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私の好きなスピンオフのゲーム(My favorite spinoff game)

本記事は、Anthony Faber氏が2023年5月17日にBGG上に投稿した「My favorite spinoff game」の翻訳である。

2つのゲームの紹介にとどまる短い記事である。それに、何か一般論的な話が出るものでもないが、久しく更新されてないこともあって訳出することとした。

元記事は以下のリンク先を参照されたい。ヘッダー画像はみんなのフォトギャラリー機能を利用させていただいた。

文章の羅列を眺めると目が曇ってくるというならば、ポッドキャスト「Two Wood for Wheat」のほうで、私のお気に入りのスピンオフゲームのレビューを聞きたくなるかもしれない。

このブログの投稿を再開しようとしていたところで、この数か月の間にプレイした新しいボードゲームのほとんどが、ハードルを低く見積もっても(at least)少し残念だったというのが1つの問題だったね(次の投稿で、この話題を取り上げるつもりだ。)。けど、当初は、全く関心がなかった2つのゲームについて心がウキウキとなる驚きを覚えたんだ。2つのゲームとも実のところ過去作のスピンオフだった。私は、通常、「◯◯・ザ・ダイスゲーム」とか「◯◯・ザ・カードゲーム」とか「◯◯の紙ペンバージョン」というのが原作を上回るものとは思わないし、特にその原作ゲームに思い入れすらない状態だった。

クレジット: Anthony Faber

このうち最初に挙げるのは、「宝石の煌き:デュエル」となる。私は、原作のゲームとは完璧に縁を切っていたところで、この作品に触れた理由は、このゲームは実際には素晴らしいゲームだと主張するポッドキャストの共同司会者のPatによる強くお願いされた(the pleadings)というのと、Bruno Cathalaが2人用ゲームの取り扱い方をわかっている人物であることだけだった。渋々、この小箱を注文したよ、安い買い物だと自分に言い聞かせながらね。そして、不本意ながら、妻にルール説明をしたんだ。

けど、このゲームは私たち両方に刺さったんだ(sparkled for)。新しいリソースの追加、新しいリソースマネジメントを導入するチップ選択の空間的な方法、ヘイトドラフトの新しい手段、3つのあり得る勝利条件、何にでもなる資源(wild resources)。これら全てによって、このゲームがもっと考えどころがあって、インタラクションのあるゲーム(interactive game)になっていた。こんなふうに言うと、洗練されたデザインを無駄に複雑化するように聞こえるかもしれないね。けど、このゲームにおいては、付加されたすべての要素がうまく機能している。世界で最も素晴らしいゲームだなんて話はしてないけど、「◯◯・デュエル」というゲームの悲しくて残念な歴史について考えると(「世界の七不思議:デュエル」以降は、かなりひどいゲームばかりだ。)、このゲームは、悲しくて残念な物語の仲間入りをする権利があるにしては遥かに優れたものだった。今年のGolden Geek Awardsの受賞者には心底がっかりして失望したんだが、「宝石の煌き:デュエル」は、ベスト2人用ゲームとして素晴らしい選考だった。

クレジット: Anthony Faber

けど、このゲームは、この数か月で私がプレイしたお気に入りのスピンオフゲームではなかったんだ。その栄誉は、同じく心許ないタイトルがつけられたゲームである「The Isle of Cats: Explore & Draw」に譲ろう。このゲームがあると聞いてから数か月間は、このゲームを購入したり、ましてや試しに遊んでみたりする興味が微塵もなかった。

まず、私は、オリジナルの「アイル・オブ・キャッツ」に入り混じった複雑な(mixed)反応を示していた。このゲームの見た目と雰囲気が非常に好きだった。ポリオミノのピースは、猫が思いもよらない体勢で伸びていることを表現していて、この動物の不思議さを見事に捉えていた。このゲームのポリオミノパズル自体は非常に良いものだった。空間を埋めること、同じ色の猫を一緒にすること、それに多様な目標カードを達成することといった困難に立ち向かうものだったしね。

問題は、アクション選択にあった。具体的には、猫を獲得してプレイする方法の部分だ。カードドラフトが大好きなことが多いんだけど、このゲームにおいてはカードドラフトがうまく機能してないように思う。プレイヤーは、実のところ、猫をドラフトしているわけではない。プレイヤーは、後のオープンドラフトで魚をドラフトする権利が与えられるバスケットや魚その他の物をドラフトしていたんだ。こういった要素がドラフトにおける優先順位を決定づけることとなり、プレイヤーに餌となる魚が十分に手元にあれば、獲得できる猫が何匹かも決まる。私の反応は、"さっさと私の猫ちゃんをよこせ!"というものだった。こういった中間にあるステップの全てが、ポリオミノの猫を自分のボートに配置するという、このゲームの本当に楽しい部分を後ろ倒しにしてしまうだけだ。

オリジナルの「アイル・オブ・キャッツ」のドラフトにある別の問題点は、非常に不公正な形で重要なゲーム終了時に得点が獲得できるカードが分配されることだった。プレイヤーは、即座に達成可能な"レッスン"(と呼ばれているカード)をドラフトする仕方を覚える。というのも、レッスンを達成することでかなり多くの得点が得られるし、レッスンを入手しなければ勝利することはできない。ほかの誰かが大量のレッスンを入手して、別のプレイヤーがほとんどレッスンを入手することができないという理由で負けてしまうなんてことは十分にあり得る。さらに、公開されてみんなが使用できる(public)得点カード、つまり公開されたレッスンがあるが、比較的使えないことが多かった。自分だけが得点できる個人目標がドラフトできる場合に、なぜ、わざわざ公開されてみんなが使用できる得点カードをドラフトするんだろうか。

こうした問題点によって、このゲームが長すぎると感じてしまうし、このゲームと同じくらいかわいらしくて考えどころのあるゲームであっても、見た目をよくしたポリオミノゲームにしてはランダムすぎると思う原因となってしまう。このゲームのフリップ&ライト版(※カードをめくるタイプの紙ペンゲーム)が登場したのを見かけた時、オリジナルゲームと同じように聞こえてしまった上、もっと改悪されてるように思えた。それに、愛らしい猫のタイルもないんだろうしね。そして、実際に、オリジナルゲームと比較した「The Isle of Cats: Explore & Draw」の最大の弱点は、製品の品質が劣ったことだった。

けど、ゲームプレイに関する話をどことなく聞くと、ちょっと考えを改め始めた(pause)。このゲームに抱いていた問題点の多くに対処しているように思えた。ポッドキャストでレビューするゲームについて話し合っていた際に、このゲームの話が持ち上がり、レビューすることになった。私が喜んだのは、私が抱いていた問題点の多くに対処するだけでなく、全てが解決されていたことだった。バスケット、魚、中間的なドラフトは全て取り除かれていた。その代わり、カードが格子状に並んでいて、全員がその列を選択する。そのカードが猫だろうがレッスンだろうが宝物(隙間を埋めるための小さなポリオミノタイル)だろうが、全員がそれらを同じく入手することができ、直ちに自分のボートに取り付けることができる。格子状に並んだカードからひとまとまりの(a strip of)カードを取る単純さは、別の素晴らしい猫ゲームである「とるネコ」を思い起こす。「とるネコ」にはポリオミノパズルが含まれていないが、格子状のドラフトが結合したカードのまとまりをドラフト(conjoined drafting, 要は、欲しいカードと欲しくないカードのひとまとまりをドラフトさせる形式)する優れた形であることも示している。

レッスンと色合わせと空間を埋めることとの間の緊張感は、そのままある。けど、プレイヤーは、即座に良い物にありつけるし、無関係なごみとはおさらばだ。誰が何を手に入れるかというランダム性も消え去った。その上、デザイナーであるFrank Westは、プレイヤーが1ゲームにつき数回ドラフトするというルールを破ることができるようになる新しいメカニズムを付け加えた。ひょっとしたら、(※格子状に並んでいるカードの)列じゃなくて行をドラフトするとか、他の場所から追加のカードを1枚取るとか等という形だ。こういったボーナスの選択は、ルールの観点からすれば、超簡単なものだが、いつそれを使うべきかについては難しい決断を加えることとなる。

それでもなお、どの猫やカードが現れるかについてカードの引き運というのはある。特に最終ラウンドにおいては、プレイヤーは必要なものかそうでないものを手に入れるだけかもしれないけれども、この共通のオープンドラフトがあるので、運命を左右する(effective)運というのが大幅に減少するとともに、プレイヤーは、どの猫をプレイすべきかについて同時に意思決定を行うおかげでプレイ時間が短縮されることとなる。そう、カードドラフトは、同時に行う意思決定も伴うが、どのカードを保持すべきかに関してより多くの意思決定を生み出すことにつながるし、その後に、同時に行わない別のドラフトにもつながる。こうすることで、さらにスムーズに感じるよね。

「The Isle of Cats: Explore & Draw」が多人数ソリティアだと不満を言う奴もいるだろうが、それは正しい。もし、そういうのがお嫌いなのであれば、避けたほうがいいね。けど、それって、オリジナルのゲームでも非常によく当てはまる話だ。確かに、建前的には、みんながドラフト要素を嫌がる可能性だってあるけど、個人の経験的には、そんな人は今までいなかった。だって、他のプレイヤー全員の(※個人)ボードを見てどの猫やレッスンが必要なのかを把握するのはすごい手間だし、ドラフトを忌避して自分自身のものを完成させるのはかなり困難だからね。

最後に、このゲームがどのようにして完成したかについての話が大好きなんだ。Frank Westは、(多くのビンゴスタイルのゲームのように)Zoomを通じて完全にプレイできるゲームにするという考えを抱いて、パンデミックの最中にこのゲームを作り上げた。そして、このゲームは、そのような形で完全にうまく機能している。実際に、「タイニー・タウン」のような他のビンゴゲームと似て、YouTube上のコンテンツクリエイターによって相当数のゲームがプレイされていて、彼らが動画上で視聴者が見えるようにカードを示して、視聴者はコンテンツクリエイターと競うことができるようになっている。

今回は、これで終わりだ。すぐに戻ってくるよ。おそらく、私ががっかりした最近のゲームについて不満を言うことになるだろう。その間、みんなのお気に入りのスピンオフゲームが何か、オリジナルを超えた派生作品が何かを聞いてみたいね。読んでくれてありがとう!

※Anthony Faber氏の他の記事としては、以下のものがある。

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