マガジンのカバー画像

IN THE CITY DIGITAL

106
10月13日よりスタート。TOKYO CULTUART by BEAMSが2017年まで展開していた文芸カルチャー誌『IN THE CITY』。短篇小説、エッセイ、詩など、「文字…
運営しているクリエイター

記事一覧

最終回:音を相対化する、あらゆる音楽の意味をはぎ取って、新しい価値の海へ…… パンクからヒップホップへと導かれていった高木完の「勘どころ」とは?最終回:音を相対化する、あらゆる音楽の意味をはぎ取って、新しい価値の海へ…… パンクからヒップホップへと導かれていった高木完の「勘どころ」とは?

高木完『ロックとロールのあいだには、、、』 Text : Kan Takagi / Illustration : UJT ビームスが発行する文芸カルチャー誌 IN THE CITY で好評だった連載が復活。ストリートから「輸入文化としてのロックンロール」を検証するロングエッセイ、堂々の最終回! 連載を続けてきたこのブログも今回が最終回。 企画の発端についてはこのブログの1回目でも書いているがあらためて。 10年以上前、編集者の川勝正幸さんが亡くなられたときのこと。お別

連載 第二十五回・最終回:「本当の優しさ」÷わたし

最果タヒ『MANGA ÷ POEM』 Text:Tahi Saihate / Illustration:Haruna Kawai ビームスが発行する文芸カルチャー誌 IN THE CITY でも大好評だった詩人・最果タヒの新連載が登場。好きな「漫画」を、詩人の言葉で見渡すエッセイ  人は、意味もなく優しく、時には損をすることがあっても優しく、愛情深く、義理堅く、それらは突き詰めて考えれば、その人自身を追い詰める。逃げ出すことを許せず、自分を優先できず、他者のために貫かなけ

第三十四回・最終回:特別篇「今日の片岡さんは、どこの空の下に」

片岡義男『ドーナツを聴く』 Text:Daisuke Kawasaki ビームスが発行する文芸カルチャー誌 IN THE CITY で好評だった連載が復活。片岡義男が買って、撮って、考えた「ドーナツ盤(=7インチ・シングル)」との付き合いかた。堂々の最終回! 川崎大助です。ここは片岡義男さんのページなんですが、今回理由ありまして、僕が代筆しています。まあ週刊漫画誌なんかであります、連載の先生が原稿落としたので、新人の読み切り短篇が、突如「埋め稿」として掲載される……ような

第二十三回:『夢幻の80's』

堀口麻由美『カルチャー徒然日記』 Text & Photo:Mayumi Horiguchi 80年代の日本が夢見て失ったもの 1980年代という時代には、もちろん良い面も悪い面もあった。当時を生きた者として、良いことばかりだったとは、とても言えない。しかし本稿では、良かった物事についてだけ、語ることにしよう。 80年代とは、間違いなく、「カルチャー」が日本に花開き、しっかりと根づき始めた時代だった。日本の80'sカルチャーは、糸井重里による西武百貨店の広告キャッチコピ

第14回の3: パンクからロータスへ。NYから原宿、『ポパイ』誌でのブレイクまで……金谷真さんが体験した70s末から80s初頭、アートと音楽が共振していた最先端領域とは?

高木完『ロックとロールのあいだには、、、』 Text : Kan Takagi / Illustration : UJT ビームスが発行する文芸カルチャー誌 IN THE CITY で好評だった連載が復活。ストリートから「輸入文化としてのロックンロール」を検証するロングエッセイ 「見開きのパティの絵が世に出てからは、それまでモノクロームだった世界が一気にカラーになった感じでしたね」 と語る金谷さんだが、実際はビザの関係もあって、掲載号が出て程なくして帰国することになる。

連載 第二十四回:言語化÷あなた

最果タヒ『MANGA ÷ POEM』 Text:Tahi Saihate / Illustration:Haruna Kawai ビームスが発行する文芸カルチャー誌 IN THE CITY でも大好評だった詩人・最果タヒの新連載が登場。好きな「漫画」を、詩人の言葉で見渡すエッセイ  考えていること、言葉にならないことを、別の誰かが輪郭のはっきりした、けれど何も取りこぼすことのないように意識した繊細な言葉で語る時、その言葉によって視界が晴れたり、心地よくなったり、することは

第二十二回:『シネマ・インフェルノ』

堀口麻由美『カルチャー徒然日記』 Text & Photo:Mayumi Horiguchi ガリアーノに導かれモードの未来を空想した 2023年8月15日まで渋谷で開催されていた「メゾン マルジェラ」のインスタレーション、『シネマ・インフェルノ』。事前に特に何も期待せずに行ったのだが、非常によかった。ブランドのクリエイティブ・ディレクター、ジョン・ガリアーノは2022年7月、パリ・シャイヨー宮にて「アーティザナル」コレクション(マルジェラでのオートクチュールの名称)を発

第二十三回:具象という窓、そこから解き放たれるもの

川崎大助『スタイルなのかカウンシル』 Text & Photo : Daisuke Kawasaki ビームスが発行する文芸カルチャー誌 IN THE CITY で好評だった連載が復活。「音楽誌には絶対に載らない」音楽の話、その周辺の話など 小説本の装画、カヴァー・イラストレーションにおいて、日本では今日、具象的な絵が主流であるようだ。同国の特産品であるマンガやアニメのようなタッチのイラストがフィーチャーされたものも多い(が、僕はそれらに詳しくはない)。当コラム第二十一回

第14回の2: パティ・スミスのライヴに感化された金谷真さんは、シェア・ドライビングでNYへ向かう

高木完『ロックとロールのあいだには、、、』 Text : Kan Takagi / Illustration : UJT ビームスが発行する文芸カルチャー誌 IN THE CITY で好評だった連載が復活。ストリートから「輸入文化としてのロックンロール」を検証するロングエッセイ バークレーで語学を習うことにした金谷真は数奇な運命に導かれ、パンク発祥の現場に居合わすことに。 「(レコード店で見た)ロバート・メイプルソープが撮ったパティ・スミスのポスターの写真は、あの頃のア

連載 第二十三回:もう一度会いたい÷世界

最果タヒ『MANGA ÷ POEM』 Text:Tahi Saihate / Illustration:Haruna Kawai ビームスが発行する文芸カルチャー誌 IN THE CITY でも大好評だった詩人・最果タヒの新連載が登場。好きな「漫画」を、詩人の言葉で見渡すエッセイ  世界は、終わる時だって私たちとは関係のないままなのだ。どんなときも、消えていくときも、私たちがその真ん中にいると思うことなんてなくて、世界は勝手に終わっていく。わかり合えない他者と言葉を交わす

第三十二回:青年たちはなぜ歌を求めたのか

片岡義男『ドーナツを聴く』 Text & Photo:Yoshio Kataoka ビームスが発行する文芸カルチャー誌 IN THE CITY で好評だった連載が復活。片岡義男が買って、撮って、考えた「ドーナツ盤(=7インチ・シングル)」との付き合いかた 新譜としてレコード店に新たに投入された数多くのシングル盤は、新しい歌だった、と断言しておこう。まだ聴いたことのない旋律に、わかりやすさをきわめた例としての歌詞がついて、シングル盤の新譜となった。日本の青年たちは、日参、と

第二十一回:『写真家 ソール・ライター展』

堀口麻由美『カルチャー徒然日記』 Text & Photo:Mayumi Horiguchi ニューヨーク・ニューヨーク ソール・ライター生誕100年を記念する展覧会『ソール・ライターの原点 ニューヨークの色』に行ってきた。 本展では、新たに発掘されたライターのモノクロ写真や絵画を含む400点以上の作品が紹介されている。会場は渋谷ヒカリエ9F・ヒカリエホールだ。ここ東京では2017年と20年、2回にわたり、渋谷の「Bunkamura ザ・ミュージアム」でソール・ライター

第14回の1: ニューウェーブを「絵」で表現した伝説のイラストレーター、金谷真さんは、1975年のカリフォルニアでパティ・スミスのポスターを発見した

高木完『ロックとロールのあいだには、、、』 Text : Kan Takagi / Illustration : UJT ビームスが発行する文芸カルチャー誌 IN THE CITY で好評だった連載が復活。ストリートから「輸入文化としてのロックンロール」を検証するロングエッセイ ムーンライダーズの『モダーン・ミュージック』を聴いている。リリースは1979年。時代はすでにニューウェーブであったし、ポストパンクという言葉やノーウェーブという言葉も出てきていた。当時は次から次へ

連載 第二十二回:私÷「青春」

最果タヒ『MANGA ÷ POEM』 Text:Tahi Saihate / Illustration:Haruna Kawai ビームスが発行する文芸カルチャー誌 IN THE CITY でも大好評だった詩人・最果タヒの新連載が登場。好きな「漫画」を、詩人の言葉で見渡すエッセイ  たとえば青春を描いている物語を読むときの、自分は絶対に主役にはなれなかった人だ、とか、その世界観におけるモブでしかなかった、と思うときの息苦しさ。そこに渦巻いているのは物語に描かれている青春で