【3分読書メモ】『こち亀』社会論 超一級の文化史料を読み解く(稲田豊史)を読んで 5 YuuuKi 2023年5月23日 11:37 ■基本情報書名:『こち亀』社会論 超一級の文化史料を読み解く著者:稲田豊史出版元:イースト・プレス出版日:2020年9月12日ジャンル:カルチャー読書メーター:https://bookmeter.com/books/16212700■書籍内容(BOOKデータベースより)庶民の金回り、地価変動と田舎ディス、テクノロジー信奉とガジェットの変遷、サブカルチャーの地位と文化系ヒエラルキー、ビジネス・アイデアとハック思考、漫画的表現とポリティカル・コレクトネス…大衆社会を定点観測し続けた連載40年の偉業から昭和~平成日本の歩みを追う。■気になったポイント(引用文)浮世絵の特徴は大きく3つ。上から目線の芸術ではなく大衆・庶民のための娯楽であったこと、「時代の今」「大衆のニーズ」を素早く取り入れていた]こと、精緻な描き込みによる史料的価値があること──老舗の味は不変だから老舗なのではない。]時代ごとに、その時代の客の舌に合わせて味を変えているから、店が残っているのだ。客が化学調味料を望めば躊躇なく鍋にぶち込む。節操のなさ、変わり身の早さ、フットワークの軽さこそが、『こち亀』が長期にわたって連載を続けられた理由である。TV番組にたとえて言うなら、かつての『こち亀』は明らかに90年代の深夜番組だった。特に流行ってもいないことを、誰がなんと言おうと面白いんだと信じて、そのセンス一本でピックアップし、斜に構えて 弄り、遊び倒す。しかしパソコン・インターネット登場以降の『こち亀』は、ネットでとっくに流行り倒したものを後追いで「いま話題の!」とドヤ顔で紹介する、[* 平日夕方のニュース番組の1コーナー]に成り下がった。経済や景気を直接的に解説したエピソードは見受けられないが、世相を構成する重要な要素である「庶民とカネとの関係」を40年間、ほぼ途切れることなく描き続けた事実は、 文化風俗史料としての『こち亀』の高い価値を示すものだ。こち亀』を「古き良き下町文化や下町人情を、ノスタルジー込みで美しく描いた作品」だとする向きには、異論を唱えたい。なぜなら、むしろ『こち亀』は、常に時代の「今」を、良い意味で無批判かつ正確に、一心不乱にトレースし続けてきた作品だからだ。筆者はつねづね、『こち亀』連載終了前から、『こち亀』に対する評価の深度や視座が、世の中にまったくもって足りていないと感じていた。ある特定の集団を、その集団ごとバカにして 嗤 い飛ばすという意味において、『こち亀』における「暴走族」描写の変遷は追跡するに値する。暴走族(≒不良、ヤンキー) 的な美学やスタイルの世間におけるイメージが、 ヒロイズムをまとった「反体制的な逸脱者」から、空気の読めない「古臭くダサいもの」へと成り下がっていった。「マスコミが加熱報道→両津がそれを利用して金儲け→予想外のブーム拡大→アクシデント、もしくは熱しやすく冷めやすい日本人気質によって急速に ブーム終息→両津が痛い目を見る」は、『こち亀』がブームを描く際の典型パターンである。本書から学べること社会学の観点から見た『こち亀』の影響力『こち亀』が40年間にわたって連載された理由『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(こち亀)に掲載された名エピソードの深掘り『こち亀』が40年にわたって描き続けた世相『こち亀』における初期~後期の変遷(画風/作者の関心など) ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する この記事が参加している募集 #読書感想文 210,757件 #読書 #ビジネス #読書感想文 #マーケティング #読書記録 #文化 #週刊少年ジャンプ #こち亀 5