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【3分読書メモ】たたかう植物 仁義なき生存戦略(稲垣栄洋)を読んで


■基本情報

書名:たたかう植物 仁義なき生存戦略
著者:稲垣栄洋
出版元:筑摩書房
出版日:2015年8月5日
ジャンル:生物学
読書メーター:https://bookmeter.com/books/9781737

■書籍内容(BOOKデータベースより)

じっと動かない植物の世界。しかしそこにあるのは穏やかな癒しなどではない!植物が生きる世界は、「まわりはすべてが敵」という苛酷なバトル・フィールドなのだ。植物同士の戦いや、捕食者との戦いはもちろん、病原菌等とのミクロ・レベルでの攻防戦も含めて、動けないぶん、植物はあらゆる環境要素と戦う必要がある。そして、そこから進んで、様々な生存戦略も発生・発展していく。多くの具体例を引きながら、熾烈な世界で生き抜く技術を、分かりやすく楽しく語る。

■気になったポイント(引用文)

つるで伸びる「つる植物」は、他の植物に頼りながら伸びていくので、自分の力で立たなくても良い。茎を頑強にする必要がないので、その分、節約した成長エネルギーを伸長成長に使うことができる。このため、つる植物は短期間のうちに著しい成長を遂げることができるのである。

機能性を追い求めた結果、種類は違っても似たような形に進化することを収斂進化という。たとえば、魚類のマグロと哺乳類のイルカが同じような流線型の形をしていたり、哺乳類のモグラと昆虫のケラが地中生活に適した似たような姿をしているのも収斂進化である。トリケラトプスとウシやサイが似ているのも、収斂進化の例と言えるだろう。

飲料や香料に含まれる植物の毒や、森に充満した植物の毒は人間を殺すほど強いものではない。しかし、人間にとって刺激剤となるくらいの作用はある。つまり、人間の体は弱い毒の刺激を受けて、生命を守ろうと防御体制に入る。その緊張感が生きるための能力を活性化し、私たちに活力を与えてくれるのである。

植物は、ドングリをたくさん作る「生り年」と、ドングリを少しだけ作る「裏年」とを設けた。ドングリの足りない裏年があるから、ネズミやリスが増えすぎることはない。そして、「生り年」にドングリを大量に生産すれば、ネズミやリスはドングリが食べきれずに、食べ残すのである。

他の生物と共存関係を築くために植物がしたこと、それは、自分の利益より相手の利益を優先し、「まず与える」ことだったのである。

【感想】

・地球上に生息する植物の生存戦略について書かれた本
・特定の環境に適した植物からは、社会生活を営む人間にも応用できそうな生存戦略が多々見受けられる
・強者はシンプルな戦略を採用し、弱者は複雑な戦略を採用する
・純粋に植物の生態について学びたい人だけでなく、「自分の強みを見つけたい」「ビジネスにおける戦略のヒントを学びたい」人にもオススメ


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