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#12. 2020年に読んだ知財関連の書籍

 多くの人の興味を引きそうなタイトルにしましたが、全然読書できてないです。来年はもっとたくさん読むんだ!と自分を叱咤する意を込めて、今年読んだ書籍をレビューしていきます。

1.キャリアアップのための知財実務のセオリー 技術を権利化する戦略と実行

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 著者の岩永利彦氏は元ソニーの技術者上がりの知財の方です。

 内容は知財としての心構えが中心で、これから知財の仕事を目指す方で特に企業内の異動で開発から知財に進む方にお勧めです。中でもある程度の人数がいる知財の中での生き抜き方に役立つかなと思います。また、就職活動で新卒で知財になろうとしている人、特許事務所から企業知財への転職活動を考えている人にもおすすめです。

 私も2017年に開発から知財に異動しましたが、内容を読んで、自分の考えは間違っていないな!ということは確認できました。異動前後のタイミングもしくはその1年後くらいに読んでおけばよかったなぁ、と思う一冊でした(今読んでも勉強にはなりましたが)。


2.スタートアップの知財戦略: 事業成長のための知財の活用と戦略法務

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 中村合同特許法律事務所の山本飛翔先生の著書になります。

 内容は、これから知財戦略を立ち上げることが必要な立場(ベンチャー企業内、TLO、ベンチャーやTLOから戦略立案を委託されるetc)で働くときに知っておきたいことがぎっちりと書かれています。かなりの読み応えです。

 大学発のベンチャーが資金調達のために特許を活用した具体例や、そのようなベンチャーが企業との間で共同開発を行う際の注意点など、非常に詳しく書かれており、ベンチャーで働く人(ベンチャーから依頼される人)だけではなく、ベンチャーから仕事の協力を依頼される大企業の法務の人にも読んでもらいたいと思う一冊です。

 書かれている内容は、特許だけでなく広範な知的財産権を扱っており、自分は知財として必要とされる業務の一部にしか普段携わっていないなぁ、と痛感しました。もっと勉強しないといけませんなと。

 勉強しておけば、今後、日本企業が生き残りをかけて新事業を立ち上げる際にこの本に書かれている知識が役立つ機会が必ず来るだろうなぁと思いました。読むのに結構時間がかかりましたが、すぐ目に付く場所に置いておきたいと思う一冊でした。必要な個所を都度調べて読み直すことになるでしょう。



3.中小企業のための知財戦略2.0

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 著者の後藤昌彦氏は元象印の知財の方です。

 タイトルを見ると中小企業相手に知的財産の必要性を説く一冊のように思えますが、これは私のような大きな企業の知財が読んでも面白い内容でした。

 私は現在の仕事で、出願・権利化を担当していますが、現行事業のみならず新規事業に関係する技術も担当しています。新規事業を立ち上げるチームの上層部のお偉いさんを、この本に登場する中小企業の社長に当てはめると、面白いくらい自分の仕事とリンクしました。

 山本先生の本に出てくるベンチャーは、会社の仕組みができていないような会社を指していましたが、多くの会社でスタートしている社内ベンチャーは中小企業をイメージした方がよい気がしました。

 この本は定価も1650円と安めです。今年一番のおすすめの本です。


 私は来年も企業知財で働きます。私はR&Dに入社していますので、「利益を生み出す仕組みがないところから、利益を生み出す」ということを知財という立場になっても続けることを自分に課しています。となると、キーワードは「社内ベンチャー」。自分の得意技術である中間処理、発掘という力をより強固にしながら、山本先生や後藤先生のような方がもっている広範な知識を手にいれて、スキルアップしていきたいと考えています(弁理士っぽい仕事じゃなくなってるけどねぇ。。)。


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