自然体、の馬券術。〜矢崎滋「ボクの、こだわり」を読んだ。(リメイク再アップ)
競馬場の達人
競馬専門チャンネル、グリーンチャンネルに「競馬場の達人」という番組がある。
俳優やお笑いタレント、作家やスポーツ選手などが1日競馬場で馬券を買って遊ぶ様子をただ眺める、という番組。
いち競馬ファンとしては結構楽しめる。
アメトークで「競馬芸人」をやったときに、ホストの蛍原徹が、プレゼン側に回ってこの番組が面白い!と熱をこめて紹介していた。
矢崎滋さんの回が記憶に残っている。
俳優の矢崎滋さんがこの「競馬場の達人」に出演した回がすごく面白かったと記憶している。
本当に競馬好きなんだな〜というのが見ていてすごく伝わってきた。
自分が見た事のある回の中では一二を争うぐらい面白かった。
その矢崎さんが、1997年に上梓したエッセイがこちら。
「ボクの、こだわり。」
軽妙な語り口(駄洒落かなり多め)で、矢崎さんがなぜ役者を志したか、どんな学生時代を過ごしたか、芝居やレポーターの仕事の話に加え、競馬を好きになった経緯、イギリスかぶれであること、かぶれが昂じて43歳にして10ヶ月ロンドンに遊学したこと、その間、英語学校に通い、劇場に通い、競馬場で遊んだことなどが語られる。
競馬に特化したエッセイではないけど、随所に競馬の話が、特に、イギリス競馬の話がたくさん出てきて、現地に行った事のない自分はいつかイギリスの競馬場に行ってみたいと思わされた。
矢崎さんが、本当に楽しそうで。
タイトルに「こだわり」とはあるけど、押し付けがましくなく、素直に好きな事・苦手な事について語っている印象。
自然体、の馬券術。
そんな矢崎さん、「競馬場の達人」でも、独特のこだわりを披露していたのを覚えている。
たしかデパートの紙袋を手に下げて登場し、「新聞や競馬雑誌を出し入れするのにこれがいちばんいいんです」とこだわりを披露していた。
格好よさ重視ではなくて、競馬場で心地よく過ごすための工夫・こだわり。この時も、ああこの人、競馬を本当に楽しみたいんだなぁ、と思った。
収録日は暮れの中山の名物マラソンレース・ステイヤーズステークスの日ではなかっただろうか。矢崎さんは伏兵の馬を本命にして的中させたんじゃなかったけかなぁ、、(記憶に自信なしですが、、)
テレビの収録となると、普段とは違う買い方をしたくなったり、いつもと違うレートで賭けてしまいそうだけど(見ていてそう感じる回は少なくない)、矢崎さんの場合、見ているこちらがちょっと引くぐらい、いつもどおりの予想スタイル、買い方で買っているように感じた。(本当のところはわからないけど、たぶん、いつも通りを貫いていたと思う。)
矢崎さんの今。
少し前でネットの記事で見たのだが、もう隠居のような形で、福島競馬場近くのホテル暮らしだそう。
この本を読んでもわかるけど、収入から逆算して無理のない範囲で競馬を楽しみ気ままに暮らしているんだろう。
※本記事トップのメガネは、この本のカバー下の表紙を撮ったものです。矢崎滋さんと言えばたしかにこの丸メガネを想起しますね。