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動力になるということ

なんでも過ぎてしまえばあっという間で。

東京ビッグサイトで開催されたHandMade in Japan Fes に参加したのも先週の話。
HMJと略されるCreema主催の国内最大級のクラフトイベントだ。

今回で5回目の参加になるのだけれど、ギリギリまで出店するかどうか迷っていた。
出店料もそこそこするし、什器レンタルや荷物の配送、宿泊、交通費、そして作品制作の経費、手間、時間、、、諸々+人件費と利益と考えると、今の私の実力では見合わないのだ。

前回までも赤字にこそならなかったものの、利益まで辿り着けるかどうかで足掻く日もあった。
最初の商材はiPhoneケースだけだったが、その頃はiPhone5と6のシリーズがあれば大体の人に当てはまったので、気に入ったら買ってもらえた。
しかし今やiPhoneだけでも7種類のケースがあり、さらにandroidの人もかなり増えたように思う。

アンティーク着物のほぼ一点物という希少価値が、即売会では不利になる。
後日発送などのオーダーで受けることが多くなったが、こういうイベントでは勢いも大事。
よく考えて後日・・が増えてきた最近、こういうイベントでは弱いだろうと二の足を踏んでいたのだ。

でも行けば確実に勉強になる。
色々課題が見えてきたのも今まで参加してきたからだし。
ひとつ課題をクリアすれば次の課題が見え、それになんとか取り組めばまた次・・と、課題しかないようにもみえるときもあるが、それだけひとつひとつ進んでいるということだろう。

そうモタモタ考えていた私を動かしたのは友人の言葉だった。
彼女は天才的なデザインと技術の職人。
大人気で多忙を極め、日々のオーダー制作だけでも大変なのに出店する。

「 お祭りだからさ。Creemaにも日頃お世話になってるし。」

ハッとした。

私は損得勘定ばかり考えていたんだ。
いや、商売だから損得勘定も大事かもしれないけど、その前に日頃お世話になっているCreemaのお祭りに、自分がどう関わって盛り上げて返せるか、日頃お世話になっているお客様にどう楽しんでもらえるか、そういう気持ちが大事じゃないか。

「 そして夜ちょっと飲もうよ。」

この言葉が決定打となったのだけれど。(笑)

とにかくこのように気持ちを切り替えた私は、このお祭りを私のブースとして楽しみ楽しませることを第一に考え、商材を巨匠動物園のグッズに絞り、頒布品やおまけの制作にも取り組んだ。

当日寄ってくれた人にはとにかく楽しんでもらって、喜んで帰ってもらおう。
そして私も楽しもう。
戦略といえるものもなく、それだけで臨んだようなものだ。

そして当日蓋を開けると。

オープンと同時にたくさんのお客様が来てくれて大賑わい。
SNSで発信し続けていたからか目指して来てくださる方も多く、また初見の方の反応も面白く、楽しい時間は閉店するまでずっと続いた。
そして、結果売り上げも過去最高の数字を出すこともできた。

本当に友人と話して良かったな。
その夜、彼女とその友人の作家さん数名で集まった。

展示会会場も素晴らしいセンスとアイディアと技術、努力の宝庫だったけれど、この夜会のメンバーもまあ天才揃いだ。
みんな素晴らしい作品を作っているだけでなく、販売でも輝かしい実績を上げている。
そしてそのみんなに共通するのが、とても明るく前向きで行動力があり、人を惹きつけるなにかを持っているのだ。
上手くいっているからこうなのか、こうだから上手くいっているのか、そういう循環の中にいる人たちだ。

そりゃ個性は人それぞれだし、目指すところもスタンスも違うので比べてはいけないかもしれないのだけれど、昼間の私のブースの周りは一向に売れる気配のない店もあった。
その人たちに共通するのは、黙って座って見つけてもらって買ってもらうのを待っていたこと。
声も発せず、何も発せず、商品が並んでるだけのブースは巨大な会場の中であっという間に景色と化す。
足を止める理由がないのだ。
足が止まらなければ、その作品が好きか嫌いかすら判断するまでに至らない。
中には凄い技術だなと思う方もいたけれど、足を止めてもらわなければ見てもらえないし、話さなければその凄さも伝わらない。
余計なお世話だろうけど、少し残念に思った。

反対に売れているブースを見るとやはり、作品が素晴らしいのは前提として、見る相手のことを思いやった配置であったり、楽しませる仕掛けがあったり、作品の世界観に浸れる場所づくりをしていたり、どこも明るく活気に溢れている。
そしてそこに人は集まって行く。


縁は運を呼び、運は縁を呼ぶ。
それが回っているうちは、私は大丈夫なんじゃないかと思っている。

運も縁も『おかげさま』で、人や風が運んできてくれるようなものだ。
だけどそれを回す動力はたったひとつ、自分だけ。
座って待ってたら誰かが回してくれるものではない。

誰もが平等とは思わないが、多かれ少なかれ誰にでも運と縁はやってくる。
それを回すか回さないかは自由で、その動力は自分だけ。

だから、今回HMJのすべてのご縁と運に感謝し、行動した私も少し褒めてやりたいと思う。
そしてまた、動力になろう。

きっとこうやって、私のお店の未来は創られて行くんじゃないかな。



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