大糸線の旅~初冬の大地溝帯を行く~寄り道編
~往路編~を読まれていない方はこちらをどうぞ。
日本海ひすいライン 糸魚川駅から親不知駅へ
今回、糸魚川から少し足を延ばして親不知へ向かった。
糸魚川駅からは、私鉄えちごトキめき鉄道日本海ひすいラインに乗り換える。かつて、一回だけひすいラインに乗ったことがあるのだが、それは素晴らしいもので感動した。車窓はほぼ日本海である。そして、1両編成ながらも座り心地よい椅子と穏やかな空気が流れている車両が気に入っている。一番好きな路線かもしれない。ワクワクしながら乗車。ワンマンと書いておきながら車掌がいるがどういうことなのだろうか。
ET 122形気動車というよくわからない車両。ひとまず乗り込み、南小谷で手に入れた切符を持ち帰っても良いか車掌に聞いた。この先しばらく無人駅が続くため、降りるときは列車内が改札となる。そこでお金を払ったり、切符を運転手に渡したりする。これは大糸線も同じシステム。車掌からはこの切符は持ち帰れないかもしれない,運転手にも確認してみて。とのことであった。
さて、相変わらず素晴らしい景色だ。海沿いを行く。まだこの路線がJRであったころは,この区間に多くの特急が走ったり、寝台列車も通ったりと、重要な路線であった。親不知が近づく。トンネルを抜けてすぐのところに駅はあった。切符のことを聞いてみると、「いいですよ。」とのことだった。貰えてよかった。
親不知駅にて
降り立ってみると何とも異様な光景が広がっていた。
海と大きな道路。そこにはトラックがせわしなく通る。北陸自動車道と国道8号線だ。
親不知駅看板待合室のほうに進むと駅の看板が。見たことがないフォント。大変な恐ろしさを感じる看板である。これを見たとき、ぞっとした。
少し歩くと、集落が見えてくる。「歌」という集落らしい。郵便局が一つあっただけで、そのほかの商店などは歩いている限り見つけることはできなかった。
もう少し歩くと、国道に出られそうだったので行く。
話題になっている、「クマ」が出ないかヒヤヒヤしながら歩いた。道路わきすぐに山があり、しかも道には人っ子一人いない状況。郵便局も営業していないので、クマに出くわさないことだけを願いながら。
さて、国道に出る。海が一面に広がっている。風が強かったせいか、少し荒れていた。国道に立っているだけでも、風が強くて吹き飛ばされるかと思った。国道を通る車は少なく、波の音だけが聞こえてる。太古から難所とされた親不知。訪問した場所は親不知の終わりのほうだと思われる。命を落とした人が多くいるこの場所は何とも寂しいものだった。
あまり時間もないので、駅に戻る。親不知駅。古い。トイレも設置されているが汲み取り式、いわゆる「ボットン便所」。利用することはあまりお勧めできない。周辺の道も薄暗く本当に怖かった。かなり恐怖を感じる駅であった。
日本海ひすいライン 親不知駅→糸魚川駅
ひすいラインで糸魚川駅へ戻る。親不知駅も無人駅であったため、車内で精算する。「どちらまで行きますか。」「糸魚川まで。」そんな単発な会話が行われる。
当分、時間の関係で日本海ひすいラインには乗れないだろう。しばらくのお別れ。本当に素晴らしい路線である。
糸魚川駅にて
帰りの大糸線まで1時間ほどあった。糸魚川の駅に降り立つ。駅舎は立派だが、駅前はすたれていた。潮風で錆びている。それがまたいい感じ。物産館があったので立ち寄った。怪しげな石がたくさん売られていたが、私はそういうものは信じないので買わなかった。クリアファイルをひとつ買ってきた。
それ以外は特にすることがなかったので、早めにホームへ向かった。1両編成の大糸線をじっと待つ。
冷たい風で体が冷えてきた。
(~復路編~に続く)