人間失格

今年、初めて太宰治の「 人間失格 」を読みました

正直文学には疎い僕ですが、流石に太宰治と「 人間失格 」という名は知っています

いつかは、名作といわれるその由縁を実際に読んで知りたいと思っていました

でもずっと行動に移せないままでした

それが今年の夏、実家に帰省した際にたまたま実家の本棚を眺めていたらこの本があったんです

どうやら、父が中古本屋で買ってきて読んでいたからだそうです

おぉ、、、これが「 人間失格 」か、、、

本屋やブックオフではよく見かけるし、決して珍しいものではないんですけど、いざ手にしてみるとちょっとワクワクしました

遂にこの作品を読む時がきた

そのときのワクワク感はまるで、、、

作る気満々で買ったガンプラだけど、いざ買うと「 今日は作らなくていいや、また今後 」って感じでなかなか乗り気にならず、放置。

しかし、あるとき急に思い立ちガンプラの箱を開けて、「 もう引き返せないぞ 」とハサミでパーツの入っている袋を開封しているときの、「 遂にこの時が、、、」

みたいなもんでした

ドキドキワクワクしながら読み始めました

今思えば、そんな心情で読書したのは初めてな気がします

読んでいくうちに

「 恥の多い生涯を送ってきました 」

「 ただ一切は過ぎていきます 」

といった一度は聞いたことのある文章が登場しました( 人間失格を読んでるので当たり前のことですが )

そういう文章が出てきたときは、
なんだかゾクッとしましたね

まるで、

ターミネーター2のラストでシュワちゃんがグッドサインをしながら溶鉱炉に沈んでいくシーンは知ってたけど、映画自体は見た事がない

そんなある時、
ひょんなことからその映画を見て、

おお!ここであの有名なシーンがくるのか!

って少し感動したときみたいに、、、

そして、数日かけてやっと読み切りました
( ページ数自体そんなに多くないのですが、毎日数ページずつ読んでたので時間がかかりました )

読了後、思ったことは二つありました

一つは、文章がエロいなってことです

中学生の頃に「 走れメロス 」を教科書で習いましたが、そのときの文章のイメージは、

・ とにかく力強い

・勢いのある文書
( 歯切れが良いともいえる )

って感じでした

なので、「 走れメロス 」はテンポよく読み進めると同時に、読んでるこっちまで勇気をもらえるような感覚でした

作者は男気のある人なんだろうとも思っていました

しかし、「 人間失格 」では同じ作者が書いてるとは思えなかったのです

文章がエロい、と言いましたが、具体的には女の人が書いているような気がしました

( 女性が書いているからエロいというより、文章自体にエロさを感じるというか、、、)

それも、怪しい雰囲気をまとう、どこかセクシーな妖艶な美女って感じの女性です

それにこの作品では、女性の会話のように文章の一つ一つが長く、正直歯切れが良いとは思えない

しかし、長い文章の一つ一つには、言葉選びや言い回しのせいか優雅さが漂い、読んでいて苦にならなかったのです

走れメロスと人間失格しか太宰治の作品は読んだことはありませんが、同じ人が書いているとは思えず、太宰治の文章能力の高さにただただ驚くばかりでした

もう一つの感想としては、
作者の全裸の心を見せつけられた気分になった、ということです

誰しも隠したくなるような醜い心はあると思いますが、それを物語の主人公を通して、赤裸々に綴っているように思えるのです

赤裸々に綴られた人間としての弱さには、共感できるポイントが多々ありました

そのせいか、まるで自分が隠してきた弱い内面を描かれているような気もして恥ずかしさすら感じる

そんな瞬間もありました

普通、
読んでて恥ずかしくなる小説なんて、
恋愛小説と官能小説くらいですよ

読んでいるこちらですら、
恥ずかしいのです

それを書き起こしてる
作者はもっと恥ずかしいのでは?


なんても思いました

ほんと、描かれる心情が赤裸々過ぎて
作者の全裸の心を見せつけられた気分でした

読み終えて、こんな感想を抱いたわけですが、名作っていわれる理由が何となくわかった気がしました

読み手の感情をめちゃくちゃ揺さぶってくる作品なんですもの

映画とか小説の名作ってそういうポイントって抑えてるんですかね?

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