「サブスク」を退会できない顧客の心理 (行動経済学)
知らないうちにAmazon Primeに加入していました。
カードの支払い明細書を見て気がつきました。
Amazon Primeは、映画やテレビ番組、動画を毎月の利用料で視聴し放題というサービス。
コンテンツを ほとんど観ていませんが、
「いつか時間ができたら観るんじゃないか」と退会もせずにいます。
これは行動心理学で言うと「現状維持バイアス」が影響しているそうです。
1.現状を変えたくない!「現状維持バイアス」
「世界最前線の研究でわかる!スゴい!行動経済学(橋本之克著)」によると、
「現状維持バイアス」とは「変化を避けて現状のままいようとする心理」。
加入していることが「現状」の当たり前になり、退会して「その状態」でなくなるのは「損失」と感じられるため、サブスクのサービスを利用し続けるらしい・・・。
2.「退会しようか」を検討する機会の損失
私の場合「Amazon Primeを最後に観たのは、何ヶ月前?半年前?」とわからないほどの利用頻度。
クレジットカード支払いにしていることが退会の判断を遅らせている原因だとわかっているのですが、なかなか・・・・
クレジットカード支払いでは、実際にお金を払う行為(お金を失う行為)がないし、サブスクを続けるかどうかを考えるきっかけがないまま毎月口座から自動的に引き落とされます。
3.「お金を払っている」実感の喪失
現金か、クレジットカードかといった「支払い方」が使う金額に影響する、というのはよく聞きますよね。
マサチューセッツ工科大学によるオークションでの実験で、実験対象者を「現金払い」と「クレジットカード払い」に分けて観察したところ、
「クレジットカードのグループが提示した入札価格の平均は、現金のグループの約2倍」だったとのことです。
4.サブスクは売上向上の救世主⁉︎
ということで、
商品やサービスを提供する企業やお店側からすると「毎月安定収益が見込めるサブスクは救世主かも!」と感じるのか、
「モノ型サブスク(洋服・下着、家具など)」「コト型サブスク(美容院、飲食店など)」といったサービスが増えてきています。
ただ、この本では「サブスクを「単なる分割払い」「単なる定額の利用し放題」と捉える企業は失敗する」と書いています。
大事なことは
①本当に定期的に使う価値のある商品やサービスであること
②企業と顧客との長い関係を維持すること
オンラインでのサービスを提供するサブスクやモノ型サブスクでは、
お客様との接点がない(少ない)ため、サービスや商品に対して、
お客様が満足しているのか調べる方法を構築しなければならないし、
コト型サブスクの場合では、定期的に来店するお客様とコミュニケーションをとって、満足度を高める努力が必要だ、とも書いています。
5.いち消費者として
いち消費者として、私は、
洋服・音楽・映像・カフェなどの飲食・美容院・英語教室・オンライン講座など、「いいな!」と思うサブスクは多々ありますが、
あれもこれもと複数のサブスクに加入すると、結果として月の支払いが膨らんでしまうこと、
Amazon Primeで「現状維持バイアス」の影響を実感していることから、軽々にはサブスクには手をだせないな、というところです。
そんな消費者もまだまだ多いのではないでしょうか。
企業やお店は”ライフタイムバリュー”を高めて継続課金型のビジネスモデルを作ることを目指しているところもあり、サブスクリプションは今後も増えていくと思います。
無料体験・無償提供・期間限定でのサービス提供で、そのサービスが顧客にとって「当たり前の現状」となるような仕組みを作っていく・・・。
企業・店の戦略と消費者の意識の乖離の幅が狭くなっていくのかどうか、注目していきたいと思います。