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言葉と血液_09/14_01:25

赤い筋が何本も滴って地面に滲んだ
二の腕に引かれた無数の線
指先に向かって落ちていく血液をただじっと見る。
止まる気配の無い出血に安堵を覚えた自分が憎い
水蒸気を吸い過ぎたのか、貧血になったのか。
不明の原因によりぐわりと揺れた視界。

いっそのことこのまま死ねないかな。

そんなことを考えた深夜、冷たくなり始めた湯船に浸かりながら思った。
身内がもう既に寝ているとわかっていれば安心以外何も無い。
思うがままにぼんやりと過ごしていた。
失血死なんて早々出来やしないだろうとは何年も前からわかりきっていたこと。
それをたかが無数の傷と数mlの流れ出る血液で試そうと試みた。
我ながら馬鹿。
楽しいか楽しくないかでいえば勿論楽しくなかった。
ただ頭を冷やす時間、と思い込めばいい時間の使い方だったと思う。
脳死状態から冷えきった状態になれた気がしたから。

最近、色々考えるようになった。
「愛」とか「信頼」とか。
「友情」や「生死」。
思えばどれも答えが不特定多数存在していて難しい議題だと改めて実感した。

どうして人は他人を「信頼」して「愛す」のか。

これがわたしにとって1番不思議なこと。
愛の形が人それぞれだったとしてもわからない。
暴力が愛?
友情が愛??
生きれていることが愛???
頭の中ははてなだらけ。
答えはひとりじゃ導き出せない。
…けど、誰かに問うこともしなかった。
だから謎は深まるばかりだし、薄れることは無い。
何だか哲学的だな、なんて思って自嘲する。
わかりそうでわからないこと。
きっとこの話だけでなく無数に有るんだろうなあ…

人間とは実に難しい生き物。
本当にそうだと思う。
分かり合おうと足掻いても分からない。
分かっているのに分かろうとしないから分からない。
あー、なんて面白いんだろう。
こんなしょうもないことで笑える自分を笑う。


言葉は凄い。
人に感動を与えることも、“綺麗だ”と思わせることもできる。
反対に傷付くこともあれば、嫌いだと思わせることもある。
国語の教科書に、道徳の教科書に。
載ってそうで見たことがない議題。
難しいねー、


少しずつでも眠気がぼくに覆いかぶさり始め、渋々浴槽から体を起こす。
ぽたっ、と透明な水と共に落ちる血液。
シャワーで全てを流し消した。
若干地面の1部が赤くなっていた気がしたけれど、何も無かったことにした。
やることを終えてぼふりと畳の上に引かれた布団に倒れ込む。
冷たいのに暖かくて安心する。
寝息を立てる身内を無視してXやLINEを漁り、noteを漁る。
今日も言葉に溢れていてふわふわとした気持ちになった。

ああ、明日は、今日は。
こうしなきゃな。

なんて重くて面倒臭いこと、考えなくていい。
何かを難しく考える必要のない自由な時間をこよなく好いてる。愛してる。
時折すごく孤独を感じて寂しくなるけれど、それでもぼくにはぼくといてくれる人がいるんだって思うと暖かくなる。
そんな現象がさいっこうにだいすき。
微睡みに堕ち始めた初めから回ってなんかいなかった頭をゆっくりとシャットダウンする。

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