見出し画像

#218_【文化財】金田城跡登山道清掃×南門見学ツアー 実施しました

年末から、主にX(旧twitter)上でbotのように告知しておりました「金田城跡登山道清掃×南門見学ツアー」を、さる1月19日(日)開催しました。
企画の顛末は告知記事に書きましたが、例年雨が降る可能性は低いものの(そのため、年によっては節水の呼びかけがあります)、北西の季節風が強烈で寒い、という想定のもの内容を考えましたが、穏やかな晴天に恵まれ、絶好の作業日和となりました。

目次


どんなイベント?

なんとなく敷居が高いと思われている文化財に親しみを持っていただくために、市民の方々にも関われる仕組みといいますか、仕掛けのようなものといいますか、何かできないかと考えたのがきっかけでした。

私は、物書きの仕事で年に数回、市教委文化財課の方々のお世話になりますが、分からないことがあり問い合わせようとすると、とにかくあちこち外出していて話ができない、それだけ文化財が全島に点在しており、扱う点数も多く、内容もレベル高すぎ、という事情がありますが、直接お話が聞けると、文化財に親近感が湧くので、市民やマニア向けに何かできないかと思うところはありました。

もちろん文化財課の方々も何もしていないわけではなく、市内学校への出前授業、市民講座の講師、史跡の現地説明会などをされていますが、出前授業は別として、そのような場には好きな人しか集まらず、関心を持つ人の広がりという点ではイマイチなところがあります。
ならば対馬の人が好きそうな身体を動かす要素を加えたらどうか、なんなら自分も文化財を守っていると感じてもらえたら良いのではないか、ということで、日頃行われている保全活動の中から、素人でもお手伝いできそうな内容を見繕っていただき、イベント化(ツアーメニュー化)しようと思い立ちました。

ただ単に作業だけ、という内容ですと軍道は2Kmありますから、おそらく海岸清掃と同じく長続きしないと思いますし、文化財を広く一般市民に知ってもらい、保全の意識を高めるという文化財課の本分にもつながりません。
そこで、普段は秘密のベールに包まれている南門跡の特別公開と、浅茅湾からの城の入口である3つの城戸の解説も加えていただきました。

【側溝から落ち葉、土砂、落石を除きます。】
【影響がないところにどかします。】
【ひとりで参加された方は少なかったですが、いつの間にか人海戦術による分業ができていました。】
【溝さらいが終わりきれいになった登山道です。】
【特別公開された南門跡です。上屋は復元されていませんが、地面の石も柱の礎石も立派です。】
【南門跡の説明板です。】
【南門跡の普段の状態です。】
【外されたカバーです。】
【一ノ城戸に積まれている石の違いについての説明です。】
※幕末、外国からの脅威に備え修築しました。四角く平べったい石が積み増された石です。
【二ノ城戸の調査や復元の説明に耳を傾けます。】
【森が開けた場所に続く石塁です。上手く撮影できませんでしたが、海も見えます。】
【三ノ城戸の水門を覗く参加者のみなさんです。】

手応え・発見・課題

参加者の募集

我ながら組み合わせが斬新と思いましたし、素人でもできる作業内容、参加者の移動、資材の運搬など、割と現実的にできそうな目処が立ち企画はまとまりましたが、参加者の募集を年末から始めたため、苦戦しました。
目的を詰め込みすぎ、逆にターゲットがぼやけてしまったのだろうかと心配しましたが、最終的には20名の方にお集まりいただき、人海戦術が発揮できる陣容になりました。
中には、上対馬の自宅を7時に出発された方もいらっしゃり、ありがたみを感じます(いまの時期は7時では日が出ていませんし、上対馬は厳原よりもさらに気温が低いです)。

作業内容の説明

普段は数人で作業をしているそうで、人が増えると作業の仕方や必要になる道具も変わるということを感じる一方、主催者が何も言わなくても、参加者のあいだで自然に役割分担ができ、また全員が集中して取り組んでくださったので、たった1時間で東南角石塁から山頂方向にあずまやが見えるあたりまで作業ができました。
これに関しては、対馬人だからという話もありそうですし、お客様も個人、グループ、団体、好奇心旺盛な方、他人の干渉が苦手な方、色々な組み合わせが考えられますから、ガチガチに決める必要はないにせよ、どのような参加者がきても、スムーズに動いてもらえるよう、いくつかのパターンで想定しておく必要がありそうです。

ツアー商品として島外の人に売るとしたら

終了後、参加者にはアンケートにご協力いただき、課長からもご意見を伺いましたが、作業だけを目的としたいという人はいなさそうですので、作業は1日ガッツリするのではなく1~2時間程度とゆるくしておき、史跡内の観光ガイドや関連アクティビティ(金田城跡ならシーカヤックなど)を組み合わせるもっと滞在してもらいたければ、他の史跡でも同様の「作業+アクティビティ」メニューを用意し、複数提案して組み合わせるのが良さそうか、という仮説に到達しました。
朝から晩まで現場で作業をしますと、単純に飽きてモチベーションが下がるという話もありますが、食事の手配やトイレのことも考えますと、むしろ作業以外の要素を加えたほうが行程が組みやすいですし、史跡を知ることで作業に対するモチベーションの向上につながるかもしれない、とも感じました。

さいごに

イベントを振り返り、冷静に考えれば、当たり前に思えることばかりですが、やってみることで見落としていることの数々を実感しました。
今回は、参加者のみなさんに実験台になっていただいた感じになりましたが、終始和気あいあいとした雰囲気で作業も史跡見学も楽しんでいただき安心しました。大勢の市民のみなさまにご参加いただき、ありがとうございました。
そして、市教委文化財課のみなさまには、道具や送迎車の手配から南門跡公開の準備と片付け、史跡の解説などありがとうございます。
仕切りが良ければ作業がもっと効率よく回り、史跡への理解もより深まったことと思いますが、ご参加くださったみなさんがいらっしゃり、イベントが開催できたからこそ課題が見つかりましたので、行き届かなかった点については、今後の改善材料とさせていただきます。
改めまして、参加者、関係者のみなさまに感謝申し上げます。
そして、今後も金田城跡だけでなく、他の史跡でも新たな企画を打ち出していきたいと考えていますので、乞うご期待!

> 教育関係者のみなさま
学芸員さんなど専門家の方に常に入っていただけるわけではありませんが、従来よりも一歩踏み込んだ内容の教育旅行を企画いたします。ご興味がありましたら、お気軽にご相談ください!


この記事が気に入ったら、フォローして最新情報をチェックしてください!

いいなと思ったら応援しよう!

佐藤雄二_ビーコンつしま
今後も対馬や観光業について発信してまいります。よろしければ応援お願いします!

この記事が参加している募集