『僕らに出来る事』 ~難聴者から見た手話歌~
(前頁 ~『もっと出来ること』) ※難聴者さんインタビュー⑧
GenGenさんとは、私が企画広報を行う「BeOne手話歌」の手話監修をして下さった、というご縁で繋がった。私とGenGenさんの間には3人の経由がある。
監修はGenGenさんと、更に手話が堪能な方の協力を得てダブルチェックを行うところまでを担ってくれた。
難聴者、ダンサーなどの人脈に声をかけて下さり、「BeOne手話歌(第1期)」の参加者119名の内、約40名がGenGenさんの人脈だった。
「BeOne」自体が、アーティストや一般の音楽ファンの垣根を越えて、繋がり合って出来た曲であるが、この企画でGenGenさんや私、それぞれのメンバーにも多くの人脈が出来、繋がった。
「バリアフリーにこの曲を届けたい」という思いから「手話」の発想になり、このプロジェクトが生まれた。
その後「曲も、曲に込められた思いも、未来まで残したい」と願うようになり、現在「BeOne手話歌」は第2シーズンとなって再稼働し、また新たな繋がりが生まれている。
企画をした私も手話は未経験で、たまたま閃いた「手話」という表現方法を用いただけなのだが、
・その「手話」が難聴者さんの使う言語である事
・「BeOne」という「音楽」を使わせて頂いている事
があって、どうしても「難聴者さん」について考えてしまう。
取材をお願いした そもそものきっかけがそこにある。活動を続けると決めたからには、どうしたらこの手話歌を生かせるのか知りたかった。
最後に、この「BeOne手話歌」について見解を訊いた。
理解し合えるきっかけに
「BeOne手話歌」の企画・広報としてひとつ、私は願っている事があった。手話に触れた後、参加者さんに何か気付きがあって欲しい。手話歌をやる事自体が最終目的ではない。
それはInstagramの広報ページでも発信してきた。
手話をやった=難聴者さんを理解した事にはならないと、今回のインタビューでも改めて感じた。その部分についても伺った。
「音楽の教科書にBeOneが載り、子ども達が皆この曲と振付を通って行く」という事を企画の目標に据えた。それは、
「ハロー」や「サンキュー」は、英語を習ってなくても誰でも言えるように、「こんにちは」や「ありがとう」も誰に習ってなくても手話で出来るようになれば、と思ったから。GenGenさんの話を聴いて「目指すところは間違ってなかった!」と、ホッとしたし、嬉しかった。
ただ「表現」という事に関しては、考え直す点もあった。
「難聴者の手話/健聴者の手話」
手話初心者の私は「手話×ダンス」は相性がイイと思っていたが、それは素人考えであったようだ。(手話ダンスを否定しているワケではありません)
GenGenさんの場合、体と手話が合わないと伝わらないという。
インタビューを振り返ると、それもよく解る。
100人いれば100人の手話があり、「手話ダンス」が好きな難聴者もいる。GenGenさんは会話しながらの手話と違い、どんな歌詞なのかも解らないから「読み難い」そうだ。
例えば、SMAPの「世界に一つだけの花」(サビ振付) は、動いてないから解る。嵐の「Happiness」(走り出せ~) の様な動きも雰囲気で伝わる。しかし細かい手話を入れたダンスとなると「目で読む」難聴者さんにとっては、どこを見たらよいのか解らなくなる。
また、健聴者の手話は伝わるが、難聴者の手話とは「価値観の違い」があるという。手話にも「ネイティブ」かそうでないか、といった感覚があるようだ。
「BeOne手話歌」参加メンバーには、難聴者も健聴者もいる。
音を聴いて手話をやれば振付を覚えられる、というのが難聴者には出来ない。
「BeOne手話歌」はリズムも計算して振付をしてあって、やり易かったという。
ただ表現としては、ある程度センスがある人がやらないと伝わらない。「BeOne手話歌」が多くの反響を頂いたのは、温もりのある振付の緻密な計算や優しさだけではなく、プロのダンサーや実際に手話を使う難聴者が多く参加して下さり、表現力のある人が多かったというのもあるだろう。
~次頁『エピローグ』
Interviews and Contributions(取材・寄稿)
yuka (BeOneプロジェクト代表)
※私ども「ハニポ」 はBeOneプロジェクトの活動・運営を無償サポートしています
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