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李佳琦のライブコマース大炎上から中国メーカーのSNSセールス戦国時代到来。老舗企業にこそチャンスか

推定年収300億円を超えるライブコマースのスター配信者「李佳琦」のライブが大炎上したことで、

・ライブコマースって本当に大丈夫?って議論
・この炎上から気づきを得て新しく挑戦する方々が登場


が起きている件。ここからは後編です、前編はこちら↓

前編を簡単にまとめると、
影響力が高まりすぎたライブコマースのセールスKOLは、もはや商品の価格決定権力まで手にしつつあり、一般の消費者が不幸になっているのではないか
が議論されているという話でした。

この大炎上事件と議論をきっかけに、新たに挑戦を始めた方々が注目されていて、なかには一気に成功した方々がいます。取り組みの数々は日本のみなさんのビジネスのヒントになるのでは。

■炎上事件は絶好のチャンス。抜け目ない人々が続々と始めた79元アピール

”79元”事件のあと、中国のナショナルブランドが次々と「79元でこんなにお得に買えますよ」と自社の商品を宣伝し、これがとってもバズっています。

例えば国産老舗シャンプーブランドの蜂花は、炎上事件の次の日にtiktokに動画を投稿。79元で600MLのシャンプーと1Lの大きなバケツ2杯分のスキンケアが買えると強調しました。

普段数千しか見られてないアカウントなのに10万を超える視聴数に。Douyin(中国国内版のtiktok)の販売データによると、9月11日からの3日間で2500万元以上の売り上げを実現し、生産能力が追いつかなくて品薄の状態になってしまいました。

これを見て他の老舗ブランドも続きます。9月14日午前に、44年の歴史のあるフェイスクリームの「郁美净」(↑1番左)が初めてDouyinとRedにアカウントを開設、ライブコマースによる自社販売を始めました。9月14日24時には10時間のライブを経て、67万のフォロワーを獲得し、推定成約金額は250万元を超えたそうです。

美容系だけではありません。国産ミルク(↑1番右)があまりにも売れ筋がよく、運送が追いつかない状態となりました。

さらに新たな波が。倒産寸前の国産洗剤「活力28」は、9月13日に初めてDouyinで自社セールスを開始しようとしてました。操作がいまいちよくわからない3人のおじさんが、工場を背景にライブ配信を開始。物販設定がわからなくて、視聴者からのコメントで教えてもらいながら、けっこうな時間をかけてようやく販売ができた、という大丈夫か?という展開。

しかし、こんなライブコマースとは縁遠かった、みんなの記憶の中にしかなかった老舗洗剤銘柄は、9月17日にフォロワー数が400万人を突破、1日の販売額が500万元を突破しました。すごい!

これら老舗国産商品メーカーの多くは、有名KOLと提携する機会も経済力もないし、そもそも自らライブコマースを行うところも少なかったのです。それでも、今回の一連の展開を見て、自分たちなりにできることを始めたり、捨て身で挑戦している。これを応援する視聴者もたくさんいます。

他にも、新たな挑戦者たちから次々と話題な配信が現れました。

洗剤の「白猫」は、あまりにも急な配信開始でまだセールスする人がいなくて困ってますと言ったら、ネット民から「白猫って名前なのに白い猫一匹もいないの?」のアドバイスを受け、すぐその対応を行いました。

↑まさか、洗剤売るライブ配信に白い猫置いておけば良いって斬新すぎるw。さらに、配信があまりにも長いから猫さんが疲れちゃって、途中から白くない猫が交代で登場するという雑な展開が話題に。かなり注目を集めました。

↑これを見てさらにツワモノが。インスタント食品メーカーの「白象」ではなんと象が登場。白い象ではなかったですが、まさか本当に象を見つけてきて配信するなんて笑

↑動物が数字をとれるのは世界共通だった。鶏の鳴き声「喔喔」というキャラメルのメーカーも配信を始めたんですが、同様にセールスする人がいないってことで鶏に来てもらいました。ニワトリさん、ちゃんとギャラもらえると良いな。

始まった動物セールスバズりの数々に焦った人たちも。「金丝猴」(キンシコウ)というメーカーはセールスの人がいるのにも関わらず、しばらく「リーダーが今サル探してます」との看板を置いて配信を開始。

↑その後動物園でライブ配信を始めます。題して「会長が生出演」。本物の会長怒るんじゃないかな。

↑男性服メーカーの「七匹狼」は、狼は流石に無理だったのか、でも似ているハスキーを連れてきてライブしていました。これもかなり視聴されてました。

まとめてみると、ギャグのような配信の数々ですが、みんな必死です。そして、昔も今も中国のブランドって動物関連の名前が多いことを実感しました。動物強い!

ちょっと前に、成田さんの政治家はネコになるって本を読んでだいぶ納得感ありましたが、政治家より先に世界中のKOLが動物になるんじゃないかな。

福島の件の逆境があっても、日本でも中国向けにライブコマースにチャレンジしてる方々もいますね。この老舗メーカーたちの例からもわかるように、なにもプロのKOLにセールスしてもらうことだけが正解ではない、自分たちで手探りで頑張っても話題になることだってあるのです。ぜひ頑張ってもらいたいです。

■おまけ。ネット民の李佳琦いじりは止まらない

ここからはおまけです。今回の騒動での中国ネット民の李佳琦いじりは凄まじく、このスピード感は世界一ですね。紹介しておきましょう(気分を悪くする人がいたらごめんなさい)。

李佳琦が謝罪の動画をあげたんですが、空から羽が降ってくるバージョンの動画が制作されました↓

bilibiliから

本人が昔から「自分の羽は中継を見てくれた女性たちがくれた大切なモノ」と主張していることのパロディで、とんでもない視聴数に。これを見て、羽が降ってくるゲームが秒速で作られバズりました。

bilibiliから

吹いて羽根を落とさないようにするゲーム。天井が炎上したライブで売っていた花西子(フローラシス)のアイブローという細かいところにもこだわりが。二次創作コンテンツも驚異的な再生回数の数々でした。

今回明らかになった問題、ライブコマースの光と陰は今後きっと新たな展開があるでしょう。また興味深い話題があったら紹介します。ぜひフォローとハートで応援をお願いします!

(参考資料)


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中国情報局@北京オフィス
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