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【3分読書メモ】誰がこれからのアニメをつくるのか? 中国資本とネット配信が起こす静かな革命 (数土直志)を読んで
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■基本情報
書名:誰がこれからのアニメをつくるのか? 中国資本とネット配信が起こす静かな革命
著者:数土直志
出版元:星海社
出版日:2017年3月25日
ジャンル:ビジネス
読書メーター:https://bookmeter.com/books/11572557?review_filter=netabare
■書籍内容(BOOKデータベースより)
製作委員会を立ち上げてお金を集め、深夜にTV放送し、DVD・ブルーレイを売って回収する―この20年の間、日本のアニメ業界を発展させてきたビジネスモデルが大きな転換点を迎えている。変化のきっかけをつくったのは、潤沢な資金を惜しみなく投入する中国、そして、Netflix・Amazonをはじめとした、定額映像配信サービス企業だ。彼らの登場によって戦局は大きく変化し、混迷している。本書は、15年にわたって日本のアニメを取材してきた現役のジャーナリストが、激変する日本のアニメをとりまく状況を分析し、未来を予測する1冊である。主役もいなければ正解もわからないこの時代をサバイブするのは誰だ…!?
■気になったポイント(引用文)
日本のアニメビジネスにおける中国の存在感が近年、急激に高まっている。中国のアニメビジネスにおける関係の深まりはふたつある。ひとつは日本アニメの買い手として。もうひとつはアニメ製作出資者として、制作パートナーとしてだ。
手描きアニメーションスタッフの人材不足、コンテンツのデジタル化、さらにゲームやアトラクション、VRでのコンテンツのマルチメディアの利用。これらはいずれもCGアニメスタジオの追い風になっている。しかし、CGスタジオの弱点は、企画、演出、脚本の力だ。
これまで日本のアニメは、玩具などで収益をあげるキッズマーケット、映像ソフトで成り立つコアファン向けののふたつで構成されると言われてきた。しかし、映像配信はいずれにも属さない一般層のヤングアダルトが普通に観る作品という新たなボリュームゾーンを生み出している。これが、映像配信がアニメ業界に与えた一番の衝撃だ。
どんな作品が配信で求められるのだろうか。(中略)『名探偵コナン』や『ルパン三世』といった作品だ。マニアではなく一般受けする作品であることが分かる。しかも、これらの作品は子どもだけでなく、大人にも人気が高い。
配信ならではの試みで、とりわけ大きいのは番組の長さである。アニメ『モンスターストライク』は、1話の長さが7分~8分程度にされている(中略)視聴者にニーズに合わせた長さで、ストレスを感じさせない。一方で映像のクオリティは従来のテレビシリーズと遜色がない。また、7分とすることでストーリーのテンポをあげている。アニメの演出も変化するわけだ。
日本のアニメのダイナミズムは、それを生み出す日本のアニメ業界の小ささにも理由がある。小さい世界だからこそ、少ない人数から起きた革新が大きなムーブメントになる。新しいビジネスの熱も一気に高まり、爆発しやすい。
1.インターネットの拡大が日本アニメの競争条件を圧倒的に有利にしている
2.小さな国内マーケットが日本のアニメを豊かで多様なものにしている
3.独自のスタイルが日本アニメを特別な存在にしている
4.新たな表現スタイルはいまでも日本で生まれている
5.同人創作が裾野の広いクリエイティブな人材を生み出している
6.表現の自由が世界的に見ても確保されている
(国内アニメ産業に成長が期待できる点)
■本書から学べること
国内外におけるアニメ産業の主要な数値データ(収益/視聴者数など)
アニメ産業に対する中国企業の姿勢(取り組み方/ビジネス手法など)
国内アニメ産業の成長性に関する要点
国内外のアニメ産業における各社の動向(東映/テレ東/bilibiliなど)
国内アニメ産業の歴史(1960年代~2016年頃まで)
動画配信プラットフォームおよび提供企業がアニメ産業に与えた影響