祐気が行くと、そこはバゲージクレーム内の荷物置き場、そしてあるではありませんか、あの人のも、あの人のも、あの人のも、ギターも、ベースも、私のも!
二人でギャーギャー言いながら17個を集め、お兄ちゃんに確認してもらい、またギャーギャー言いながら大急ぎで荷物を運び出しました。思うに、祐気の登場が、どういったわけか助けてもいいかという気持ちをお兄ちゃんに呼び起こさせたのではないかと。「本当はこれルール違反なんだけど…」などとブツブツ言いながら誘導してくれたお兄ちゃん、私は最後の挨拶をしませんでしたが、祐気は感謝のハグして別れたそうです。きっと荷物も早朝一番の便で運ばれていたのでしょう。やれやれ…。
というわけで、以上がこの旅最大のトラブルの顛末でした。長くなりすみません。ホテルで悶々としている間、ロストバゲージの体験談をいくつかネットで読んだのですが、地点の旅のこの経験も、どこかで同じように困った旅人の参考になったり励ましになったりすればいいなあ、と思いました。
実はラドムに行くまではこの後もうひと波乱あったのですが(そして帰国便に乗るときも)、それはまたの機会に…。
2022.10.8 tajima
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おまけ↓
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