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藤子不二雄マンガのテンポはすごいなぁと改めて思った話。
(タイトルそのまんま、ただただ感心した、というだけの話なのですが・・。)
ドラえもん映画を観ました。
先日、息子を連れて「のび太の宇宙小戦争2021」を観てきました。
子供は生まれて初めて映画館で映画を観て、大満足のご様子。
鑑賞直後、「今すぐもう一回観たいぐらい面白かった。」とコメント。
そんなに楽しんでくれて、親としても大満足でした。
やはり、映画館の大画面・大音量はいいですね。
自分も久々の映画館を堪能しました。
ところで、映画館よりお土産として、こちらの付録を貰いました。
![](https://assets.st-note.com/img/1650452761199-AbD5JUMY3s.jpg?width=1200)
ロコロココミック収録の作品「せん水艦で海へ行こう」
この本に、映画にちなんだドラえもんの作品が収録されており、そのひとつがこの話。
「せん水艦で海へ行こう」
![](https://assets.st-note.com/img/1650452854332-U1pgOLpCmp.jpg?width=1200)
映画を観終わったあと、昼を食べようと行ったお店が少し行列をしていて、その間に読んでみて、お話のテンポの良さに感心してしまいました。
上記の扉の2ページを含め、全部で9ページ。
ネタバレになってしまいますが、ざっとこんなストーリー。
●スネ夫、いつもの調子でボートを自慢する。
↓のび太、いつものようにハブられる。
↓のび太が家に帰ると、ドラえもんが怒り出し、秘密道具を出してくれる。
↓秘密道具は、その名も「せん水艦」。
↓ただの潜水艦ではない、水から水へジャンプできる。しかも、周りの環境に合わせてサイズが自在に変化する。
↓のび太とドラえもん、いざ海へと、ジャンプを繰り返す。
↓↓↓
![](https://assets.st-note.com/img/1650453497334-GmBi6C6oQv.jpg?width=1200)
↓↓↓
オチは有名かな?
ジャンプを繰り返した末、ついに・・
![](https://assets.st-note.com/img/1650453708724-EH8c59QJ33.jpg?width=1200)
海に着いたのはいいけど、よりによってボートに乗るスネ夫たちの水筒の熱いお茶に着いてしまった、というオチでした。
ドラえもんの話というと、オチは秘密道具を悪用してのび太が失敗する、というのが多い気がしますが、これもその系統でしょうか。
ただ、”悪用”ではないので、珍しいパターンのオチかもしれません。
何しろ、この9ページのテンポがなんとも心地よくて、改めてすごいな、と思いました。物理的に、パッ、パッ、パッと、毎回意外な面白い場所にワープしていくのもなんとも楽しくて。(こんな楽しいテンポの文章を書いてみたいです。)
「まんが道」のテンポも好き。
ドラえもんは藤子・F・不二雄(藤本弘)先生の作。
一方で、藤子不二雄A(安孫子素雄)先生の「まんが道」はまた、独特なテンポです。
ちょっと、”テンポ”という観点で自分が好きなシーンを読み直してみたのですが・・。
「四畳半の広さ」(「まんが道」より。)
![](https://assets.st-note.com/img/1650454057325-GwAb28HgUd.jpg?width=1200)
まず、この見開きがすごいインパクト。
「自炊やってみるか!」
「ご飯を炊いて味噌汁を作ろう」
・・わからないですが、日本漫画史において、もっとも平和な見開き2ページじゃないでしょうか(笑)。
その後は、二人の自炊の様子が細かく描写されていきます。
![](https://assets.st-note.com/img/1650454036616-VnZBG4UUNu.jpg?width=1200)
↓満賀、米を炊く。才野、キャベツをきざむ。
↓味噌を買うのを忘れて爆笑!
↓すると、隣室の美人の女の子が味噌を貸してくれる。
↓無事夕食の準備ができ、お茶で乾杯!
↓自分達で作ったご飯に、「ンマ〜イ!」と感動!!
↓すると、さっきの女の子の妹が、今度は漬物を持ってきてくれた。
↓「なんだか急に楽しくなってきたぞ!」と恋の予感含めてトキワ荘での生活に胸をときめかす!
![](https://assets.st-note.com/img/1650455305396-qXKZxBZf0U.jpg?width=1200)
ここまで、「自炊やってみるか!」の見開きから16ページ。
ひたすらただの日常でもあるし、でもドラマチックなトキワ荘での生活の幕開けでもある、でもやっぱり、いやいや、ご飯炊いて味噌汁作って漬物もらっただけじゃん!!とつっこみたくなる。笑。
これはこれで、F先生には描けない(であろう)独特のテンポ。
とかくF先生の天才性の方がクローズアップされがちな藤子不二雄ですが、A先生もやっぱり天才だなぁ、と思うのです。
(ちなみに、この夜の翌朝、こんなシーンも。)
![](https://assets.st-note.com/img/1650455594071-11WJuynZuw.jpg?width=1200)
大人になって考える。
最後に、再度「せん水艦で海へ行こう」の冒頭シーンについて。
![](https://assets.st-note.com/img/1650455701030-RkHWTM05Dx.jpg?width=1200)
ぼくも行きたいと無邪気にお願いするのび太に、「だめ。」と突き放すスネ夫。
スネ夫の真骨頂とも言えるこのシーン。
子供の頃に読んだ時は、普通に「ひどいやつだなぁ。」と思ったものですが、ここまでバッサリと「だめ。」と言えるスネ夫、今は逆にすごいな、とも思えます。
ただ、
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ハンドルを握りながら微笑を浮かべる、スネ夫のパパ。
![](https://assets.st-note.com/img/1650542732888-c7QI5DP7Kt.jpg)
大人になって読み返すと、パパの方がひどいな〜と思いました。
この親にしてこの子ありか、とか、昔とは違う方向に考えをめぐらしてしまったのは、自分も親になったからなのかな、と思いました。