紅芋たると

ただの自己治癒

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最近の記事

大好きな味は、思い出になった

 ラーメンが好きだ。別にマニアというほどではないけれど、ラーメンが好きだ。週に一度は、まるで依存症のように麺をすすりたくなる。生活の乱れから順調に太ってきた今、一応自制しているけれど、やはり食べたい。旨いラーメンをすするときの幸福感は、例えようもない何かがある。  そんな僕以上に、親友はラーメン好きだった。僕の知らない店をちゃんとチェックしていたし、おそらく舌も僕より肥えていた。僕は好きな店が見つかるとそれに執着してしまうので、中々行動範囲が広がらない。一方彼は、新しい味を

    • 楽園の魚たち

       一年前、高校時代のクラスメイトと水族館に行った。僕も彼女もそれぞれの大学から大きな課題を出されていて、それが終わったので何となくねぎらいをこめて出かけることになったのだった。僕たちが訪れたのは電車一本で行ける中規模の水族館で、一応イルカショーもやっているようなところだった。ふらふらと見て周り、僕たちは巨大水槽の前にきた。  水槽の前にはいくつかカラフルな椅子があり、丁度二人分空いていたので腰掛けた。水槽の中には大きなエイや小魚の群れ、小さなサメが自由に泳いでいて、僕は癒や

      • 「十一人の賊軍」レビュー(ネタバレありです)

         この映画は、戊辰戦争で実際に起こった新発田藩の裏切りを元に笠原和夫氏が書いた脚本のプロットを映画化したものだ。元の脚本はもうないらしい。ストーリーは、新政府派の官軍に寝返ることにした新潟の新発田藩が、出兵を求める旧幕府派の奥羽越冽藩同盟軍が城から立ち退くまで、罪人たちに官軍の足止めをさせるというもの。当の十一人の罪人たちは何も知らず、無罪放免のために砦の死守という命令に従うのだが……。  前回のヴェノムでタイトルをレビューにしてしまったため倣ったが、今回僕はただ、あるキャ

        • 「ヴェノム:ザ・ラストダンス」レビュー(ネタバレありです)

           映画館に行くと、思わぬ掘り出し物がある。世間で話題になっているかどうかは関係なく、ふらっと入った劇場で観た映画が自分の人生で触れた作品の中でも大きな存在となる、なんてことが起こるのが映画館という場所だ。特にサブスク全盛期、映画はテレビやスマホで観る時代、さらに映画館に行くとしても、初めから観たいものを予約して行くことが当たり前の現代社会においては、少し珍しい体験かもしれない。  「ヴェノム」を観たのはほぼ偶然だった。他の映画を観に行ったときに予告は観ていたので存在は知って

          初投稿 適当な断章

           文章の練習がしたくて、noteを始めることにしました。 □  大学の課題も研究もほっぽり出して、スマホの画面から流れるラジオ系動画の音声を聞き続けるだけで一日が終わろうとしている。精神科の薬を数回飲み忘れて、その後飲みにくくなった。将来、癌になるのか糖尿病になるのかは知らないが、いずれ僕は薬の飲み忘れで死ぬだろう。 □   小学生の頃、人が何を考えているのか分からなかった。父は自分が一番まともだと思っているので、家族が自分と違う考えや行動を取ると苛立った。僕は何か考える

          初投稿 適当な断章