【2024社目導入法人 インタビュー】「はぐくみ企業年金」導入の理由と、保育士の実情
~子どもたちのキラリと輝く個性と未来を支えるスタッフが、保育を楽しみ、安心して働ける環境を作りたい~
ベター・プレイスが導入・設計をサポートする「はぐくみ企業年金」は、今年に入り全国の中小企業からの導入が加速しており、設立から6年が経過した2024年4月には加入者数が6万人、導入法人数が2024社を超えました。
今回は2024年に記念すべき導入法人2024社目となった、東京都立川市の「社会福祉法人 大樹の会」理事長であり、「けやき台さくら保育園」の園長でもある小畑くるみ先生に、「はぐくみ企業年金」を導入した経緯や背景、そして今の「保育」と「そこで働く人々」について、詳しくお話を伺いました。
保育士の給与を上げても「上がった気がしない」
現場との乖離感が課題だった
—「はぐくみ企業年金」を導入した“きっかけ”について教えてください。
保育士の先生やスタッフの給与について考えたことがきっかけです。実はひと昔前と比べて、保育士の給与は上がっています。しかし、現場の感覚としては「上がっていない」のです。物価高の影響もありますが、それ以上に基本給が上がっても、社会保険料もどんどん上がってしまっていて、「手取り額」だけを見てしまうスタッフや先生方は、上がった感じがしないわけです。
そんな状況でスタッフや先生方に将来の資産形成を勧めても、iDeCoやNISAはお給料をもらった後に自分で投資を行うものなので、「いろいろ引かれた手取りの中から、さらにお金を出す余裕なんてない」となってしまいます。
スタッフや先生方の将来を見据えたら、法人としてきちんと資産形成ができるような制度を整えてあげたい。退職時の手当も充実させたい。お給料を上げても「上がった感じがしない」点も改善したい。いろいろと悩んでいたところに、知り合いの園長先生から「『はぐくみ企業年金』がいいよ」と伺いました。
お話を聞いて、掛金を自分で決められて簡単にお金を積み立てられる、税金や社会保険料の負担を抑える副次的な効果もある、さらに子育て期間など経済的に苦しい時には掛金を一時的に減らすことができる* など柔軟性がある点もいいなと思いました。法人側としてもコスト負担を軽減できるなどのメリットが期待できるので、これならと思って真剣に導入を検討しました。
でも、実は導入に至るまで、すんなりとはいかなかったのです。
* 掛金の変更は原則年2回までとなります
メリット・デメリットも含め「きちんと伝える」
自分の想いも「率直に伝える」ことが大事
—「はぐくみ企業年金」の導入を提案したものの、反対意見が多かったということでしょうか?
企業年金の導入には、理事会での承認が必要です。一生懸命にメリットを訴えましたが、運用がマイナスとなった場合や、万が一「はぐくみ企業年金」が破綻した場合、職員にとっては元本保証されているものの、法人側はマイナス分を補わなければならない という点を話すと、「え?」という反応になってしまいました。
結果として、1回目の理事会では導入は見送られました。ただ、「はぐくみ企業年金」の良さは非常に感じていたので、なんとか皆さんの理解を得られるよう、もっとしっかり説明する必要があると思い、いろいろと勉強しました。
そして次の理事会では、他の業種と比べると保育士は退職手当が少ないのでなんとかしたい、と思っている私の想いも伝えました。また、職員にとってのメリットだけでなく、法人側にも副次的効果として労使折半分の社会保険料を抑えられるメリットがあることも話しました。すると、「なんだ、法人側にもメリットがあるからそんなに勧めるんだ」と、双方にプラスであることで腑に落ちて、納得してもらえたようです。
それと1回目では反対していた先生が「はぐくみ企業年金」について調べていたらしく、「企業型DCと同じようなものでしょ、いいと思います」と発言してくれたので、他の先生も「そうなんだ」と、良い方向に向かったというのもあります。
2回目の理事会で、正直に自分の思っていることを伝えたのが良かったのでしょう。スタッフ・法人側それぞれのメリットとデメリットを含めて、すべての情報をきちんと話すことが大事だと改めて感じました。
スタッフへの説明会では率直に話し合い
「はぐくみ企業年金」についての理解を深めてもらった
—「はぐくみ企業年金」の導入が決まった後、スタッフの皆さんへの説明はどのように行ったのでしょうか?
スタッフへの説明会は、大きなテレビに接続し、大樹の会が運営するもう一つの園でも同様にオンラインで繋いで、両方で実施しました。
理事会でもそうでしたが、メリットとデメリットの両方を伝えるよう留意しました。例えば、「はぐくみ企業年金」に加入すると社会保険料が軽減されるという点は職員にとって魅力的です。しかし、社会保険料が下がると将来もらえる年金額も下がる可能性があるわけです。
それを話した上で、「そもそも今と同じように年金が支給されるのかな」とか、「それなら自分で貯めて、自分の資産を作るほうがいいかもしれない」とみんなで意見を出して話し合いながら、理解を深めてもらうよう心がけました。
—保育士の先生方の反応はいかがでしたか?
保育士は資格のある職業ですし、結婚や出産による退職や転職も比較的多いです。そうした時に、60歳になる前でも積み立て金を引き出せるとか、転職して別の園で「はぐくみ企業年金」を引き継げなかったとしても、それまで蓄えた分はきちんともらえるといった点も、スタッフにとっては良いと感じられたのではないでしょうか。
将来もらえる退職金について考えている若い保育士はあまりいません。でも、例えば、育休などでお金が足りなくなった時に、「はぐくみ企業年金」なら引き出せるという点は、若い先生方にも「それはいいな」とリアルにメリットを感じられたようです。それで、「はぐくみ企業年金」導入と同時に加入してくれた先生がけっこういますね。
令和の子どもたちと保育について
—現在の保育園を取り巻く状況についても、ぜひお話を聞かせてください。
保育業界は、現在大きな転機を迎えています。これから保育園が淘汰される可能性があります。現に東京都内では保育園が余っている、少子化の影響をすでに受けているところが少なくありません。
—保育園の先生は日々大変なことばかりだと思いますが……。
保育士が安心して働ける環境や、保育を楽しめる環境がなければ、子どもたちに良い影響を与えることは難しいでしょう。
怒っている先生に「今、楽しいですか?」と聞くと、しゅんとしてしまいます。でも、「怒らないと子どもたちが指示どおりに動いてくれない」と言います。
私は「子どもを指示どおりに動かさなくては」という考え方はもう終わりにしてもいいのではないかと思っています。私自身も、自分の子どもが小さい頃は、就学前にこれができるようにさせなければとか、きちんとやらせなければと焦っていたものですが、「それって本当に必要なの?」と思うようになりました。
近頃は、座ってきちんと話を聞けない子どもが増えています。お誕生会などでも、じっと見ていられない子どももいるので、みんなで踊ったり歌ったりして、子どもたちに我慢させないような方向にシフトしています。
同時に、小学校入学後の心配もあります。幼稚園や保育園と小学校の連携は難しい状況ですが、小学校で「静かに座って話を聞く」が入学時点で重視されるとすれば、我慢することを教えなくてはなりません。
子どもには、頑張れる子もいれば、頑張れない子もいます。特性で分けるのもひとつの方法かもしれません。活発で座っていられない子には体育を多く取り入れるとか、逆に体育が苦手な子には座ってやる作業を多くするなど、小学校でも子どもの特性に合わせて良いところ、得意なところを伸ばせる環境を作れるようになると良いのではないでしょうか。
—では、大樹の会における保育で大切にしているのはどんなことでしょうか?
大切なのは、お子さまの自己肯定感を高めることだと思います。できることはあまり褒めてもらえず、できないことは怒られる。だから自信を失ってしまう。当園では、「個々のキラリをバックアップ」と言って、子どもたちひとりひとりの良いところを伸ばしていけるよう、バックアップしていくことを重視しています。
「保育園の先生が、良いところを伸ばします」ではなく、「バックアップします」という点がポイントです。ご家庭でお子さまをたくさん褒められるように、園で気付いたお子さまの良さを保護者の方に伝えるようにしています。園にすべてお任せではなく、ご家庭でもお子さまの成長に気づき、成長を大切に見守ってほしいからです。
先生方とは、園を楽しい思い出がいっぱいできるような場所にしよう、と話しています。教育や指導方法にも一定の期間ごとに「流行り」があります。でも、そもそもの基本的なこと、日本人だからこその良さ、「ありがとう」と感謝の気持ちをあらわすとか、人にぶつかったら「ごめんね」と言えるとか、思いやりの心を育てようという思いで保育にあたっています。
子どもたちの未来を支える「保育園スタッフ」に
将来の安心を準備する
—最後に今後の展望などをお聞かせください。
今お話ししたように、先生方は本当に頑張っています。教育環境は、今ではどんどん変化しています。変化しながら、今の時代に合った保育を考え、実践し、小学校へとつなげていかなくてはなりません。
そのためにも、冒頭でお話ししたように園を支えるスタッフたちが、安心して働ける、楽しく働ける環境を整えていくことが大切だと考えています。
「はぐくみ企業年金」の導入は、先生・スタッフの未来を守り、その結果として保育の質を高めるための、ひとつの選択肢でした。簡単に始められる、難しくない「はぐくみ企業年金」で、スタッフたちの資産形成の第一歩となればと願っています。
—貴重なお話をいただき、ありがとうございました!
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